外交青書・白書
第2章 地域別に見た外交

6 大洋州

(1)オーストラリア

ア 概要・総論

法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた日本とオーストラリアの戦略的ビジョンは広い範囲で一致しており、日豪両国は、共に「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現のために主導的役割を果たす意思と能力を有する同志国である。地域が様々な課題に直面する中で、両国間の協力はかつてなく重要であり、2026年の日豪友好協力基本条約署名50周年も踏まえ、両国は、首脳間や外相間の緊密な関係を基盤として、日豪の「特別な戦略的パートナーシップ」を更なる高みに引き上げるべく、安全保障、経済、経済安全保障、人的交流を含むあらゆる分野での二国間協力を深化させている。また、インド太平洋地域や国際社会の平和と繁栄に貢献するべく、同志国連携の中核である日豪を基盤として、日米豪、日米豪印といった枠組みを含め、米国や他の同志国との重層的な協力を一層推進している。なお、5月には連邦議会選挙が実施され、アルバニージー首相が党首を務める労働党が2022年の前回選挙に続いて勝利し、アルバニージー首相を始め主要閣僚が留任した。

また、経済面では、日本にとってオーストラリアは第3の貿易相手国、オーストラリアにとって日本は第2の貿易相手国であり、この相互補完的な経済関係は、2015年に発効した日豪経済連携協定(EPA)、2018年に発効した環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)、2022年に発効した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定などを通じて、更に発展している。

首脳間では、石破総理大臣は、5月の連邦議会選挙直後にアルバニージー首相と電話会談を行い、日豪間の「特別な戦略的パートナーシップ」を一層強固にしていくため様々な分野で緊密に連携していくことを確認した。6月の首脳会談では、石破総理大臣から日豪協力は同志国連携のモデルであると述べた上で両首脳は、東アジア情勢も含めたインド太平洋地域の安全保障環境などについて意見交換を行い、連携を強化することで一致するとともに、両国間の戦略的連携を深化させ、同盟国・同志国等との協力を推進していく重要性を確認した。また、高市総理大臣就任直後の10月の首脳会談では、高市総理大臣から、日豪がFOIPの実現のために主導的役割を果たす意思と能力を有する同志国であると述べた上で、2026年の日豪友好協力基本条約署名50周年を見据え、両国関係を更なる高みに引き上げるため、安全保障、経済、人的交流を含む幅広い分野で両国の協力を一層強化することで一致した。

外相間では、岩屋外務大臣が1月にウォン外相と外相会談を実施し、日米豪印の取組を含め、米国や他の同志国との重層的な協力を推進することで一致した上で、日豪間の安全保障協力に関し、サイバーや経済安全保障分野を含め、2024年9月の日豪「2+2」で一致したコミットメントを着実に実行することを確認した。また、9月には、日豪外相会談(ワーキング・ディナー)を実施し、両外相は、経済分野での連携・対話や人的交流を強化していくことを確認し、同日に署名した「海外における自国民保護に関する日豪協力覚書」を踏まえて協力を更に進めていくことで一致した。茂木外務大臣就任直後の10月の外相会談では、現下の厳しい戦略環境を踏まえて、同志国との重層的な協力を一層推進し、重要鉱物のサプライチェーンを含む経済安全保障分野において、日豪間で具体的な協力を更に進めることで一致した。

日豪首脳会談(10月26日、マレーシア 写真提供:首相官邸ホームページ)
日豪首脳会談
(10月26日、マレーシア 写真提供:首相官邸ホームページ)

日豪両国は、上記のような首脳間や外相間の緊密な意思疎通を通じて、以下の分野で連携を強化している。

イ 安全保障分野での協力

日豪間の安全保障協力は、かつてなく広範かつ強固なものとなっている。2023年に発効した日豪部隊間協力円滑化協定の下、両国間の部隊間協力は強化されており、両国は地域の平和と安定に対する共同の関与を強めている。

8月には、オーストラリア政府が日本の「もがみ」型護衛艦の能力向上型を次期汎用フリゲートとして選定したことを発表し、安全保障・防衛協力を含めた日豪関係全体を更なる高みに引き上げる大きな一歩となった。

9月には、第12回日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)を東京で実施し、2022年に発出した「安全保障協力に関する日豪共同宣言」(30)に沿って、共同の抑止力の強化に向けた協力を更に発展させていくとともに、戦略的評価を共有しつつ、両国の主権及び地域の安全保障の利益に影響を及ぼし得る潜在的な緊急事態に関する外務・防衛当局間の議論を活性化することで一致した。また、4大臣は、運用協力、防衛産業・先進技術など、経済安全保障、戦略的コミュニケーション、サイバー及び情報セキュリティといった分野での協力を強化していくことを確認した。

ウ 経済関係

両国がCPTPPの交渉を主導したことに示されるように、両国は地域の自由貿易体制の推進や法の支配に基づく自由で公正な経済秩序の構築に向けて、緊密に連携してリーダーシップを発揮している。

両国間では、日本が主に自動車などの工業品をオーストラリアに輸出し、また、オーストラリアが主に石炭や天然ガスなどのエネルギー資源や牛肉などの農畜産物を日本に輸出するという相互補完的な経済関係が、長年にわたり発展してきている。特に近年では、重要鉱物や水素・アンモニア関連分野などの新しい協力も進んでいる。

エ 文化・人的交流

オーストラリアには約42.4万人に上る日本語学習者(世界第4位)や100を超える姉妹州・都市提携があるなど、長年培われた親日的な土壌が存在する。JETプログラム(語学指導などを行う外国青年招致事業)及び新コロンボ計画による日豪間の相互理解の促進、若手政治家交流など、両国関係の基盤強化のための各種取組が行われている。また、日豪ワーキング・ホリデー制度についても、引き続きその適切かつ着実な運用に取り組んでいる。

オ 国際社会における協力

両国は、国際社会の平和と安定への積極的な貢献に向けた協力を強化している。特に、海洋安全保障、北朝鮮の核・ミサイル開発といった地域が直面する諸課題に関する協力を深めている。国連安保理決議により禁止されている北朝鮮籍船舶の「瀬取り」(31)を含む違法な海上活動に対して、オーストラリアは、5月、駆逐艦「シドニー」を派遣し、2018年以降13度目の艦艇による警戒監視活動を行った。また、3月及び10月に、2018年以降15度目及び16度目となる航空機による警戒監視活動を行った。

(2)ニュージーランド

ア 概要・総論

日本とニュージーランドは、民主主義、市場経済などの基本的価値を共有し、長年良好な関係を維持している。両国間の「戦略的協力パートナーシップ」の下、経済、安全保障、人物交流を含む二国間協力の強化に加え、地域や国際社会の課題に係る協力関係を強化している。

イ ハイレベル協議

地域情勢が一層厳しさを増す中、ニュージーランドとの間では、首相間や外相間を含む緊密な意思疎通を行っている。首脳間では、6月、石破総理大臣がラクソン首相と電話会談を実施し、石破総理大臣から、ニュージーランドはインド太平洋地域における、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を推進していく上で重要なパートナーであると述べた上で、両首脳は、不透明性を増す世界経済や多角的自由貿易体制を含め、経済分野について幅広く議論するとともに、安全保障分野を含め、両国の関係を更に深化させることで一致した。外相間では、岩屋外務大臣が7月にピーターズ外相と会談を実施し、岩屋外務大臣から、FOIPの担い手として両国が連携を強化していることは心強く、両国の安全保障協力の着実な深化を踏まえ、「戦略的協力パートナーシップ」を強化していきたいと述べつつ、両国が物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に向けた交渉を開始することで一致したことを歓迎した。加えて、岩屋外務大臣から、拉致問題の即時解決について引き続きの理解と協力を求め、支持を得た上で、両外相は、地域の厳しい安全保障環境について意見交換を行い、地域情勢に関して引き続き緊密な意思疎通を図ることを確認するとともに、同盟国・同志国との重層的な連携を強化し、地域の戦略課題に対して共に大きな役割を果たすことを確認した。8月には外相電話会談を実施し、両外相は、ウクライナ、太平洋島嶼(しょ)国及び中東地域の情勢に関する意見交換を行い、地域及び国際社会の諸課題に効果的に取り組むため、連携していくことを確認した。

また、12月、茂木外務大臣は、訪日中のコリンズ国防相との間で、日・ニュージーランド物品役務相互提供協定(ACSA)及び日・ニュージーランド情報保護協定への署名を行った。また、署名式の後の会談で両大臣は、安全保障分野における協力、経済安全保障、地域情勢や米国のこの地域への関与の重要性などについて意見交換を行い、両国の安全保障協力を一層強化していくことの重要性を確認した。

日・ニュージーランド物品役務相互提供協定(ACSA)及び日・ニュージーランド情報保護協定への署名(12月19日、東京)
日・ニュージーランド物品役務相互提供協定(ACSA)及び日・ニュージーランド情報保護協定への署名(12月19日、東京)
ウ 経済関係

両国は、相互補完的な経済関係を有しており、CPTPPやRCEP協定の着実な実施や世界貿易機関(WTO)改革、インド太平洋経済枠組み(IPEF)など自由貿易体制の推進や法の支配に基づく自由で公正な経済秩序の構築に向けて緊密に連携している。7月の日・ニュージーランド外相会談では、CPTPPを含む経済分野での協力を一層強化していくことを確認した。

エ 文化・人的交流

日本とニュージーランドとの間の人的交流については、人的交流事業であるJENESYSを通じ、2025年までの累計で1,200人以上が参加しているほか、JETプログラムについては、2025年までに3,600人以上が参加(年平均換算で約100人、人口1,500人に1人がJET経験者)するなど、活発な交流が続けられている。また、両国間には44の姉妹都市関係(ニュージーランドが他国と結ぶ姉妹都市提携数の中で最多)が構築されている。

オ 国際社会における協力

両国は、国連を含む国際場裡(り)の場で、国際社会の平和と安定のために緊密に協力している。例えば、東アジア首脳会議(EAS)、ASEAN地域フォーラム(ARF)、アジア太平洋経済協力(APEC)、太平洋・島サミット(PALM)などの地域協力枠組みや、太平洋島嶼国地域における連携、日豪NZ韓の枠組みなどを通じて、地域の安定と発展のために積極的な役割を果たしている。また、国連安保理決議により禁止されている北朝鮮籍船舶の「瀬取り」を含む違法な海上活動に対して、ニュージーランドは、11月、補給艦「アオテアロア」を派遣し、2024年以降2度目となる艦艇による警戒監視活動を行った。また、4月及び11月、「P-8A」を派遣し、2018年以降7度目及び8度目となる航空機による警戒監視活動を実施した。

(3)太平洋島嶼国(32)

ア 概要・総論

太平洋島嶼国は、美しく広大な海に囲まれ、海洋資源や自然に富んでいる。この地域は、それぞれの特色を持つ「ミクロネシア地域」、「ポリネシア地域」、「メラネシア地域」に分けられ、第二次世界大戦を経て1970年代以降に植民地・信託統治から独立した、比較的若い国々から成り立っている。その一方、国土が小さな島々に散在している「隔絶性」、各国の人口が小さく規模の経済が働かない「狭小性」、主要な国際市場から遠く離れている「遠隔性」といった厳しい条件の下で、様々な脆(ぜい)弱性を抱える。中でも、気候変動は太平洋島嶼国の存在を脅かす「存続に関わる唯一最大の脅威」である。このような課題に直面する中で、太平洋島嶼国・地域の首脳が政治・経済・安全保障など、幅広い分野において地域の協力を推進するための対話の場として、1971年以降、太平洋諸島フォーラム(PIF:1999年に南太平洋フォーラム(SPF)から改称)が発展してきた。

太平洋島嶼国は、日本と太平洋によって結ばれ、歴史的なつながりも深く、国際場裡での協力や水産資源・天然資源の供給においても重要なパートナーである。また、太平洋の中心に位置することからFOIPの要としてもその重要性が高まっている。日本は、二国間での協力に加え、PIFとの協力も進めている。PIFは、2022年の総会において、2050年の太平洋島嶼国地域における政治・経済などのあるべき姿と戦略的方策をまとめた「ブルーパシフィック大陸のための2050年戦略」(「2050年戦略」)を発表した。日本は、この戦略に対する強い支持を一貫して表明してきており、2024年7月に実施した第10回太平洋・島サミット(PALM10)(東京)では同戦略に沿った議論を行い、共同行動計画を取りまとめた。

イ 太平洋諸島フォーラム(PIF)

太平洋島嶼国の地域機構である太平洋諸島フォーラム(PIF)では、9月にソロモン諸島で総会が開催され、首脳共同声明において、平和・安全保障に関する地域主導の対話・合意を重視し、地域が一体となって平和と安全保障を確保するイニシアティブとして、「平和の海」宣言が承認された。

3月、岩屋外務大臣は、訪日したワンガPIF事務局長と会談し、太平洋島嶼国にとって「存続に関わる唯一最大の脅威」である気候変動への取組として、日本が「太平洋強靱化ファシリティ(PRF)」に300万ドルの拠出を決定したことを伝達した。また、岩屋外務大臣からは、ALPS処理水(33)の海洋放出については安全性が確保されていることを説明するとともに、今後も科学的根拠に基づき透明性をもって対応し、安心感を高めていくことを説明した。これに対し、ワンガ事務局長から、こうした日本の取組への理解が示された。このほか、岩屋外務大臣から日本と地域との協力関係をより強固なものとするため、両者間で意思疎通を緊密化するための高級事務レベル対話の立ち上げを提案した。これを受け、7月に第1回日・PIF事務局「キズナ・タラノア」協議が開催された(タラノア:フィジー語で「開かれた透明性のある対話」の意味であり、太平洋島嶼国の伝統的な概念)。

日・太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局「キズナ・タラノア」協議の開催(7月11日、フィジー・スバ)
日・太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局「キズナ・タラノア」協議の開催(7月11日、フィジー・スバ)
ウ 国別の動き
(ア)キリバス

10月、奥山太平洋・島サミット担当大使は、キリバスを訪問し、マーマウ大統領兼外務・移民相への表敬や閣僚との会談を行い、PALM11に向けた協力や二国間関係の強化、遺骨収集に係る協力などについて意見交換を行った。

(イ)クック諸島

8月、クック諸島自治60周年記念式典に、日本政府を代表して大澤駐クック日本国大使が出席し、ブラウン首相への表敬や閣僚との会談を行い、二国間協力やPALMプロセスを通じた協力関係の強化について意見交換を行った。また、この機会に、経済協力案件の引渡式が行われた。

(ウ)サモア

9月、日本の草の根・人間の安全保障無償資金協力により建設されたサモア・コミュニティ開発総合研修センターの引渡式が行われたほか、サモア首相府にて「感染症に対応する国境管理能力プロジェクト」の機材引渡式が行われた。

(エ)ソロモン諸島

10月、大阪・関西万博においてソロモン諸島のナショナルデーが開催され、アゴヴァカ外務・貿易相が出席した。また、岩屋外務大臣は、アゴヴァカ外務・貿易相との外相会談を行い、水産、保健、人材育成を含む幅広い分野での二国間協力やPALMプロセスについて意見交換を行った。なお、ソロモン諸島は、9月からPIF議長国を務め、9月8日から12日、第54回PIF総会を開催した。

(オ)ツバル

2月、ツバルで、「フナフティ環礁スクールバス整備計画」及び「バイツプ島スクールバス整備計画」に関する書簡の署名・交換式を実施した。7月、大阪・関西万博においてツバルのナショナルデーが開催され、コフェ運輸・エネルギー・通信・イノベーション相が出席した。6月、オーストラリアとの間で締結された「ファレピリ連合条約」に基づき、オーストラリアに移住を希望するツバル国民の募集が行われた。

(カ)トンガ

4月、大阪・関西万博においてトンガのナショナルデーが開催され、トゥポウトア・ウルカララ皇太子・外相兼国防相及び同妃が出席した。また、岩屋外務大臣は、同皇太子との外相会談を行い、両国間の協力関係を一層強化することを確認し、気候変動や、海洋環境などの共通の課題に共に取り組む考えを示すとともに、二国間協力及びPALMプロセスを通じた関係強化について意見交換を行った。12月、トンガに対する初の政府安全保障能力強化支援(OSA)案件に関する書簡の署名・交換を行った。トンガは2024年8月から2025年9月までPIF議長国を務めた。

(キ)ナウル

8月、大阪・関西万博においてナウルのナショナルデーが開催され、クン外務・貿易副相が出席した。藤井比早之外務副大臣は、訪日したクン副相と会談を行い、二国間協力及びPALMプロセスを通じた関係強化について意見交換を行った。8月、東部ミクロネシア海底ケーブル事業(日米豪連携案件)により、海底ケーブルの陸揚げ式が実施された。

(ク)ニウエ

2025年、日・ニウエは外交関係樹立10周年を迎えた。11月、ニウエの災害対策の強化及び経済社会の発展のため、日本企業製品の災害対策機材を供与する無償資金協力の実施を決定した。12月、堀井巌(いわお)外務副大臣は、訪日したタンゲランギ首相と会談を行った。

堀井外務副大臣とタンゲランギ・ニウエ首相との昼食会(12月11日、東京)
堀井外務副大臣とタンゲランギ・ニウエ首相との昼食会
(12月11日、東京)
(ケ)バヌアツ

2024年12月に発生した大地震による被害からの復旧・復興のため、物資供与などの緊急支援に続き「より良い復興(Build Back Better)」の方針の下、3月、地震災害復旧機材の供与に関する書簡、7月、被災した橋梁(りょう)の架け替えを中心とした経済・社会インフラ整備に関する書簡について、日・バヌアツ政府間で署名・交換を行った。7月、大阪・関西万博においてバヌアツのナショナルデーが開催され、ピピテ貿易・商業省第一政策顧問が出席した。

(コ)パプアニューギニア(PNG)

2025年、日・パプアニューギニアは外交関係樹立50周年を迎えた。7月、大阪・関西万博においてパプアニューギニアのナショナルデーが開催され、マラペ首相が出席した。石破総理大臣は、マラペ首相と会談を行い、両国関係の更なる強化と二国間協力及びPALMプロセスを通じた協力強化について意見交換を行った。9月16日の独立記念日には、両国の外交関係50周年を記念した外相共同声明が発出された。また、同日、総理特使としてパプアニューギニアを訪問中の宮路拓馬外務副大臣は、独立50周年記念国旗掲揚式に出席するとともに、マラペ首相及びトカチェンコ外相と会談を行い、同外相との間で、PNGに対する初のOSA案件に関する書簡の署名・交換を行った。10月、マラペ首相は、アルバニージー・オーストラリア首相との間で、PNG・オーストラリア相互防衛条約(通称「プクプク条約」)に署名した。

(サ)パラオ

1月、岩屋外務大臣は、パラオを訪問し、2期目となるウィップス大統領の就任式に出席し、同大統領及びアイタロー国務相と会談した。会談では、岩屋外務大臣から、PALM11に向け、2026年からPIF議長国を務めるパラオとの「トクベツ」な関係を更に強化したい考えを示した。2月、石破総理大臣は、訪日中のウィップス大統領と首脳会談を行い、両国関係の更なる強化に取り組んでいきたい考えを示した。4月、宮路外務副大臣は、パラオを訪問し、天皇皇后両陛下ペリリュー御訪問10周年記念式典に出席した。また、同月、大阪・関西万博においてパラオのナショナルデーが開催され、ウィップス大統領が出席した。10月、堀井外務副大臣は、成田国際空港で行われたパラオ定期直行便の就航記念式典に出席した。ウィップス大統領は、2025年中、計5回訪日した。

(シ)フィジー

5月、災害対応船の供与に関する書簡の署名・交換が行われた。また、同月末、2023年の制度創設以来世界で初めてとなるOSA案件の供与機材の引渡しが行われた。9月、大阪・関西万博においてフィジーのナショナルデーが開催され、カミカミザ副首相兼対外貿易・協同組合・中小企業・通信相が出席した。11月、高市総理大臣は、実務訪問賓客として訪日したランブカ首相と会談を行い、FOIPの実現に向けた協力を確認するとともに、両国関係を更なる高みに引き上げるため、今後の幅広い分野での協力強化の指針となる日・フィジー「ロマヴァタ・キズナ・パートナーシップ」に関する共同声明に署名した(ロマヴァタ:フィジー語で「結束」の意)。

日・フィジー首脳会談及び署名式(11月13日、東京 写真提供:首相官邸ホームページ)
日・フィジー首脳会談及び署名式
(11月13日、東京 写真提供:首相官邸ホームページ)
(ス)マーシャル諸島

3月、石破総理大臣は、訪日したハイネ大統領と会談を行い、二国間協力及びPALMプロセスを通じた協力強化について意見交換を行った。5月、マーシャル諸島を訪問した生稲外務大臣政務官は、ハイネ大統領やカブア伝統的首長評議会議長を表敬し、ザキオス外務・貿易相代行(教育・スポーツ・職業訓練相)、ワセ議会議長などとの会談を行ったほか、「東太平洋戦没者の碑」に献花した。9月、大阪・関西万博においてマーシャル諸島のナショナルデーが開催され、ガスパーJr.文化・内務相が出席した。

(セ)ミクロネシア連邦

3月、シミナ大統領が実務訪問賓客として訪日した。石破総理大臣は、シミナ大統領との会談を行い、FOIPの実現に向けた協力を確認するとともに、二国間協力及びPALMプロセスを通じた協力強化について意見交換を行った。また、シミナ大統領は、東京電力福島第一原子力発電所を訪問し、日本のALPS処理水の海洋放出に関する安全性の理解を深めた。さらに、岩屋外務大臣は、同大統領と共に訪日したロバート外相との会談を行った。4月、大阪・関西万博の開会式への出席するためパリク副大統領が訪日し、林芳正官房長官と会談した。7月、大阪・関西万博においてミクロネシア連邦のナショナルデーが開催され、シミナ大統領夫妻、ロバート外相などが出席した。

コラム外交関係樹立:パプアニューギニアとの50周年、ニウエとの10周年

2025年、日本は、パプアニューギニア(PNG)、ニウエとの外交関係樹立以来、それぞれ50周年、10周年の節目を迎えました。

PNGとニウエは、いずれも日本と太平洋で結ばれた友人であり、日本と同じ島国です。PNGは人口・国土共に太平洋島嶼(しょ)国地域で最も大きく、800を超える部族や言語、独特な生態系といった多様性に富む国である一方、ニウエは、人口約1,600人という世界で人口が2番目に少ない国であり、同じ太平洋島嶼国といっても大きな違いがあります。

日・PNG外交関係樹立50周年記念ロゴマーク
日・PNG外交関係樹立
50周年記念ロゴマーク
■日・PNG関係

1975年9月にPNGがオーストラリアの信託統治から独立を達成すると同時に、日本は外交関係を樹立し、50年以上にわたりPNGの国造りを支援してきました。現在の両国のパートナーシップは強固で、日本による協力は、幅広い分野においてPNGの持続可能な発展及び国民の生活向上に寄与しています。例えば、国立水産大学は、日本による最初の無償資金協力により設立され、同国の水産業のハブとなっています。また、日本により改修され、2023年に開港したナザブ空港は、マラペ首相により「ナザブ・トモダチ国際空港」と命名され、両国の友好関係の象徴です。2025年9月には、同国にとって初となる政府安全保障能力強化支援(OSA)の実施を決定しました。日本にとって、PNGは重要な液化天然ガス(LNG)の供給国であり、日本のLNG総輸入量の約6%を占めています。こうした親密な関係は、50年以上にわたる協力と友好の長い歴史に根ざしています。外交関係樹立50周年を節目として、次の50年へ共に歩み、信頼とトモダチの精神をもって両国の将来を担う次世代へバトンを渡していくとの決意の下、9月、両国外相は日・PNG外相共同声明を発出しました。

ラエの「ナザブ・トモダチ国際空港」(写真提供:JICA)
ラエの「ナザブ・トモダチ国際空港」(写真提供:JICA)
■日・ニウエ関係

ニウエは、1901年にニュージーランドの属領になり、1974年に自治権を獲得しました。日本は、2015年5月、ニウエを国家承認し、同年8月に外交関係を樹立しました。以降、日本は10年にわたって、ニウエとの関係強化に努めてきており、インフラ整備、社会サービス、防災・災害対策などの様々な分野での協力を通じて、同国の社会基盤強化の取組を支えてきました。一方、ニウエは、日本との外交関係樹立以前からも、1997年に開始した太平洋・島サミット(PALM)の第1回会合から出席しており、3年ごとに開催されるPALMの機会に、両国首脳が会談し、友好関係が促進されてきました。2024年7月には、ニウエの初めての名誉領事館として、在東京ニウエ名誉領事館が開設され、PALM10出席のため訪日したタンゲランギ首相が開所式に出席しました。外交関係樹立10周年の2025年12月には、タンゲランギ首相が訪日し、堀井巌外務副大臣との間で、二国間協力及びPALMプロセスを通じた関係強化について意見交換を行いました。太平洋島嶼国を取り巻く戦略的環境が変化する中、ニウエとの二国間関係は一層重要となっています。

(30) 2022年10月の日豪首脳会談で署名された日豪安全保障・防衛協力の今後10年の方向性を示す文書

(31) ここでの「瀬取り」は、2017年9月に採択された国連安保理決議第2375号が国連加盟国に関与などを禁止している、北朝鮮籍船舶に対する又は北朝鮮籍船舶からの洋上での船舶間の物資の積替えのこと

(32) 太平洋島嶼国:パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、ナウル、キリバス、ツバル、サモア、クック諸島、ニウエ、トンガ、フィジー、バヌアツ、ソロモン諸島、パプアニューギニア

(33) ALPS処理水とは、東京電力福島第一原子力発電所の建屋内にある放射性物質を含む水について、多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System:ALPS)を含む複数の浄化設備により、トリチウム以外の放射性物質の濃度が安全に関する規制基準値を確実に下回るように浄化した水である。海洋放出に当たっては、トリチウムについても安全に関する規制基準値を十分に満たすよう、海水で大幅に希釈する。

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