軍縮・不拡散

武器貿易条約(ATT)アジア太平洋地域会合
(概要と評価)

平成21年3月2日

1.概要

(1)2月26日(木曜日)から27日(金曜日)まで、東京(京王プラザホテル)において、武器貿易条約(ATT)アジア太平洋地域会合が、外務省及び国際NGOオックスファム(Oxfam)の共催により開催された。今回の地域会合には、アジア太平洋地域より12名(11か国)の政府関係者及び16名(11か国)のNGO関係者のほか、その他地域の政府関係者(オブザーバー参加)やNGO関係者、国際機関関係者、有識者等計47名が参加し、二日間に亘り活発な議論が行われた。

(2)我が国外務省からは、橋本聖子外務副大臣が冒頭挨拶を行い、各国政府及び市民社会が協力してATT構想の推進に取り組むことの必要性につき訴えた。また、阿部信泰 財団法人 国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター所長(前国連事務次長(軍縮担当))が議長を務めた。

(3)会議での議論の結果を反映し、議長サマリー(英文)(和文仮訳)が発出された。その概要は以下のとおり。

(イ)武器移転による貧困削減及び社会・経済開発を含む人道上及びその他の影響が議論された。無責任な武器移転が、紛争の拡大、重大な国際人権法及び国際人道法違反、貧困の増大、教育・医療及び福祉のための資源の好ましくない転用等を助長することが指摘された。

(ロ)武器移転において考慮されるべき要素として、武器禁輸措置を課す国連安保理決議により既存の国家に課される義務、国際人道法、国際人権法、貧困削減及び社会・経済開発を損なうリスク、武器犯罪もしくはテロリズムへ転換するリスク及び地域の安全保障への影響などが指摘された。

(ハ)国連の枠組みでATTについて議論を行っていく重要性が確認され、武器移転の問題の検討に当たっては、あらゆる関係者の関与が重要であり、主要な武器輸出入国、武器の通過国、武器産業、市民社会等それぞれが果たしうる役割があることが認識された。

2.評価

(1)我が国は、武器貿易条約(ATT)構想に高い関心を持ち、関連する取組に積極的に参画してきた。本会合はアジア太平洋地域においてATT構想に焦点を当てた初の会合であり、同構想をアジア太平洋地域で進展させる必要性が確認された。

(2)これらの議論の結果は、3月2日からNY国連本部の作業部会で開始される議論につなげられることとなっており、ATT構想の推進に貢献する。

【注】武器貿易条約(ATT:Arms Trade Treaty)構想

 ATT構想とは、通常兵器の国際的な移譲を規制するための諸原則を定める条約を作成しようという構想で、通常兵器の移譲に関する管理の強化を目指すもの。「武器輸出三原則」等の下、原則として武器を輸出していない我が国は、国連等の場において小型武器を含む通常兵器の問題への対処に積極的な役割を果たしてきており、ATT構想についても高い関心を持ち、関連する取組に積極的に参画している。

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