グローカル外交ネット

令和5年2月24日

佐賀県地域交流部国際課

1 交流のきっかけと関係強化

(写真1)山口知事とオルパナ駐日大使(当時) 連携ロゴを駐日フィンランド大使館で発表

 きっかけは飯倉公館(東京)での、駐日外交団等を対象とした佐賀県プロモーションでの出会いでした。2017年2月1日に飯倉公館で開催した、外務省の「地方創生支援 飯倉公館活用対外発信事業 外務大臣及び佐賀県知事共催レセプション」での県担当者と当時の駐日フィンランド商工会議所関係者との出会いが、東京2020大会の事前キャンプ誘致につながり、2019年2月にはフィンランドのホストタウン登録に至りました。
 事前キャンプ受入れ等の取組を進める一方で、当県としては、ホストタウン相手国とのWin-Winの関係構築と新たな価値の創造につながる「交流」から「連携」への関係性の発展を目指してきました。その一つがフィンランドとの政策連携です。政策連携とは、5年連続「世界一幸福な国」フィンランドの思想や社会政策からヒントを得て県の政策に活かすことによって、新たな価値の創造と持続的な社会の構築につなげるものです。
 この政策連携を推進していくため、2022年12月、駐日フィンランド大使館敷地内の「メッツァ・パビリオン」において、当県と駐日フィンランド大使館との『SAGA×FINLAND』コラボレーションイベントを開催しました。この中で、山口佐賀県知事と当時のペッカ・オルパナ駐日フィンランド大使が連携の象徴となるロゴ『FIN-SAGA』(フィンサガ)を発表しました。このロゴには佐賀県とフィンランドに共通する豊かな自然の象徴である木と水面をモチーフとし、「両地域の連携が様々な分野で芽を出し、大きく育つ」という願いが込められており、ロゴを印字したパネルには連携の証として山口知事とオルパナ駐日大使(当時)が署名しました。

2 政策連携の推進

(写真2)連携ロゴを手に記念撮影 フィンランドフェア2023セレモニー

 政策連携は佐賀県とフィンランドの親和性がベースとなっています。東京2020大会の事前キャンプ地に選ばれた理由も佐賀県が誇る美しく豊かな自然環境がフィンランドに似ていると思ってくれたことでした。
 「人」に着目したフィンランドの政策は、同じく「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」と「人」を中心に据える山口知事の県政と相通じるものがあり、また、自然環境以外にも様々な分野で似ているモノやコトが多いことが政策連携の素地として備わっていると考えています。
 ここで政策連携の取組をいくつか紹介します。
 佐賀県では、出会い・結婚から妊娠・出産、子育てまでを総合的に支援する「子(こ)育(そだ)てし大県(たいけん)“さが”」プロジェクトに取り組んでいますが、同じく子育て政策に力を入れているフィンランドの出産・子育て支援「ネウボラ」からヒントを得て、アプリを活用して佐賀県版として出産・子育て環境を整備しています。
 また、佐賀県では「歩こう。佐賀県。」と銘打って、歩くライフスタイルの推進に取り組んでおり、その中で、フィンランド発の移動・交通の概念として世界的に評価されている「MaaS」(Mobility as a Service)について、2021年12月に産学官連携の「さがモビリティラボ(SAGA Mobility LABO)」を発足し、佐賀県版MaaSプロジェクトに取り組んでいます。
 このほかにも、フィンランドの教育プログラム「Schools on the Move」(スクール・オンザ・ムーブ)のパイロット・トライアル校に県内の学校が選ばれたり、フィンランドのテキスタイルブランドと伊万里・有田焼とのコラボによる製品がつくられるなど、政策連携は拡がりを見せています。
 こうした取組や佐賀県とフィンランドの関係性や親和性について、県民に理解を深めてもらうことを目的として、2019年より毎年、駐日フィンランド大使館を中心としたフィンランド関係各団体の協力を得て、「フィンランドフェア」を県内で開催しています。駐日大使も毎年お越しいただいている当イベントは『FIN-SAGA』の象徴と考えており、今年度も2023年1月14日と15日の2日間開催し、多くの来場者で賑わいました。

3 連携の深化を目指して

(写真3)視察の様子 佐賀県フィンランド使節団による先進事例視察(フィスカルス)

 これまでの取組をさらに多分野に拡げていくとともに、フィンランドとの関係を新たなステージに発展させるべく、オルパナ駐日大使(当時)の招へいにより、2022年10月、山口知事を団長として各分野の今後の佐賀県を担う次世代リーダーたちで構成する産学官連携の「佐賀県フィンランド使節団」をフィンランドへ派遣しました。使節団のメンバーが、佐賀県とフィンランドの親和性をベースに、フィンランドの思想や社会政策、ネットワーク等から新たな気づきを得ることで、県内の産業や教育、福祉、学術等において、様々な掛け合わせによる新たな自発的な革新の取組を行っていくことが期待されます。また、そうした取組の流れが、新たな価値の創造と持続的な社会の構築につながるものと考えています。
 また、使節団のフィンランド訪問時には、オルパナ駐日大使(当時)に対し、交流・連携関係の今後の更なる発展に御協力いただくため、「佐賀県フィンランド交流大使」の委嘱を行いました。
 こうした様々な取組によって、フィンランドとのWin-Winの連携関係が深化していくことを期待し、また、それを目指していくためにさらに注力していきたいと考えています。

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