グローカル外交ネット

令和3年4月28日

外務省地方連携推進室

 令和3年3月23日、「令和2年度第2回外交実務研修員研修」として、16名の外交実務研修員が駐日フィンランド大使館を訪問し、オルパナ大使(H.E. Mr. Pekka ORPANA)を始め大使館員から大使館での業務や二国間関係等について説明を受けました。

メッツァ・パビリオンについて

(写真1)ご挨拶の様子 オルパナ大使によるご挨拶

 研修会場となったメッツァ・パビリオンは、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に合わせフィンランド代表チームのパートナーハウスとして令和元年10月に建てられており、フィンランド企業が日本市場に参入するきっかけをつくるビジネス機会創出の場やサステイナビリティを体現する場としての役割なども兼ねられた施設です。フィンランドから輸入した木材を使用した伝統的な木造のフィンランドデザイン建築で、5Gネットワーク環境も整備され、居心地良い環境配慮性と高いテクノロジーの両立が叶えられた斬新な空間でした。

二国間関係について

(写真2)研修の様子 研修風景

 2019年に日・フィンランド間の外交樹立100周年を迎え、また2016年には両国間で政治・安全保障・経済から科学・テクノロジー・教育等の分野まで幅広い分野における戦略的な協力を推進する共同声明を発出し、最近においては、イノベーション、健康、環境、安全保障、科学・テクノロジー分野(AIやスマートシティ等)でも協力を進めていると説明を受けました。
 「一番大切なことは、お互いの国にとって利益になる可能性を見つけることである」例えば、高齢化という両国共通の課題に対し、フィンランドで取り組まれているdigital health system(全ての病院等が患者のカルテにアクセスできるような一元化されたシステム)についての知見の共有などが考えられています。また、日本が推し進めるデジタル化はフィンランドにとっても重点事項になっているとのことでした。
 同館には、商務部門(Business Finland)や在日フィンランド商工会議所があり、Team Finlandを掲げて同じ目的を共有し協力して仕事を行うという特徴があります。アジアで最も重要な貿易相手国である日本との貿易・経済協力を進めることは、同館の大きな目的の一つであると伺いました。

地方連携について

(写真3)記念写真 メッツァ・パビリオンの前で記念写真

 雄大な自然を有するという共通点を持つ北海道の自治体との姉妹都市提携、佐賀県・佐賀市などとのホストタウン提携、産業振興と福祉の取組における仙台市との提携のほか20を超える提携が行われていることについて、説明を伺いました。

質疑応答

 研修の最後に活発な質疑応答が行われました。世界幸福度ランキング4年連続一位に選ばれる背景には、国民一人一人が自分の人生を選択して生活できていることが大きいということや、何に相手がプライオリティを置き、何がお互いの利益になるのかという観点からカントリーブランディングを行っていること、日本ではサンタクロースとムーミンのイメージが余りに強いため、新たなイメージ構築が困難なことが悩みであることなど興味深い話が多く飛び出しました。

 今回、海外の大使館がどのような意識をもって、またどのような役割を果たそうと考え仕事に取り組まれているのかといった視点に触れられ、これから在外公館で勤務する予定の研修員にとって学びの多い、貴重な機会となりました。

 この度、大変有意義な研修を行っていただけた駐日フィンランド大使館の皆様に厚く御礼申し上げます。

グローカル外交ネットへ戻る