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日本の感染症対策への具体的取組み
(沖縄感染症対策イニシアティブ・フォローアップ状況)平成12年12月
九州・沖縄サミットの機会に、我が国は、「沖縄感染症対策イニシアティブ」として、個別の感染症対策支援(HIV/AIDS、結核、マラリア・寄生虫、ポリオ)、公衆衛生の増進、研究ネットワークの構築、基礎教育、水供給等の分野での協力を強化することとし、今後5年間で総額30億ドルを目途とする協力を行う旨表明した。「沖縄感染症対策イニシアティブ」の枠内で、本年度、我が国は、これまで、以下に示す通り、様々なプロジェクト(案件)、プログラム(計画)、スキーム(支援方法)の形成、実施を加速させており、現時点で3億ドル以上の資金協力を含む様々な支援策を決定・実施している。また、目標額を達成する努力を更に強化するため、外務省は、2001年度予算概算要求において感染症対策に充当する新たな無償資金協力予算の設置を優先事項の一つとして大蔵省に要求している。この他、国連に設置した「人間の安全保障基金」を通じ、約1,000万ドルの感染症対策プロジェクトを実施し、NGO活動支援のための取組みを強化することとし、これまで約120万ドルの3案件を実施に移している。
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●市民社会、援助国及び国際機関との連携
- IPPFの「HIV/AIDS信託基金」に100万ドル
我が国は、人口・リプロダクティブ・ヘルス(注)分野での最大の国際NGOである国際人口家族計画連盟(IPPF)に新設した「HIV/AIDS信託基金」に100万ドル拠出することを決定した。この基金は、「沖縄感染症対策イニシアティブ」の最初の具体的措置の一つであり、草の根レベルでのHIV/AIDS予防、性感染症対策といったHIV/AIDSに関するIPPFの活動を支援するために活用される。本年度においては、アフリカ、南アジア及び東・東南アジア・大洋州の各地域を対象に形成されるプロジェクトを支援していく予定である。我が国は、1986年以降IPPFに対する最大の拠出国である。(注)リプロダクティブ・ヘルス(RH)
性と生殖に関する健康。人口家族計画を基礎保健医療、エイズ対策、初等教育、女性の権利などとの関連で捉える包括的な概念。
- タンザニアへの日米合同調査団の派遣
日米両国は、最近、HIV/AIDSをはじめとする感染症・寄生虫症対策及び母子保健向上を目的とする日米合同プロジェクト形成調査団を来年の早い時期にタンザニアに派遣することを合意した。日米両国は、「日米コモン・アジェンダ」の下で、これまで人口・エイズ対策に関する合同プロジェクト形成調査団をザンビア、バングラデシュ及びカンボディアに派遣している。九州・沖縄サミットの直前に派遣されたカンボディアへの合同調査団は、今後の日米協調の優先分野として、HIV/AIDS、結核、HIV・結核重複感染、マラリア等その他感染症・寄生虫症及び母子保健とすることとした。●途上国の主体的取組の強化
- ヴィエトナムのHIV/AIDS予防プロジェクトに364万ドル
ヴィエトナムのHIV感染率は近年急速に増加しており、同国のHIV/AIDSの蔓延を防止し、抑制することは緊急の課題である。これは、同国のHIV/AIDS防止計画の実施を支援するため、3億8,200万円(364万ドル)を限度とする無償資金協力を供与することとした。我が国は、ホーチミン市及び周辺の9省約1,700万人の住民に対しHIV/AIDSの感染拡大を防止するため、血液検査・スクリーニング機材、啓発関連機材、コンドーム購入のための資金を供与するものである。
- スリ・ランカの血液供給システム改善プロジェクトに1,436万ドル
我が国は、スリ・ランカの血液供給改善プロジェクトに15億800万円(1,436万ドル)を限度とする円借款を供与することとした。このプロジェクトは、同国の感染症対策のため安全でかつ効率的な輸血供給システムを確立することに資するものである。円借款は、中央血液センターの建設、同センター及び地域血液銀行への機材供与及びエンジニアリング・サービス、研修等のコンサルティング・サービスのために活用される。
- コンゴー(民)、ハイティ、ケニアのHIV/AIDSプロジェクトに14.4万ドル
我が国は、草の根無償により、コンゴー民主共和国のエイズ撲滅のためのマスメディア・ビデオ機材整備計画へ3.2万ドル、ハイティのHIV/AIDS・性感染症対策研究所産婦人科クリニック強化計画へ4万ドル、ケニアのケニヤッタ国立病院エイズ総合対策センター設置計画へ7.2万ドルの資金協力をそれぞれ行った。
- ザンビアにHIV/AIDS及び結核対策プロジェクトを開始
我が国は、ザンビア大学付属教育病院を対象に、過去10年にわたるプロジェクトを通じて、ウイルス検査室及び結核検査室の設立・機能強化に対する技術協力を行ってきた。明年3月に開始予定の新プロジェクトでは、両検査室のザンビアにおけるHIV検査及び結核検査の中央レファレンスとしての機能強化を図るとともに、両検査室を拠点とした人材育成事業を通じて地方の検査室における両疾患検査技術の標準化、質的向上を図り、同国における効果的なHIV/AIDS対策及び結核対策の推進に貢献することを目的としている。●人材育成
- FASIDエイズ・マネジメント・コース
(財)国際開発高等教育機構(FASID)は、11月、ホーチミン市において、HIV/AIDS問題解決のためのプロジェクト・マネジメントについて日本及びインドシナ地域の関係者向け研修として、エイズ・マネジメント・コースを実施した。このプログラムは米援助開発庁(USAID)との協力で開催され、米NGOの支援も得ている。FASIDは、理論・実践双方の知識を持つ開発協力の専門家を育成するために1990年に設立された。また、FASIDは、日・ASEAN連帯基金の支援を得て、チェンマイ市において上級コースを実施する予定である。
- カンボディアのHIV/AIDSキャパシティ・ビルディング支援に60万ドル
1991年に初めて発見されたカンボディアのHIV/AIDSは急速に拡大しており、最近の国連エイズ合同計画(UNAIDS)報告によれば、現在20万人以上の人々がHIV/AIDSに感染している。HIV/AIDSに感染することにより貧困が悪化し、それが同国の感染拡大を引き起こしている。我が国は、ADB日本特別基金を通じ、同国のHIV/AIDS問題に対応する政府の能力を構築し、効果を高めるために、60万ドルの技術協力を供与することとした。技術協力の具体的内容は、同問題に対するセクター横断的な対応能力及び地方の対応能力を強化するとともに、危険要因を発見するためのサーベイランス・データ及びHIV/AIDSの感染傾向・パターンの分析を行うもの。●南南協力(途上国間の知見の共有)
- 保健医療分野アフリカ開発支援セミナーの開催
世界のHIV/AIDS感染者・患者の約70%が世界人口の10%を占めるサハラ以南アフリカに集中している。こうした危機的状況を踏まえ、我が国は、TICADプロセスの一環として11月にUNAIDSとの共催で、情報・知見の交換・共有を通じHIV/AIDS対策における南南協力を促進することを目的として、アフリカ8ヶ国、アジア2ヶ国、中南米1ヶ国の行政官及び専門家11名を招聘し、標記セミナーを開催した。セミナー最終日に採択されたセミナー・サマリーの内容は、「感染症対策沖縄国際会議」の議論に反映され、本件イニシアティブの今後の展開にわたり参考とされることになっている。●研究活動の促進
- タイのHIV/AIDS研究・開発協力
我が国は、HIV/AIDS及び新興・再興感染症に関する研究・開発のためのキャパシティ・ビルディング(能力構築)を目的として、タイの国立衛生研究所と協力プロジェクトを行ってきている。このプロジェクトの枠組みの中で、我が国は、他のドナー及び主要研究所の参加を得て、同国のHIV/AIDSワクチン評価・検定制度を開発・向上する新たなイニシアティブを開始することとした。このプロジェクトのために来年にも長期専門家を派遣する予定である。II.結核対策
●途上国の主体的取組の強化
- フィリピンの国立結核研究所設立プロジェクトに395万ドル
WHOによれば、フィリピンは世界の結核高負担国の一つであり、毎日約60人が結核で死亡している。我が国は、フィリピンに対し、プロジェクト方式技術協力として結核対策プロジェクトを実施している。我が国は、最近、結核対策における研修、検査、研究、精度管理のため、国立結核研究所の設立及び必要機材の整備に必要な資金として、4億1,500万円(395万ドル)を限度とする無償資金協力を供与することとした。
- 南部イエメン結核対策プログラムに545万ドル
イエメンには約1万2,000人の結核患者が登録され、毎年約5,000人の新規患者が発生している。我が国はこれまで、イエメンの結核対策プログラム支援のため、総額約25億円の無償資金協力とプロジェクト方式技術協力を実施してきた。また、最近、南部イエメン結核対策拡充計画のため、5億6,400万円(537万ドル)を限度とする無償資金協力を供与することとした。この支援は、研修・訓練及び結核検査・研究のためのアデン結核対策センターの建設に充当される。
更に、アデン病院の結核病棟改修プロジェクトとして7.6万ドルの草の根無償を供与した。
- 中国に結核対策調査団を派遣
中国の推定結核患者発生件数は世界第2位であり、毎年約25万人が結核で死亡している。中国の結核患者は貧困農村地域においても多数発生しており、同国の優先課題である西部大開発を推進する上での障害の一つとなり得る。中国はDOTS戦略(短期化学療法を用いた直接監視下治療)を実施中であり、同国からの要請を受け、最近、我が国は、同国のDOTS戦略の下での結核対策に必要となる抗結核薬及び顕微鏡といった機材供与の可能性を検討するミッションを派遣した。III.マラリア・寄生虫対策
●人材育成
- 国際寄生虫対策ワークショップの開催
我が国は、11月にアジア7ヶ国、アフリカ6ヶ国から関係者を招聘し、第3回国際寄生虫ワークショップを開催した。1998年のバーミンガム・サミットにおいて橋本総理(当時)により表明し、またTICADⅡにおいても表明した通り、我が国は、寄生虫対策を成功させた経験を持つ国として、人造り及び研究活動のための拠点をタイ、ケニア及びガーナに設けることを公約している。上記の「国際寄生虫対策に関する橋本イニシアティブ」のアジアにおける拠点として、タイのマヒドン大学熱帯医学部においてプロジェクト方式技術協力を開始した。このワークショップは、人造りを通じて我が国の国際寄生虫対策のコミットメントを図る最初のステップと位置付けている。●途上国の主体的取組の強化
- 太平洋地域のリンパ系フィラリア対策に200万ドルの支援
我が国は、WHO西太平洋地域事務局(WPRO)と協力し、「太平洋リンパ系フィラリア制圧(Pac-ELF)」に対し資金協力を行うこととした。Pac-ELFは、太平洋諸国22ヶ国の調整機関としてWPROにより発足された。WPRO及びPac-ELFの要請を受け、我が国は、南太平洋フォーラム加盟14ヶ国・地域に対し、今後5年間、毎年4,000万円を限度として薬品(DEC)及びそのテストキットを供与する。この協力は、「橋本イニシアティブ」のフォローアップの一環である。IV.ポリオ対策
●市民社会、援助国及び国際機関との連携
- 西太平洋地域ポリオ根絶京都会議の開催
我が国は、10月にWHO西太平洋地域事務局との共催で、「西太平洋地域ポリオ根絶京都会議」を開催した。同会議において西太平洋地域のポリオ発生の終息が発表された。我が国は、同地域の最大のドナー国として、WHO西太平洋事務局及びUNICEFと協力しつつ、ワクチン、コールドチェーン及び関連のサーベイランス機材を供与し、1993-99年度までの間に総額約3,000万ドルにのぼる協力を行った。●途上国の主体的取組の強化
- 南アジア及びアフリカのポリオ撲滅計画に3,000万ドル
西太平洋地域における力強い進展に支えられ、我が国は、ポリオ根絶支援の対象を南アジア及びアフリカに拡大している。2000年度に、バングラデシュ、インド、エティオピア、ガーナ、ナイジェリア、スーダン及びブルキナ・ファソのポリオ撲滅計画に総額31億5,000万円(約3,000万ドル)の無償資金協力を供与した。V.人間の安全保障基金を通じた支援
●NGO活動支援
我が国は、国連に設置した「人間の安全保障基金」を通じてNGO活動支援を強化していく考えである。
- フィリピンのリプロダクティブ・ヘルス/家族計画プロジェクトに48万ドル
我が国は、日本の人口、リプロダクティブ・ヘルス(RH)分野のNGOである「ジョイセフ」が進めるカピス州における地域ベースのRH/家族計画インテグレーション・プロジェクトに対し約48万ドルの支援を行うこととした。このプロジェクトは、UNFPAのプロジェクトとして、5つのモデル地区におけるRHサービスへのアクセス改善、RHサービス提供者の能力強化、RHに関する知識・認識改善を図るもの。
- タジキスタンの医療研修プロジェクトに18万ドル
我が国は、医療水準の低いタジキスタン農村部における公共医療の質の向上を目的として、国内の医師、看護婦、助産婦が研修を受け、専門知識の習得向上を目指すUNDPのプロジェクトに対し、約18万ドルの支援を行うこととした。
- モンゴルのプライマリー・ヘルス・ケア促進と感染症防止プロジェクトに53万ドル
我が国は、医療事情の悪いモンゴルの住民に対し、回転資金を通じ安価で品質の良い必須医薬品を供給することにより、同国における地域レベルでの持続可能なプライマリー・ヘルス・ケア・サービス(注)の再活性化及び感染症の防止を図るUNICEFのプロジェクトに対し、約53万ドルの支援を行うこととした。(注)プライマリー・ヘルス・ケア(PHC)
地域社会に住む誰もがその発展の程度に応じた負担で身近に利用でき、科学的にも適切かつ社会的にも受け入れられているやり方に基づいた人々の暮らしに欠くことのできない保健医療。
- 南アフリカのHIV/AIDS対策に支援を検討中
人間の安全保障基金を活用して、UNDP等と協力することにより、南アフリカにおけるHIV/AIDS関連のプロジェクトを支援することを検討している。VI.その他
●コミュニティ・レベルでの公衆衛生の推進
- 基礎教育、安全な水の供給、地域保健サービス関連プロジェクトの実施
我が国は、ヴィエトナム、インドネシア、モンゴル、ネパール、ニカラグア、ボリヴィア、パレスチナ、マリ、モーリタニア及びセネガルの基礎教育関連プロジェクトに、またギニア、マリ、ブルキナファソ、モーリタニア、セネガル、エティオピア、トーゴ、シリア、ジョルダン、パレスチナ、ラオス、トンガ、ニカラグア、エルサルバドル及びホンデュラスの安全な水供給プロジェクトに、更にモンゴル、ブータン、パキスタン、ネパール、カザフスタン、ウズベキスタン、コロンビア、ニカラグア、ガーナ、ギニア及びマリの母子保健を含む地域保健サービスのプロジェクトに対し、2000年度に総額約2億ドルの無償資金協力を供与した。●国際機関との連携
- マルチ・バイ協力
我が国は、12月11、12両日、WHO西太平洋地域事務局との間で第2回定期協議を開催し、優先事項及びHIV/AIDS、結核、マラリア・寄生虫、ポリオ、その他の感染症を含め今後の協力について協議を行う。また、来年2月には、UNICEFとの間で定期協議を行う予定である。WHO、UNICEFといった国際機関との連携の形式をとる「マルチ・バイ協力」は、開発パートナーシップにおいて極めて有効かつ効率的な方法の一つであると考えており、ポリオ根絶や予防接種拡大計画(EPI)の促進におけるWHO及びUNICEFとのマルチ・バイ協力はその好例である。1989-2000年度のEPIに関するUNICEFとのマルチ・バイ協力の実績は、約49億5,770万円(4,722万ドル)に及んでいる。また、UNFPAとの間でも人口・家族計画に係るマルチ・バイ協力を実施している。最近決定した太平洋諸国のリンパ系フィラリア制圧に対する支援も、WHO西太平洋事務局及びUNICEFとのマルチ・バイ協力の例となる。
- 国際機関への拠出
2000年度、我が国は国連人口基金(UNFPA)及びIPPFに対し援助国最大の約6,900万ドル、国連エイズ合同計画(UNAIDS)に対し722万ドル、バングラデシュにある国際下痢性疾病研究センター(ICDDR,B)に対し178万ドルをそれぞれ拠出している。
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