外交青書・白書
第2章 地域別に見た外交

4 中部アフリカ地域

(1)ガボン

ガボンでは内戦や戦争が生じておらず、同国の政治情勢は安定している。アリ・ボンゴ大統領は、石油依存の経済からの脱却を目指し、木材加工分野などの強化を含め、経済の多角化に取り組んでいる。

5月にはニューヨークで、小田原外務副大臣とアダモ外相との間で会談を実施、また、8月のTICAD 8において、林外務大臣とアダモ外相との間で外相会談を、9月、故安倍晋三国葬儀に際してオスカ・ラポンダ首相が来日し、岸田総理大臣と首脳会談を行った。日本は、保健分野や環境保全分野を中心に協力を実施している。

(2)カメルーン

カメルーンでは、長期政権を築いたビヤ大統領の下、独立分離派と治安部隊の衝突が続く英語圏問題や、極北州で活動を展開しているイスラム過激派組織の問題に取り組んでいる。2月に、日本は同国と、無償資金協力「チャド湖流域地域の安定化に向けたインフラ整備計画(UNDP連携)」に関する書簡の交換、7月には国連世界食糧計画(WFP)を通じた食糧援助に関する書簡の交換を行った。8月のTICAD 8にはンベラ・ンベラ外相が参加し、林外務大臣と外相会談を行った。

(3)コンゴ民主共和国

チセケディ大統領就任4年目を迎えたコンゴ民主共和国は、IMFとの協力の下、財政改革や汚職の撲滅などに取り組んでいる。また、2022年は中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)の議長を務めたほか、東アフリカ共同体(EAC)に加盟するなど、地域へのコミットメントを重視している。

世界有数の天然資源を産出する東部地域では、武装勢力の活動が活発化しており、国連PKOの支援も得つつ、国際社会や地域の仲介プロセスが進行している。

8月には、岸田総理大臣とサマ・ルコンデ首相が首脳会談を行い、平和の定着のための制度構築・人材育成支援を通じて東部地域の安定化に向けた取組を後押しすること、さらに、気候変動対策や鉱物資源分野の協力を推進していくことなどを確認した。これを踏まえ、11月、無償資金協力「経済社会開発計画(気候変動対策関連機材)」に関する書簡及び「地域警察活動強化計画(IOM連携)」に関する書簡の交換を行い、同国の取組を支援している。

(4)コンゴ共和国

3期目を務めるサス・ンゲソ大統領の下、行政システム改革、経済・金融ガバナンスの向上、社会福祉基盤の整備に重点を置いた国内政策を推進、「パートナーの多様化」を外交政策とし、近年では、中部アフリカの安定勢力として存在感を増している。

TICAD 8にはガコソ外務・仏語圏・在外自国民相が参加し、林外務大臣と外相会談を行ったほか、日本は経済基盤の整備やWFPを通じた食糧援助などを通じて同国の発展を支援している。

(5)サントメ・プリンシペ

サントメ・プリンシペでは、9月に国民議会選挙が行われた結果、野党が勝利し、11月には第四次トロヴォアダ内閣が発足、4年ぶりの政権交代となった。

日本は近年ほぼ毎年食糧援助を実施しており、2022年は8月に食糧援助に係る無償資金協力に関する書簡の交換が行われた。食糧援助の見返り資金は、上記選挙の実施支援も含め、同国の経済社会開発のために活用されている。要人往来やビジネス交流は少ない一方、日本が実施している食糧援助や水産分野での支援は広く認識・評価されており、良好な親日感情が醸成されている。

(6)赤道ギニア

赤道ギニアは、オビアン・ンゲマ大統領の長期政権の下、豊富な石油資源を基盤とした経済開発が進められている。11月20日に大統領選挙が実施され、オビアン・ンゲマ大統領が再選した。

2022年には、日本は国際連合開発計画(UNDP)と連携し、2021年3月に発生したバタ市で発生した大規模な爆発事故で損壊した廃棄物処理施設の改修を支援した。

(7)チャド

チャドでは、10月にマハマト・イドリス・デビー・イトゥノ軍事移行評議会議長が暫定大統領に就任し、民政移行期間の最大2年間の延長を決定した。日本は同国の食料安全保障を改善し、開発課題の解決に寄与するため、7月にWFPを通じた食糧援助に関する書簡の交換を実施した。

(8)中央アフリカ

中央アフリカは、民主化に向けた取組を続けており、2022年3月には、トゥアデラ大統領が政府関係者及び市民社会を交えた対話を開催した。治安維持のため、11月には国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)のマンデート延長が決定された。また、長引く紛争の結果、多くの国民が人道援助を必要とする中、7月にはWFPを通じた食糧援助に関する書簡の交換が行われた。

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