平成22年11月12日
(1)11月9日(火曜日)から12日(金曜日)まで,ビエンチャン(ラオス)においてクラスター弾に関する条約(オスロ条約)の第1回締約国会議が開催され,我が国を含む計120か国が出席した。また,国連,赤十字国際委員会(ICRC)、クラスター弾連合(CMC)等の市民社会代表がオブザーバーとして出席した。
(2)開会式においては,チュンマリー・ラオス国家主席,ミギロ国連事務次長,クラスター弾による被害者代表が演説を行い,続く一般討論演説にて我が国を含む締約国が演説を行った。会議では,今後5年間にいかなる方向性の下で具体的に取り組んでいくかを示す「ビエンチャン宣言」(別添1)及び「ビエンチャン行動計画」(別添2)が全会一致で採択された。また,第2回締約国会議は2011年9月にベイルート(レバノン)で開催されることが決定された。
(3)我が国からは,徳永久志外務大臣政務官が出席し,一般討論演説において,我が国が,これまで条約の普遍化に関する議長フレンドとして,市民社会とも協力しつつ,主導的な役割を果たしていること,クラスター弾を含む不発弾処理及び被害者支援を実施してきており,署名から現在まで実施しているプロジェクトは約1200万ドル(約12億9500万円)に上ることを紹介し,これらの分野において引き続き積極的な役割を果たしていくとの決意を表明した。更に,我が国の須田軍縮代表部大使が副議長を務めた。
(4)また,徳永政務官は,この機会にトンルン・ラオス副首相兼外務大臣(今回会議の議長)及びヒエム・ラオス外務副大臣を表敬し,現場のニーズに適合した効果的な援助の実施に引き続き努めていく旨伝え,ラオス側から高い評価を得た。さらに,オスロ条約の作成過程においてリーダーシップを発揮してきたノルウェーのアイデ外務副大臣と会談を行い,軍縮分野における両国の協力を再確認した。
(1)今回会議では,条約の運用に関する具体的な取組(条約の普遍化,貯蔵するクラスター弾の廃棄,クラスター弾残存物の除去・廃棄,リスク低減教育,犠牲者支援等)について議論が行われ,また「ビエンチャン宣言」,「ビエンチャン行動計画」等の成果文書が作成されたことにより,クラスター弾による被害を終了させるとの締約国による力強い決意を確認するとともに,締約国が条約を履行する上での今後の具体的な指針を提示することができた。
(2)今回会議は,本年8月1日に条約が発効したことを受けて初めて開催され,条約上のビジョンを現実に転換する新たな段階を迎える契機となった。今回会議に徳永政務官が出席し,上記内容の演説を行ったことにより,クラスター弾が引き起こす人道上の懸念を我が国が深刻に受け止め,市民社会とも協力しつつ,条約の着実な実施,就中,条約の普遍化促進と不発弾処理・犠牲者支援に今後も積極的に貢献していくとの姿勢を明確に示すことができた。本会議では,副議長を務めた須田軍縮代表部大使が,議長国ラオスを補佐する等,会議の成功に重要貢献を行い,高い評価を得た。
(3)クラスター弾による最大の被害国の1つであり,未だに年間300人の被害者が生じているラオスにおいて本会議が開催され,議長国ラオスから繰り返し不発弾処理・犠牲者支援における我が国の協力に謝意が表明されたことにより,会議を通じて,我が国は,同分野における最大のドナー国としての存在感を示すことができた。
(4)我が国は,アジア大洋州諸国における条約未締結国を中心として,条約の締結を働きかけ,条約の普遍化促進に引き続き取り組んでいく。