5月31日~6月4日,化学・生物兵器(CBW)関連物資・技術の拡散を防止するための国際輸出管理レジームであるオーストラリア・グループ(AG)総会がパリで開催されたところ,概要以下のとおり。
AGは規制リストの改訂を多数行うとともに,新発展技術関係の拡散リスクに更なる注意を払い,新発展技術専門家会合の勧告を採択した。他方で,AG総会は,不拡散・輸出管理が化学・生物関連産業における合法的な商取引及び技術協力の障害とならないことを確保するとの取組みを強調した。
AGは,近い将来,ITTに関するアウトリーチ用ブックレットを完成させることに同意した。右ブックレットは韓国からの財政的支援により作成されるもので,AGの参加国・非参加国を問わず参照可能で,オンラインでも閲覧可能となる予定。AG総会は,無形技術の不正移転防止が引き続き最優先事項であることを再確認し,ITTブックレットが無形技術の不正移転防止に役立つことに期待を表明した。AGは産業界及び学界と協力し,機微技術を含む無形技術の不正移転防止に努めることの重要性を強調した。
2010年に新規参加を認められた国はなかった。他方,複数国からAG新規参加の関心が表明されており,AGとして今後これらの国と更なる連携を保っていくことが確認された。
AGの規制リストは,引き続き化学・生物剤に対する規制の国際的基準となっている。AGの規制リスト及び活動が,国際的に受け入れられたのは,AGの非参加国及び国際機関への積極的なアウトリーチ活動によるところが大きいことを認識し,AG総会は2010~2011年においても同様にアウトリーチ活動を行っていくことを合意した。
(同総会にて発出されたパブリックステートメントについては,http://www.australiagroup.net/en/agm_june2010.html参照。)