軍縮・不拡散

クラスター弾に関する条約第1回締約国会議
クラスター弾ゼロ(展望から行動へ)
2010年ビエンチャン宣言
(仮訳)

ビエンチャン、ラオス人民民主共和国
2010年11月12日

指名議長提出

  1. 我々,クラスター弾に関する条約の締約国代表は,署名国として出席する他の諸国,国連,赤十字国際委員会,クラスター弾連合と共に,最も過酷な影響を受けた国の1つであるラオス人民民主共和国,ビエンチャンにおける第1回締約国会議に参集し,クラスター弾により引き起こされた被害を終了させるとの我々のコミットメントを確認する。
  2. クラスター弾に関する条約はクラスター弾の全面的な禁止を確立し,貯蔵弾の除去,汚染された土地の除去,犠牲者への支援の提供を要請することを,満足の意を以て,特筆する。条約は,これらの行動により,世界中の市民を将来の使用から保護し,これらの武器により既に影響を受けた市民の生活を改善することを目的とする。
  3. クラスター弾による被害に取り組む多くの国の実績に激励され,我々は我々の作業を加速する必要性を認識する。条約実施のこの新たな局面に入るに当たり,我々は今,展望を行動に変え,ビエンチャン行動計画は締約国の法的義務を具体的な行動に変える。我々は,未解決の問題を乗り越えるため,自国及び国際的な必要資源を増加する努力を強化し,継続的な支援を必要とする個人やコミュニティに,実体のある結果と利益をもたらす。

何十年もの被害

  1. 広範囲の効果や高レベル(比率)の不発弾に起因し,クラスター弾は紛争中のみならず紛争後も,女性,男性,少年少女達を無差別に殺し,受け入れることのできない被害をもたらす。クラスター弾は平和,人間の安全保障,開発への深刻な脅威である。クラスター弾残存物は影響を受けた個人,コミュニティに深刻な結果をもたらし,ミレニアム開発目標,貧困撲滅や社会・経済発展に深刻な障害をもたらす。

リスクの低減

  1. 我々はクラスター弾による被害者の権利を認め,締約国が彼等に医療,リハビリテーション,心理的な援助,社会・経済的包容を含む,年齢,性別を考慮した適当な支援を与える義務を認識する。
  2. 犠牲者を支援し,リスク低減教育を提供し,クラスター弾残存物を除去し,貯蔵されたクラスター弾を廃棄するため,影響を受けた国と影響を受けていない国は協力し,資源を動員する。我々はこれらの目的のため締約国により既に採られている多くのイニシアチブを歓迎し,全ての他の締約国が条約の完全実施を早急に進める努力を促進するよう賞賛する。
  3. 我々は,条約発効前に汚染地域の除去や貯蔵するクラスター弾の廃棄を完了した締約国,非締約国を推奨する。
  4. 我々は,何十億ものクラスター弾の子弾が未だに貯蔵され,広範な汚染地域が新たな人的被害の脅威を与え続けていることを懸念する。クラスター弾の加速された除去と廃棄は緊急の要請であり,汚染地域付近に住み,汚染地域付近に立ち入る市民が直面する危険に対する意識を持たせるため,リスク低減教育は重要である。
  5. クラスター弾に関する条約を署名した108か国と締結した46か国を歓迎する。これは,影響を受けた国の大部分,かつての使用国,製造国,貯蔵国の多くを含む。我々は,新たな締約国を歓迎し,全ての署名国に対し締結を要請し,条約の締約国になっていない国に対し早期の締結を強く求め,あらゆる者による、文民及び民用物に対して許容し難い被害を与えるクラスター弾の使用を非難する。我々の目的は条約の普遍的支持である。
  6. 我々は,条約が国際人道法の強化への貢献であることを誇りに思う。条約は,各国が判定を受ける新たな基準を提供する。我々は,この兵器に対する世界中の政府の意見が目覚ましく変化し続けると信じる。
  7. 我々の実績は,各国,国際組織,市民社会の間の協力関係の成果である。オスロ・プロセスは,この協力関係が果敢で,想像力のある,断固とした行動を取り,共通の問題を解決することが可能であることの証左であり,地球規模の課題において,人道的な軍縮が重要であることの証である。人々が危険に直面する限り,我々は共通の目標,クラスター弾のない世界を達成するため,より多くを行うことが課せられている。

-クラスター弾のない世界の達成-

  1. クラスター弾のない世界を達成するため,締約国はここに,以下を約束する。
    • (a)クラスター弾の使用,開発,生産,取得,貯蔵,保有,移譲を止めることを含む,条約の下での全ての義務を完全に実施し,ビエンチャン行動計画へのコミットメントの光栄を有する。
    • (b)除去と貯蔵弾廃棄の進展を加速し,犠牲者と生存者への支援が行き渡る範囲を拡大し,これらの業務のための資源レベルを増加し,全ての締約国が,人命と四肢を救い,個人の安全と無傷を守り,暮らしを守ることを目的とする条約の,期限内の義務遂行を可能にする。
    • (c)延長要請を避けることを目的として,自国に貯蔵するクラスター弾廃棄の早期開始を確保する。
    • (d)特に除去,犠牲者支援,貯蔵弾の廃棄において,条約の完全実施を早急に進める努力を直ちに加速するため,国際組織や市民社会との協力を確保する。
    • (e)ニーズ,潜在的な問題を確定し,進展を記録し伝達するため,条約の全ての義務について,時宜を得た,徹底した透明性のための報告を提供する。
    • (f)武装紛争のあり方に新たな基準を提供し,全ての国が受け入れるべき条約の規範を促進するという,我々の法的義務を遂行する。
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