第3節 北米
1 概観
現在、パワーバランスの変化や地政学的競争の激化に伴い、自由で開かれた安定的な国際秩序は大きく揺らいでいる。また、東シナ海や南シナ海における中国による力又は威圧による一方的な現状変更の試み、台湾海峡をめぐる緊張の高まり、北朝鮮による核・ミサイル開発、さらには露朝間の軍事協力や中露間の軍事的連携など、日本周辺の安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑な状況にある。
そのような中、価値や原則を共有するG7を含めた同盟国・同志国との結束は、その重要性を大きく高めている。米国は日本にとって唯一の同盟国である。強固な日米同盟は、日本の外交・安全保障政策の基軸であり、インド太平洋地域の平和と繁栄の礎である。また、G7のメンバーであり、普遍的価値を共有するインド太平洋地域の重要なパートナーであるカナダとの協力も不可欠である。日本が長年紡いできた信頼関係に基づくこうした国々との連携は、地域と国際社会の平和と安定を堅持するために不可欠である。
2025年12月、米国はトランプ大統領の下で、新たな国家安全保障戦略を公表し、「力による平和」を進め、インド太平洋地域における紛争を抑止するために同盟国等と協力することや、米国との間で確認してきた共通の目標である「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」についてのコミットメントを示した。また、米国は、中東、ウクライナなど各地における紛争の解決に向けた積極的な外交を展開しており、日本としてもそうした米国の各地での平和の実現を目指す外交努力を後押ししている。
カナダは、3月に首相に就任したカーニー首相の下、米国との新たな経済・安全保障関係構築を模索すると同時に、貿易多角化の観点から、欧州やインド太平洋諸国との協力関係の強化を推進している。2025年にはG7議長国として、6月のG7カナナスキス・サミットや、3月と11月のG7外相会合等を主催し、中東やウクライナ情勢に関する取組を主導した。
日本の唯一の同盟国である米国との間では、安全保障や経済にとどまらず、あらゆる分野で重層的な協力関係にあり、日米関係はかつてないほど強固で深いものとなっている。
日米両国は2025年1月から同年12月末まで、首脳間で計9回(うち電話会談6回)、外相間で6回(うち電話会談1回)会談を行うなど、あらゆるレベルで意思疎通し、日米関係の強化やFOIPの実現に向けた協力を確認してきている。
2月には、石破総理大臣が訪米し、トランプ大統領との間で日米首脳会談を行い、FOIPの実現に向けて緊密に協力し、日米同盟を新たな高みに引き上げていくことを確認した。10月には、トランプ大統領が訪日し、高市総理大臣と日米首脳会談を行い、両首脳は日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していくため、幅広い安全保障協力を進めていくことで一致するとともに、関税に関する日米間の合意について両国による迅速かつ継続的な取組を確認する文書(「合意の実施 -日米同盟の新たな黄金時代に向けて-」)に署名し、日米両国の経済を更に力強く成長させることを確認した。また、両首脳は、FOIPを力強く推進するために、緊密に連携していくことを確認した。
また、日本とカナダの間では、2025年1月から同年12月末まで、首脳間で3回(うち電話会談1回)、外相間で6回(うち電話会談1回)会談が行われた。会談では、引き続き日加戦略的パートナーシップを強化していくことで一致するとともに、2022年に両国間で発表した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)に資する日加アクションプラン」を着実に実施し、FOIP実現に向けて引き続き日加間で連携することを確認した。実際、日加情報保護協定の署名や違法・無報告・無規制(IUU)漁業監視活動における協力を始め、同アクションプランに基づく安全保障・法の支配などの分野における協力が着実に進展してきている。また、2025年カナダが議長国を務めたG7などの国際枠組みを通じた連携を含め、多岐にわたる外交の推進を通じて、日加関係がより一層強化された1年となった。
