核軍縮・不拡散
非核兵器地帯の概要
令和2年7月20日
1 非核兵器地帯とは
一般的には、特定の地域において、域内国による核兵器の生産、取得、保有及び管理を禁止することによって作り出される「核兵器のない地帯」を意味する。通常、かかる地帯を設置する条約本体に附属する議定書という形で、域外国である核兵器国(米、露、英、仏、中)が、域内への核攻撃をしないことを誓約している(消極的安全保証の供与)。
2 背景
非核兵器地帯は、当初、世界的な核不拡散体制の設立に向けた国際社会の努力の補完的措置として検討された概念で、冷戦時に、東西両陣営間の対立が核戦争に発展することを恐れた非核兵器国側の地域的アプローチとして捉えられてきた。
冷戦終結後も非核兵器地帯設置の動きは継続しており、国際的な核不拡散体制の強化に貢献している。例えば、1999年の国連軍縮委員会(UNDC)において非核兵器地帯の設置に関するガイドラインを含む報告書が採択された。2009年のアフリカ非核兵器地帯条約(ペリンダバ条約)の発効により南半球のほぼ全ての陸地部分が非核兵器地帯に含まれることとなった。また、2010年NPT運用検
討会議において米国がラロトンガ条約及びペリンダバ条約の議定書批准に向けた手続開始等を表明し、2014年に開催された2015年NPT運用検討会議第3回準備委員会の期間中には5核兵器国が中央アジア非核兵器地帯条約の議定書に署名した。
なお、2015年4月には「第3回非核兵器地帯条約締約国・署名国会合」がニューヨークで開催され、日本もオブザーバーとして参加した。
3 我が国の立場
非核兵器地帯に関する我が国の基本的立場は次のとおり。
- (1)一般的に適切な条件が揃っている地域において、その地域の国々の提唱により非核兵器地帯が設置されることは、核不拡散等の目的に資する。
- (2)他方、非核兵器地帯構想が「現実的」なものとなるためには、次の諸点を含む種々の条件が満たされる必要がある。
- ア 核兵器国を含む全ての関係国の同意がある。
- イ 当該地域のみならず、世界全体の平和と安全に資する。
- ウ 適切な査察・検証を伴っている。
- エ 公海における航行の自由を含む国際法の諸原則に合致している。