第4節 日本への理解と信頼の促進に向けた取組

総論

近年の情報技術の飛躍的な発達や民主主義の発展に伴い、世論が外交政策に与える影響力はますます高まっている。外交政策を効果的に実施するためには、政府のみならず、各国の国民への直接的な情報発信や国民レベルでの交流の促進を通じて、日本への関心や親近感を高め、良好な対日イメージの形成に努めること(パブリック・ディプロマシー)が不可欠である。

このような観点から、外務省は、伝統文化やポップカルチャーを含む多様な日本文化の紹介、国際交流基金を通じた海外での日本語普及などを行っている。さらに、関係省庁や諸機関と連携を図り、在外公館(海外における日本の大使館・総領事館など)などを活用し、日本の強みや日本人の価値感及び地方の魅力を積極的に諸外国に発信している。

国際世論に影響力を持つ有識者層をターゲットとした取組としては、海外のオピニオン・リーダー、ジャーナリスト、一定の指導的立場に就いている者又は将来活躍が期待される人々の日本への招へいや日本人有識者の各種国際会議への参加支援を行っている。開発途上国に対しては、文化無償資金協力の実施、国連教育科学文化機関(UNESCO・ユネスコ)などの国際機関との協力を通じ、文化遺産の保存・修繕や専門家の人材育成などの支援を行っている。

重要な外交課題に関する発信・広報にも重点的に取り組んでいる。東日本大震災後の風評被害対策及び日本ブランドの復活・強化については、在外公館を通じた地方の魅力発信プロジェクト及び対日理解促進のための招へい事業を展開するとともに、国際会議のサイドイベントの実施等を通じて、日本産品の安全性や東北を始めとする日本の地方の魅力等に関する海外発信を積極的に行った。

領土保全の分野では、国際主要メディアによる総理大臣や外務大臣、各国駐在大使へのインタビューの実施、有識者やメディアへの説明、IT広報の充実等により、世界各国で積極的かつ効果的な情報発信を行い、日本の基本的立場及び主張の正当性についての理解と支持の拡大に向けて積極的に取り組んでいる。

8月には、報道対策、国内外への広報、文化交流を統一的な司令塔の下で戦略的・有機的に実施することを目的として、外務省は、外務報道官・広報文化組織を新設する機構改編を行った。また、日本の広報文化外交の取組を強化することを目的として、外務大臣を本部長とするパブリック・ディプロマシー戦略本部を設置し、10月に第1回会合を開催の上、広報文化外交の基本的な考え方や今後の広報戦略などについて議論を行った。さらに、内閣官房とともに国際広報連絡会議を開催し、国際広報分野における他省庁との連携にも取り組んでいる。

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