平成22年1月29日
(1)1月26日、三田共用会議所にて、外務省主催国際セミナー「責任ある資源開発に向けた新たな潮流~投資国と資源国のWin-Win関係を目指して~」を開催。石油・天然ガス・鉱業関連企業、大学、シンクタンク、在京大使館、政府関係機関等から約240名が参加した。
(2)冒頭、小田部外務審議官が開会挨拶を行い、世界経済の持続可能な成長、貿易・投資及び途上国の開発の観点から、責任ある資源開発の重要性を強調した。
(3)引き続き開催された各セッションの要旨は以下のとおり。
鉱物資源開発の現況について説明し、中国などの新興国における需要が拡大している旨、また、低炭素社会に向けてレアメタルの重要性が益々高まり、持続可能な資源開発が求められている旨を述べた。
先進国と新興国の鉱山会社による資源開発によって、環境だけでなく人権、労働、紛争、腐敗などの様々な問題が引き起こされていると指摘。我が国においてもサプライチェーンの最上流である資源採取の状況を認識し、限りある資源をいかに有効かつ適切に使用するかを考えるべき旨を述べた。
資源開発に伴う問題として、資源国政府と企業双方が環境基準に対する違反行為や法の網の目をくぐって不正行為を行っている場合があり、透明性が欠落していると指摘。その解決策として、資源によってもたらされる収益に関する透明性と公平な分配、説明責任が必要と指摘しつつ、その一例としてタンザニアにおけるEITIのプロセスについて紹介。
EITIの設立背景、目的、資源国政府や参加する企業の活動のプロセス等について説明の上、資金の流れの報告について実例を用いて示した。
EITI発足時からの熱心な支援企業であるBPの元副社長として、ビジネスの視点からEITIの重要性について説明。
インドネシア政府と同国のエネルギー分野の開発事業に参画している我が国企業の関係について説明しつつ、インドネシア政府は本年中にEITI実施国として参加する予定であるとして、資源関連収益の流れの透明性を確保するための施策について紹介。
冒頭、モデレーターの平野ジェトロ・アジア経済研究所地域研究センター長が、これまでの発表をとりまとめつつ、EITIの重要性を確認。続いてパネル・ディスカッションが行われ、第一及び第二セッションの講演者のそれぞれの論点が掘り下げられた上、資源開発の上流部分への直接関与が少ない我が国企業にEITIがもたらし得るメリット、EITIへの参加国と非参加国との間に生じ得る競争条件の違い、責任ある資源開発を目指すEITI型成長モデルの可能性、中国による資源開発に対する見方等につき活発に議論。最後に、フロアとの質疑応答が行われた。
(1) 資源開発の現況を概観しつつ我が国を含む国際社会による責任ある資源開発のあり方について検討を深め、これを実現するための多国間協力の一つであるEITIを中心とする新たな潮流を紹介するとの本セミナーの目標は、数多くの我が国企業関係者や在京大使館関係者等の出席を得て達成されたものと評価。モーバーグEITI事務局長も、我が国企業の理解と関心の高まりが確認でき、非常に有意義であったと満足の意を表明した。
(2) 本セミナーは、EITI及びこれが推進する責任ある資源開発に向けた取組への我が国政府の積極的な姿勢を国内外にアピールする機会となった。今後、アジア地域におけるEITIの拡大・進展が期待される。
Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータのOS用のソフトウェアを入手してください。