6月6日~10日,化学・生物兵器(CBW)関連物資・技術の拡散を防止するための国際輸出管理レジームであるオーストラリア・グループ(AG)総会がパリで開催されたところ,概要以下のとおり。
AG参加国は,化学・生物関連の機微な汎用資機材の拡散を防止するための措置の促進等について議論を行うとともに,拡散に関する新たな挑戦に対処するための措置等についての経験を共有した。多くの参加国が,特に拡散が懸念される国としてシリアに言及した。また,AG総会は,規制リストの変更を多数採択するとともに,新発展技術に関連した拡散リスクについての見直しを継続した。他方で,AG参加国は,その輸出管理が化学・生物分野における合法的な商取引及び技術協力の障害とならないよう確保することを再確認した。
AGは,あらゆる形態の大量破壊兵器の更なる拡散を防止するためには,無形技術の不正な移転の防止が優先事項であることを認識しつつ,当該移転の防止を促進するために各国がとっている措置を概観した。また,AGは,無形技術移転への対処においてAG参加国が使用するマニュアルを採択した。
AGは,機微な無形技術の移転の管理を含め,AGの作業への産業界及び学界の関与が引き続き重要であることを強調した。また,AGによるこのようなアウトリーチ活動は,合法的な商取引の促進において産業界の利益となることに言及した。
2011年に新規参加を認められた国はなかった。他方で,複数の国がAGへの新規参加に関心を有していることが注目され,今後,これらの国への更なる関与を行っていくことが期待された。
AG総会は,AGの規制リストが引き続き化学・生物関連物質等に対する規制の国際的基準となっていることに言及した。AGの規制及び活動が国際的に益々受け入れられつつあり,各国が自国の規制リストにAGの規制リストを採用してきているのは,AGによるAG非参加国及び国際機関との広範な協力によるものであり,AG総会は,2011~2012年においてもこのような協力を積極的に継続してくことについて合意した。
(同総会に関するメディアリリースについては,http://www.australiagroup.net/en/media_june2011.html参照。)