軍縮・不拡散

第7回包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議
(概要と評価)

平成23年9月23日

(写真)第7回包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議

 9月23日,ニューヨークの国連本部において第7回CTBT発効促進会議(参考1)が開催されたところ,概要及び評価は以下のとおり。

1 概要

  1. (1)今次会議には,多数の批准国,署名国,未署名・未批准国及びNGOが参加し,約60か国が代表演説を行った。エスピノサ・メキシコ外相及びビルト・スウェーデン外相が共同議長を務め,我が国からは玄葉外務大臣が政府代表として参加。
  2. (2)「核兵器のない世界」に向け,CTBT早期批准は不可欠との意見が相次いだ。
  3. (3)福島第一原子力発電所事故に際し,CTBTO(包括的核実験禁止条約機関)準備委員会からの署名国関係機関への情報提供を評価する意見のほか,CTBT検証体制が津波警報システムやその他の災害警報システム,放射性核種の拡散状況を含め,民生・科学分野における有用性が実証された旨の言及が相次いだ。
  4. (4)潘基文(パン・ギムン)国連事務総長からは,発効要件国のうち,CTBT未批准の9か国の法的問題等の具体的解決を図るため,トートCTBTO(包括的核実験禁止条約機関)準備委員会暫定技術事務局長(PTS)とともに,右9か国を訪問する用意がある旨表明があった。
  5. (5)会議参加国の総意として,未署名国・未批准国に対する早期署名・批准の呼びかけや核実験モラトリアム維持の重要性,CTBT検証体制の本来機能に加えた民生・科学分野における有用性等を盛り込んだ最終宣言(別添)が採択された。

2 玄葉大臣による政府代表演説(別添)(和文英文)のポイント

3 評価

  1. (1)米国は,オバマ政権になって初めて出席した前回の発効促進会議(2009年)に引き続き代表を派遣,CTBTOへの任意拠出をはじめとした最近の貢献を紹介した。参加者の中には米国が批准すれば,中国が続くとの見方があり,中国は政府代表演説の中で,立法当局による批准見直しプロセスを促進する努力を継続する旨表明した。
  2. (2)CTBT未批准の発効要件国9か国の1つであり,近く批准することが期待されているインドネシアは,政府は議会とともに批准プロセスの加速化に向け取り組んでいる旨表明。同国の批准プロセスが残りの発効要件国の批准プロセス開始のきっかけとなることを期待している旨述べた。
  3. (3)我が国は,玄葉外務大臣の英語による代表演説を通じて,核兵器国,非核兵器国の対立を越え,すべての国によるCTBT発効促進に向けた共同行動が必要である旨呼びかけ,NPDIメンバー国をはじめとするすべての国との協力の下,核軍縮・不拡散に向けて国際社会を主導するとの考えを力強く発信することができた。
(参考1)発効促進会議
 CTBTは,署名開放後3年を経過しても発効しない場合,批准国の過半数の要請によって,発効促進のための会議を開催することを定めている(第14条2)。この規定により,1999年から隔年で2009年まで発効促進会議が6回開催されており,今回は7回目。
(参考2)CTBTの現状
 CTBTは1996年9月に署名に開放されるも,発効には発効要件国44か国すべての批准が必要とされ,現在まで未発効。発効要件国のうち,米国,中国,インドネシア,エジプト,イスラエル,イランは署名済・未批准。インド,パキスタン,北朝鮮は未署名・未批准。現在,署名国182か国,批准国155か国。
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