12月3日から7日まで,ジュネーブにて,対人地雷禁止条約(オタワ条約)の第12回締約国会議が開催されたところ,概要以下のとおり。我が国からは,天野軍縮代表部大使を首席代表とする代表団が出席した。
1.全体
今次会議においては,2009年に開催された第2回検討会議及び2014年に開催される予定の第3回検討会議のちょうど中間の年の開催となり,第2回検討会議で採択された「カルタヘナ行動計画」(注1)に基づき,各国の義務の履行状況に関する報告・議論が行われた。会議最終日には,進捗状況をとりまとめた「ジュネーブ進捗報告(Geneva Progress Report)(PDF)
」が採択された。
(注1)「カルタヘナ行動計画」は,2009年の第2回検討会議において採択された文書で,条約の普遍化,地雷の廃棄・除去,被害者支援,国際協力等の各分野の課題について,2010年~2014年の5年間に締約国が実施するものとして67の行動指針を記したもの。)
2.地雷除去・廃棄
- (1)昨2011年の締約国会議以降,新たに,コンゴ共和国,デンマーク,ガンビア,ギニアビサウ,ヨルダン,ウガンダが第5条に基づく地雷除去義務の履行完了を宣言したことが発表された。
- (2)30以上の締約国が,第5条に基づく地雷除去義務に取り組んでいる。
- (3)本2012年には,除去期限を近い将来迎える,アフガニスタン,アンゴラ,キプロス,ジンバブエが除去期限の延長申請を行い,今次会議において要請内容の分析結果が提示されたところ,4か国全ての延長申請が承認された。
- (4)今次会議の主要な議題の一つとして,第5条に基づく地雷除去期限が経過してから,締約国が自国領域内で認知していなかった地雷原が発見された場合,如何に対応するべきかという問題があった。この問題については,共同議長のインドネシアとザンビアが,「合理的な対応」案を提示したところ,これが採択された。
3.普遍化
昨2011年の締約国会議以来,フィンランド及びソマリアが条約に加入した。また,今次締約国会議開催中,ポーランドが,同国大統領が本条約の批准に必要な書類の署名を行い,近く批准書を寄託する旨発表した(本条約の締約国数は,ポーランドを含めると161か国となる)。
4.被害者支援
地雷被害者の多い締約国を中心に,地雷被害者の社会経済的包含のための自国の取り組みを紹介する報告が行われた。また,地雷に限らず,不発弾やクラスター弾の被害者及びその他の障害者を差別せず,限られた資源を有効に活用する観点から,障害者権利条約や,クラスター弾に関する条約,特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)議定書V(注2)等の他の国際的枠組との連携の必要性に関する言及もあった。
(注2)爆発性残存物に関する議定書
5.今後の会合
2013年の会期間会合は,5月27日~31日に,第13回締約国会議は,2013年12月2日の週に,それぞれジュネーブで開催されることとなった。また,2014年の第3回検討会議の開催国に,モザンビークが立候補した。