外交青書・白書
第2章 しなやかで、揺るぎない地域外交

2 新プランの下での具体的な取組

新たに打ち出した「四つの柱」は、FOIPが目指す世界を実現するため、歴史的転換点に相応(ふさわ)しいFOIP協力の「取組の柱」として整理したものである。

(1)平和の原則と繁栄のルール

一つ目の柱「平和の原則と繁栄のルール」は、FOIPの屋台骨である。国際社会においては、「平和」を守り、「自由」、「透明性」、「法の支配」が確立され、弱者が力でねじ伏せられない環境を醸成することが重要である。平和のために国際社会が守るべき基本原則の共有、平和構築、時代の変化に合わせた形の自由で公平、公正な経済秩序の追求、不透明・不公正な慣行を防ぐルール作りなどを進めていく。

(2)インド太平洋流の課題対処

二つ目の柱「インド太平洋流の課題対処」は、FOIP協力の新たな力点である。国際社会において、気候・環境、国際保健、サイバー空間などの「国際公共財」の重要性は飛躍的に高まっているため、FOIP協力を拡充し、各国社会の強靱(じん)性・持続可能性を高めていく。例えば、気候・環境及びエネルギー安全保障の面では、脱炭素と成長の両立を目指す「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想や自然災害に脆(ぜい)弱な国々への「ロス&ダメージ支援」、豊かな海を守る「ブルーオーシャン・ビジョン」などを推進する。

(3)多層的な連結性

三つ目の柱「多層的な連結性」は、FOIP協力の中核である。地域全体の活力ある成長を実現するため、各国が様々な面においてつながっている必要がある。連結性強化の取組を通じ域内を更に繋(つな)げ、各国の選択肢を増やし、脆弱性を克服する。例えば、「人」の連結性を更に発展させた「知」の連結性の強化や、デジタル・コネクティビティの推進などに取り組む。

(4)「海」から「空」へ拡がる安全保障・安全利用の取組

四つ目の柱「「海」から「空」へ拡がる安全保障・安全利用の取組」では、FOIPの焦点である「海の道」を中心に、空域の安全・安定的な利用の確保も組み合わせた「公域」全体の安全・安定を確保していく。「海における法の支配の三原則」の徹底、海上法執行能力の強化、海洋安全保障の強化、「空」の安全利用の推進などに取り組む。

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