外 交 青 書

我が外交の近況

 

1986年版(第30号)

 

外務省

 

 

 

昭和61年版「わが外交の近況」の刊行にあたって

 

外務大臣就任以来三年半余りになりますが,この間私は,我が国が国際社会においてますます重きをなし,その果たすべき役割も確実に大きなものとなってきていることを常々感じてきました。我が国は,本年5月に東京で開催された主要国首脳会議において,議長国としての重要な役割を果たし,次の世紀に向けて明るい未来を築くべく,参加各国とともに世界の平和と繁栄のため努力しあうことを確認しました。これも,我が国の国際的な責任と役割の重要性を世界に示した一例と申せましょう。

国際社会の相互依存関係が深まる中で,我が国がその国際的地位にふさわしい責任と役割を積極的に果たしていくためには,世界的視点に立って,経済・社会・文化の面だけでなく,意識の上でも一層の国際化を推進し,世界に開かれた国となることが肝要であります。我が国は,言わば,明治維新に次ぐ「第二の開国」を必要としております。

この「第二の開国」の実現には種々の困難もあり得ましょうが,我々は一丸となり,世界の平和と繁栄に貢献する国際国家を目指し努力していかなければなりません。

我が国が,21世紀に向けて,創意をもって能動的な外交を展開していくためには,国民各位の御理解と御協力が不可欠であります。

「外交青書」も創刊以来,今年で第30号を数えるに至りましたが,本書が,我が外交とその課題に対する国民各位の御理解を得る一助となれば幸いです。

昭和61年7月

外務大臣 安倍 晋太郎

 

 

本書の構成と内容

本書は,世界の情勢と我が国が行った外交活動の概要を1985年4月から86年3月に至る期間を中心に取りまとめたものである。本書は,第1部総説,第2部各説,及び第3部資料編から成り,資料編には,資料,統計類及び年表を収録している。

第1部総説では,第1章において我が外交の基本課題について述べ,第2章では,1985年を中心とした世界の主要な動きを概観し,さらに,第3章では同時期において我が国が行った主要な外交努力を説明し,幾つかの地域紛争問題にも触れている。

第2部各説では,まず世界の諸地域ないし諸国の情勢及び我が国とこれら諸地域・諸国との関係について述べ,次に我が国の関係する重要な国際的問題について事項別に説明している。

 

目 次

第1部 総説
 第1章 我が外交の基本課題
 第2章 1985年の世界の主要な動き
 第3章 1985年の我が国の主要な外交活動   第1節 各国との関係の増進
  第2節 世界経済の安定的発展への貢献
  第3節 開発途上国の安定と発展への協力
  第4節 国際連合の諸活動に対する協力
  第5節 諸外国との相互理解
第2部 各説
 第1章 各国の情勢及び我が国とこれら諸国との関係
  第1節 アジア地域
  第2節 大洋州地域
  第3節 北米地域
  第4節 中南米地域
  第5節 西欧地域
  第6節 ソ連・東欧地域
  第7節 中近東地域
  第8節 アフリカ地域
 第2章 国際経済関係   第1節 総論
  第2節 国際貿易
  第3節 国際投資問題
  第4節 国際通貨・金融問題
  第5節 開発途上国関係
  第6節 資源エネルギー問題
  第7節 科学技術及び原子力問題
  第8節 食糧・漁業問題
  第9節 環境問題
 第3章 経済協力の現況   第1節 総論   第2節 技術協力
  第3節 無性資金協力
  第4節 政府直接借款
  第5節 国際機関を通ずる協力
 第4章 国連における活動とその他の国際協力   第1節 政治問題
  第2節 軍縮問題
  第3節 経済問題
  第4節 社会・人権・文化問題
  第5節 行財政問題
  第6節 海洋法に関する国際連合条約   第7節 国連専門機関
 第5章 文化交流及び報道・広報活動   第1節 我が国の文化交流の現状
  第2節 報道協力・広報活動の現状
 第6章 邦人の渡航と保護・援助   第1節 概要
  第2節 邦人の渡航
  第3節 緊急事態・事件に際する邦人保護
  第4節 邦人に対する援助
  第5節 海外移住
  第6節 外国人に対する査証
 第7章 その他の活動   第1節 外交体制の整備充実
  第2節 外交問題に関する記録の整理・刊行及び閲覧
第3部 資料編
 I   資料
 II  付表
 III 年表