第2節 外交問題に関する記録の整理・刊行及び閲覧

外務省は,発足以来鋭意外交記録の整理・編さん・保存に努めてきているが,さらに外交知識普及のため,71年には外交史料館を設立(東京都港区麻布台)し,外交記録の閲覧・展示等一般の要望にもこたえている。

同館は,第2次世界大戦終結までの外交記録約4万8,000冊,徳川幕府と諸外国との交渉史料を収録した「通信全覧」・「続通信全覧」2,104巻,条約書約600件,国書・親書約1,100通などの史料及び戦後記録のマイクロ・フィルム170リールを所蔵している。

同館ではこれら史料を一般の閲覧に供するとともに,部外からの照会にも応じており,85年度の閲覧者数は2,145名,照会件数は593件であった。

また,同館展示室には,幕末からサン・フランシスコ平和会議までの代表的な国書・親書・条約原本・往復文書及び外交関係の写真等,貴重な史料が展示されて一般の見学者に公開されており,85年度の見学者は763名であった。

外務省はまた明治元年(1868年)以降の外交記録の中から主要文書を整理・編さんした「日本外交文書」を1936年以来逐次刊行(同館にて編さん・刊行)しており,明治期は既に完結した。目下大正末期及び昭和期の編さんを並行して進めており,85年度には「1935年ロンドン海軍会議」,「大正15年第2冊上巻」を公刊した。この結果,田本外交文書」の総数は,各年次別本巻のほか,「日露戦争」,「ワシントン会議」,「満州事変」,「条約改正関係」,「移民問題」等の別巻を加えて162冊に達した。

さらに外務省は,戦後の外交記録公開に対する期待が国内に高まったことにかんがみ,原則として作成後30年を経た外交記録を事項ごとに審査の上,一部の例外,すなわち「国の重大な利益が害される場合」及び「個人の利益が害される場合」を除き,整理がつき次第,ある程度まとまった段階で順次公開することとし,76年以来,同館にてマイクロ・フィルムにより一般の閲覧に供している。

かかる外交記録の公開は,外務省が自発的に行っているものであり,最近では85年3月25日第8回目の公開をしたが,その主な内容は,(1)サン・フランシスコ平和条約批准及び目印平和条約関係,(2)国連への加盟申請及び国際機関関係,(3)日本と各国との貿易・支払協定関係,及び,(4)多数国間条約への加盟関係,等の記録である。

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