グローカル外交ネット
Thank You From KAMAISHI
(岩手県釜石市とオーストラリア)
岩手県釜石市
1 はじめに

釜石市は、2011年3月の東日本大震災津波以来、世界中のみなさまから様々な形でたくさんのご支援をいただいており、本年3月で震災から10年をむかえ、お陰様で、当市の復興も確実に進んできているところです。
当市は、2017年11月に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、オーストラリアの復興「ありがとう」ホストタウンとして登録しました。
登録のきっかけは、東日本大震災の時に、釜石のラグビーチーム、釜石シーウェイブスRFCに所属していましたオーストラリア出身のスコット・ファーディー選手が、帰国せずにチームメイトと一緒に市民の為に支援活動を行い、ファーディ―選手にたくさんの勇気と感動をいただいたこと、もう一つは、2015年から当市の中学生が海外体験学習事業でビクトリア州の学校に受け入れていただいていることなどによるものでした。
2 これまでのオーストラリアとの交流
ホストタウン登録後の2018年3月、スコット・ファーディー選手を釜石に招いて、市民との交流を行いました。「”Welcome Home Scott Fardy!”おかえりファーディー!釜石ラグビータウンミーティング」を開催し、市民とともに東日本大震災当時を振り返りながら釜石の今後について語り合い、また、小学校では東日本大震災時の経験をお話しいただき、子どもたちとタグラグビーで交流し、市内高校のラグビー部の合同練習では世界トップレベルの指導を行っていただきました。
2018年と翌2019年の秋には、オーストラリアの小学生を招聘し、市内の小学校との国際交流や、タグラグビー大会等での交流を行っています。
2019年はラグビーワールドカップ2019岩手釜石開催に合わせて、オーストラリアの高校生と、地元の高校生でラグビーの交流を行い、両国の食材を使ったおむすびを握り、一緒に食べるなど、スポーツと食文化の交流も行っています。
3 2020年度の取り組み

新型コロナウイルスの影響で、東京大会の延期や、予定していたオーストラリアとの交流活動も残念ながら中止せざるを得ない状況が続きました。
その中で、今までの取り組みや、育んできた友情を継続できるように、オンラインを通じた交流を取り入れ事業を実施しました。
(1)「ともだち2020パイロットプログラム」
1つ目は、9月から11月までの2カ月間、オーストラリア・オリンピック委員会主催の「ともだち2020パイロットプログラム」に参加し、南オーストラリア州の中学生約10名と、市内の中学生がオンラインで交流。2週間に一回程度、オーストラリアの学校とビデオで交流し、お互いの文化や日常生活、学校生活、震災防災学習などを紹介。制作したビデオは両国合わせて全13本。最終回には、リアルタイムでオンライン交流を行いました。

(2)「KOALA CAMP」
2つ目は、オーストラリア大使館等と連携し、オーストラリアの各地と東京、釜石市の各地をWEBでつなぎ、文化・スポーツ・音楽・食等を通じたオンライン交流を行う「KOALA CAMP」(主催はKOALA CAMP PROJECT)を実施。メインスタジオの在日オーストラリア大使館からオーストラリアンフットボール体験、ワイルドフラワーの製作、ワイン講座、サテライトポイントのオーストラリアシドニーからヨガ体験と菓子作り、ハンターバレーからワイナリー紹介、ゴールドコーストからバーベキュー実演、メルボルンからジャズ演奏、釜石スタジオの根浜海岸キャンプ場ではそれぞれの実演を行うなど、インターネットを介して様々な交流体験を行いました。
(3)釜石鵜住居復興スタジアムでの交流事業
オンライン以外には、ホストタウンを紹介する取組みとして、10月に、釜石鵜住居復興スタジアムで、オーストラリア紹介交流事業を行いました。会場では、オーストラリアンフットボールやクリケットのスポーツ体験、アボリジナル伝統楽器ディジュリドゥの演奏、ワイルドフラワーの製作体験、ミートパイ、コーヒー、ワインなどの食を紹介し、来場者にオーストラリアを満喫していただきました。
(4)その他(食材のコラボメニュー開発など)
1月には、オーストラリアのティーツリーハニーとマカダミアナッツ、釜石のミルクジェラートと甲子柿を掛け合わせたジェラートを開発しました。試食会で好評いただき、3月からオリンピック・パラリンピック期間終了まで当市内の魚河岸テラスジェラート部の店頭に並びます。
その他にも、新聞紙面広告、ホストタウン交流の映像制作、そしてホストタウン周知グッズの作成や装飾にも取り組んできました。
4 これから
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、新型コロナウイルス感染症の影響で1年延期となりましたが、東日本大震災から10年の節目に復興五輪として開催されることに、とても大きな意義を感じます。
本大会を契機として、当市はこれまでオーストラリアと、青少年を中心とした様々な交流活動を行ってきました。今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、直接の交流ができませんでしたが、オンラインを使った新しい形での交流を行いました。このオーストラリアとの交流が、東京2020大会のレガシーとして、大会終了後も行えるよう引き続き交流事業に取組んでいきます。
また、夏に開催される予定の東京大会では、東日本大震災の際に、世界中の方々からいただいた、たくさんのご支援に対する感謝をお伝えできますように、新型コロナウイルス感染症対策を万全とし、世界中の方々をお迎えする準備を進めていきます。