2012年6月21~22日,米国のシアトルにおいて開催された原子力供給国グループ(NSG)第22回総会の概要(注)は以下のとおり。NSG参加国は46か国で欧州委員会及びザンガー委員会が常任オブザーバー参加。
1.新議長の選出
米国が新議長国として選出された(新議長はダニエル・ポネマン・エネルギー省副長官)。米国政府を代表してマグウッド原子力規制委員会(NRC)委員より開会の挨拶がなされた。その中で,同委員より,米国は,相互協力,不拡散原則の遵守及び原子力安全・セキュリティの重要性に資するNSGガイドラインによる枠組みを支持する旨述べた。
2.今次総会内容
- (1)参加国は,核不拡散体制上の肯定的及び否定的な動き並びに特定の懸念国や地域に焦点をあてた情報交換を行った。
- (2)NSGの権限の範囲内で,北朝鮮及びイランの核計画がもたらす拡散上の懸念が共有された。NSGは,NPT及び国連安保理決議並びにIAEA理事会決議のイランによる完全な履行に基づくイランの核問題の解決に向けた外交努力,また,2005年の六者会合共同声明と整合性を有する北朝鮮の核問題の平和的方法による解決に向けた外交努力に対する長年の支持を改めて表明した。
- (3)NSGは,すべての国に対し,いかなる貨物又は技術の輸出も核兵器計画に寄与することがないよう警戒し,最大限努力するよう要請した。
- (4)NSGは,NSG非参加国に対するアウトリーチについての報告に留意し,継続中の協議及び透明性の重要性について同意した。
- (5)NSGは,合法的な貿易を阻害することなく拡散懸念に対処する必要性について言及し,また,NSGガイドライン及び同規制リストに基づいて審査・執行を行う重要性を再確認した。
- (6)NSGは,核物質の平和的利用のためのアクセスに関するNSGガイドライン・パート1の改訂を承認した。
- (7)NSGは,技術の発展に応じ規制リストを改訂する重要性を強調し,原子炉及び同位体分離分野の改訂の承認を含め,現在進行中のNSGガイドラインの総合的見直しの作業を評価した。
- (8)NSGは,アウトリーチ活動のガイダンスに関する資料を承認した。
- (9)NSGは,2008年のインドに対する民生用原子力協力に関する声明の履行におけるすべての側面について検討を継続し,インドとNSGの関係について協議した。
- (10)NSGは,産業界に関与する有用性に留意し,そのような努力に関するガイダンスを改訂することを承認した。
- (11)NSGは,仲介及び通過について協議し,更に協議を継続することに同意した。
- (12)NSGは,審査及び執行に関する情報やベストプラクティスについて協議し,情報を交換した。
- (13)NSGは,NSGウェブサイトを見直し,改訂することに同意した。
- (14)NSGは,「NSG:その起源,役割及び活動」文書(INFCIRC/539)の改訂に同意した。
(注)同総会にて発出されたパブリック・ステートメントについてはこちら(PDF)に掲載されている。
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