人権外交
米国主催
民主主義のためのサミット(結果概要)
令和3年12月10日
(写真提供:内閣広報室)
12月9日から10日にかけて(日本時間)、米国主催の民主主義のためのサミットがオンライン形式にて開催され、岸田文雄内閣総理大臣が初日のセッションに参加したところ、概要は以下のとおりです。中谷元総理大臣補佐官も同席しました。
- 12月9日から2日間の日程で、ジョセフ・バイデン米国大統領(The Honorable Joseph R. Biden, Jr., President of the United States of America)の呼びかけの下、「腐敗との闘い」、「権威主義からの防衛」、「人権尊重の促進」をテーマとした民主主義のためのサミットが開催され、世界各国の政府、市民社会等から幅広く多様なリーダーが集まり、民主主義を強化するための議論が行われています。
- 岸田総理大臣は、首脳プレナリー・セッションにオンラインで参加し、民主主義を含めた普遍的価値を重視する立場から、民主主義を守り、世界における人権を促進するために重視している点について、概要以下のとおり述べました。
(1) 自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を損なう行動に対しては、有志国が一致してワンボイスで臨んでいかなければならない。深刻な人権状況については、これからもしっかりと声を上げていく。また、北朝鮮による拉致問題は、日本の主権や国民の生命と安全に関わる重大な問題であるとともに、基本的人権の侵害という国際社会全体の問題でもある。
(2) 各国の歴史的経緯を尊重することこそが、民主主義の定着に寄与する。我が国はこうした信念の下、アジアの国々における和平プロセス、平和の定着、復興の後押しなど、二国間対話を通じ、各国の自主的な取組を後押ししてきた。現在、アジアを中心に世界各地74を超える国々に対し、人材育成、メディアの自由の強化、選挙、司法を含む各種制度の構築・整備支援を行っており、引き続き、各国の民主化に向けた取組を支援していく。
(3) 健全な民主主義の発展のためには、その中核的な土台として、中間層が質・量両面で分厚くなっていくことが不可欠である。しかしながら、金融資本主義経済の急激な展開が、格差の拡大や国際社会の分断など多くの弊害を生み、世界の多くの国で、健全な民主主義に歪みをもたらしつつある。日本は、デジタルとグリーンをキーワードとする経済社会の歴史的変革の中で、成長も分配も実現する「新しい資本主義」の実現に取り組み、健全な民主主義の中核である中間層を守るとともに、気候変動などの地球規模の課題や「人」を大切にした未来に向けた投資に、力強く取り組んでいく。
(4) 人権に関する取組を進めるために、中谷元議員を総理補佐官に任命した。また、企業における人権尊重の取組も、企業の予見可能性を確保しつつ、積極的に進めていく。国際機関との連携も重要であり、国際機関に対して約1,400万ドルを拠出することを決定した。
(5) 日本は、強靭な民主主義、基本的人権の尊重を、多くの国・地域に広げ、根付かせていくために、国際社会と共に歩んでいく決意である。 - 本サミットにおいては、全ての招待国・地域の首脳による各国の取組等についてのビデオ・メッセージ及び主要なテーマに沿った国内・国外双方における取組に関するコミットメントの発出が呼びかけられており、日本は、民主主義を含めた普遍的価値を重視する立場から、岸田総理大臣による首脳プレナリー・セッションへのオンライン参加に加え、ビデオ・メッセージ 及び日本の取組についてのコミットメント(英文(PDF) ・和文(PDF) ) を発表しました。