国際保健

【第2章】グローバルな基金の必要性

平成28年1月15日

 エイズ、結核及びマラリア-これら3大感染症により毎年314万人近くの生命が奪われています(2015年WHO)。特に被害の大きい途上国では、感染症が非常に深刻な社会問題となっています。住民の生命への脅威にとどまらず、疾病負担が生活そのものを脅かし、働き手が減ることによる大きな経済的損失、社会の崩壊、政治的不安定などの諸問題を引き起こしています。国際社会は、これら感染症に対処するためには、基礎的な保健医療の充実が持続可能な開発の前提条件であることを認識しました。

 過去30年以上にわたり公衆衛生の専門家は、エイズ、結核、マラリアを予防し治療するための極めて有効な対策を数多く見出しました。これらを大規模に実施すれば、何百万人もの無用な死や苦しみを阻止して感染症の蔓延を抑えることができます。しかし、そのためには莫大な資金が必要です。

 日本は、G8議長国を務めた2000年九州・沖縄サミットにおいて感染症対策を主要な議題として取り上げ、また、2004年度までの5年間で30億ドルを目途として、感染症分野での今後の貢献を行うべく、沖縄感染症対策イニシアチブを発表しました。こうした感染症対策分野における積極的な姿勢がその後の地球規模の取り組み強化に向けた流れへとつながり、2002年、世界エイズ・結核・マラリア対策基金他のサイトヘ(以下グローバルファンド(世界基金))が設立されるに至りました。

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