犯罪

人身取引根絶のための国際協力の状況

平成20年4月

1.政府協議調査団派遣

 総合外交政策局審議官を団長とする政府協議調査団(内閣官房、警察庁、法務省、外務省及び厚生労働省)が以下の国を訪問し、先方政府機関、NGO、国際機関及び宗教関係者等と人身取引に関する効果的な諸施策につき協議を行った。

(1)2004年9月13~17日:フィリピン、タイ

(2)2005年1月8~13日:コロンビア、米国

(3)2005年1月21~23日:フィリピン

(4)2005年7月21~29日:ロシア、ウクライナ、ルーマニア、仏

(5)2006年5月15~19日:タイ、インドネシア

(6)2007年1月15~19日:ラオス、カンボジア

(7)2008年2月12~15日:オーストリア(「人身取引対策に関するウィーン・フォーラム」への出席の機会に米、タイ、インドネシア、ルーマニア、バチカンと協議)

2.国際的な支援

 我が国は、人間の安全保障基金やその他の国際機関への拠出、無償資金協力等を通じて人身取引対策を積極的に支援している。2002年以降2007年末までに総額95,017,331ドルの人身取引対策支援を実施した。

【最近の支援の一例】

(1)人間の安全保障基金については、2008年に国連開発計画(UNDP)、国連児童基金(UNICEF)、汎米州保健機構(PAHO)及び国際労働機関(ILO)がエルサルバドルにおいて実施する「ソンソナテ県3市の市民安全改善と平和的共存の推進による人間の安全保障強化プロジェクト」に対し、約2億7,838万円の支援を実施。2007年には、ILO及びUNDPがタジキスタン共和国において実施する「紛争後のタジキスタンにおける雇用創出及び移住管理改善を通じたコミュニティ開発」に対し、約1億2,702万円の支援を実施。また、2006年には、ILOが実施する「タイ・フィリピンに於ける帰還したトラフィッキング犠牲者の経済社会的エンパワーメント事業」に対し、約2億1,155万円の支援を実施。

(2)2007年に、国連薬物犯罪事務所(UNODC)がタイにおいて実施する「人身取引被害者の芸術療法にかかるプロジェクト」に対し、約13,000ドルの支援を実施。

(3)我が国の人身取引行動計画の一環として、国際移住機関(IOM)を通じた「トラフィッキング被害者帰国・社会復帰支援事業」を支援。2007年300,000ドル、2006年322,000ドル、2005年222,486ドルを拠出し、2008年3月末までに、合計129名の被害者に対する帰国及び社会復帰支援を実施。

(4)2006年10月にUNICEFが中央アジアで実施する児童の人身取引対策に対し、20万ドルの支援を実施。

(5)2005年に、国際NGO「バンコクキリスト教青年会財団」がタイにおいて実施する「パヤオ県人身取引防止及び被害者支援計画」に対し、約985万円の草の根・人間の安全保障無償資金協力を実施。

3.アジア地域における協力枠組み

(1)人身取引対策に関する日タイ共同タスクフォース

 2006年5月の政府協議調査団派遣の際、タイとの間では日タイ共同タスクフォースを立ち上げ、防止、法執行、被害者保護の分野を重点的に協力していくことで合意。これまで、人身取引対策に関する日タイ共同タスクフォース会合を2回開催し、具体的な二国間協力について協議している。

(2)バリ・プロセス

 インドネシアと豪の共催による「人のトラフィッキング・不法移民及び関連の国境を越える犯罪に関する地域閣僚会議」(2002年2月、於:バリ。アジア大洋州、中東から38ヶ国及び関係機関が参加)のフォローアップ・プロセス(以下「バリ・プロセス」)において、我が国は「情報共有分野」の調整役を担当している。具体的には、IOMが行っているバリ・プロセスの活動に関するウェブサイトの維持・管理及び掲載情報の整備への支援、情報共有活動の活性化に関する報告書の作成、情報交換会議の開催等の活動を行い、本枠組み関係国間の情報共有の向上に努めている。

 2005年6月、東京において人身取引撲滅のための関係省庁間による行動計画策定に関するバリ・プロセス作業部会を開催し、46の政府、6国際機関及び3つのNGOから126名の参加を得た。

4.人身取引問題に関する国際シンポジウム等の開催

 国際シンポジウム等の開催を通じ、国内外における意識喚起を行うとともに、政府、NGO、国際機関など様々なアクターが意見交換や協力を行う場を提供している。

(1)人身取引に関する国連関係機関調整会合(2006年9月)

(2)人身取引問題に関する国際シンポジウム(2006年2月)

(3)児童のトラフィッキング問題に関する国際シンポジウム(2003年2月)

(4)第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議(横浜会議)(2001年12月)

(5)人のトラフィッキングに関するアジア太平洋地域シンポジウム(2000年1月)

5.国連における人身取引問題に関する取組

(1)第17回犯罪防止刑事司法委員会(2008年4月)において人身取引決議案提出・コンセンサス採択(Efforts in the fight against trafficking in persons

(2)人身取引対策に関するウィーン・フォーラムにおける新保総合外交政策局審議官ステートメント発出(2008年2月)

(3)第15回犯罪防止刑事司法委員会(2006年4月)において人身取引決議案提出・コンセンサス採択(Strengthening international cooperation in preventing and combating trafficking in persons and protecting victims of such trafficking


【参考】日本の最近の人身取引対策(概要)

 

平成20年4月

1.人身取引対策行動計画の策定(平成16年12月7日)

2.人身取引議定書の締結(平成17年6月8日に国会承認済み)

3.法律・省令の改正

(1)刑法改正(人身売買罪の新設)(平成17年6月22日公布)

(2)組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成17年6月22日公布)

(3)風営法の改正 (平成17年11月7日公布)

(4)入管法の改正(平成17年6月22日公布)

(5)旅券法の改正(平成17年6月10日公布)

(6)法務省令(興行の審査厳格化)の改正(平成17年3月15日改正省令施行、平成18年6月1日改正省令施行)

4.防止

(1)興行の在留資格審査の厳格化(平成17年3月15日改正省令施行、平成18年6月1日改正省令施行)

(2)出入国審査の厳格化(プレクリアランスシステム、セカンダリー・インスペクション等)

(3)査証審査の厳格化(本人性確認強化、被害者出身地域の若年女性等を対象とする慎重審査)

(4)国土交通省から旅行業界に対し、児童の性的搾取に加担しないよう通達。

5.取締及び訴追

(1)検挙件数 79件(平成16年)、81件(平成17年)、72件(平成18年)、40件(平成19年)

 警察が認知した被害者数(77名(平成16年)、117名(平成17年)、58名(平成18年)、43名(平成19年))

(2)起訴数の増加(37名(平成15年)→48名(平成16年)→75名(平成17年))

(3)人身売買罪による起訴(34件(施行日~平成19年12月末))

6.被害者の保護

(1)公的シェルターでの保護数の増加(6名(平成15年度)、 24名(平成16年度)、117名(平成17年度)、36名(平成18年度)

(2)入管による在留特別許可件数(87件(平成17年~平成19年)

(3)民間NGOへの一時保護委託(平成17年4月以降、実施中)

(4)国際移住機関(IOM)を通じた被害者の帰国支援(平成17年4月~平成20年3月末までで129名)

(5)保護強化のための通達の発出(厚労省、警察庁、法務省)

(6)潜在化しやすい人身取引事犯等を対象とした匿名通報ダイヤルの導入(平成19年10月)

7.広報

(1)テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等で広報

(2)リーフレット(被害者用、50万部作成)、ポスター(社会啓発用、2万5千5百部作成)、「日本の人身取引対策」パンフレット5千部を作成、英語版パンフレット5千部を作成


Adobe Acrobat Readerダウンロード Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータのOS用のソフトウェアを入手してください。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る