平成17年9月29日
9月21日から23日にかけて、ニューヨーク国連本部で第4回CTBT発効促進会議が開催されたところ、概要及び評価は以下のとおり。
(1)1996年の署名開放以来、CTBTの署名国が176ヶ国、批准国が125ヶ国に達する中、今次会議には117ヶ国の批准・署名国(うち17ヶ国は閣僚レベルでの参加)が参加した。我が国からは有馬龍夫政府代表他が参加した。
(2)会議の冒頭、条約の寄託者であるアナン国連事務総長が開会挨拶を行い、5月のNPT運用検討会議が実質的な合意なく終了し、また、9月の国連首脳会合において成果文書から軍縮不拡散への言及が落とされたことを2つの失敗として挙げつつ、CTBTの発効が長引けばそれだけ何者かにより核実験が行われるリスクが高まるとして、未批准の発効要件国に対して批准を呼びかけた。
(3)その後、批准国・署名国の代表が演説を行った。我が国は、政府代表演説において、我が国が唯一の被爆国であり、かつ本年が被爆60年目であるとの意義を踏まえ、我が国が、核軍縮・不拡散に関して明確にコミットしていることを表明し、未批准国に対して速やかな批准を求める等、我が国の核軍縮に取り組む姿勢を積極的にアピールした。
(4)最終日の23日、会議参加国の総意として、条約の未署名・未批准国に対する早期署名・批准の呼びかけや核実験モラトリアムの維持の重要性等を盛り込んだ最終宣言(骨子)がコンセンサスで採択された。
(1)本年5月のNPT運用検討会議が実質的な合意なく終了し、また9月14~16日の国連首脳会合の成果文書から軍縮・不拡散における言及が削除され、軍縮・不拡散を巡る国際社会における意見対立が表面化していただけに、大多数の批准国・署名国がCTBTの早期発効や核実験モラトリアム宣言などの重要性を再確認したことは意義深かったと考えられる。
(2)今次会議には、発効要件国のうち、米国、インド、パキスタン、北朝鮮が参加せず、CTBT早期発効への道のりが依然険しいことを印象付けた。しかし、今次会議はCTBT早期発効に向けて政治的機運を維持する上で一定の効果があったものと考えられ、CTBT批准国は、今後も未批准国に対して粘り強く批准を働きかけていく必要がある。
(3)今回の会議では、CTBTO地震観測施設の情報を津波警報機関へ提供する提案について大多数の参加国より支持が表明された。同構想は、我が国がイニシアティブをとってきたものであるが、人道的な観点のみならず、条約の有用性を高めることにより条約批准のインセンティブを高める効果もあり、積極的に推進していくことが望ましい。