国連外交

令和7年10月3日
国連総会議場で一般討論演説を行う石破総理大臣 (写真提供:内閣広報室)
第80回国連総会で演説を行う石破総理大臣 (写真提供:内閣広報室)
  • 石破茂総理大臣は、9月23日(火曜日)から24日(水曜日)(現地時間)まで、第80回国連総会等出席のため、米国ニューヨーク州を訪問しました。
  • 滞在中、石破総理大臣は国連総会において一般討論演説を行ったほか、各国首脳等との会談などを行いました。

1 主要行事の結果概要

(1)一般討論演説(9月23日(現地時間。以下同じ。))

 石破総理大臣の国連総会における一般討論演説の概要は以下のとおりです。

  1. 冒頭、石破総理大臣から、第二次世界大戦を防げなかった国際連盟の反省を踏まえ、国際の平和と安全を守るための組織として設立された国際連合の歴史を振り返り、80年経った今、現在の国連が当初期待された役割を果たしているのか、その機能を十全に発揮できているのか問いかけました。
  2. その上で、石破総理大臣から、国連の最も大事な目的は国際の平和及び安全の維持である旨想起しつつ、ウクライナ侵略など、常任理事国の拒否権により安保理が機能を発揮できていない現実を指摘し、安保理改革の断固たる実行を呼びかけました。また、パレスチナ情勢に関し、イスラエル政府による一方的行為の継続をこの上なく強い言葉で非難の上、パレスチナ国家承認は「いつするか」の問題であり、二国家解決に近づく現実的かつ積極的な役割を果たす決意を表明しました。同時に、パレスチナにも責任ある統治を求め、国づくりを支える取組を紹介しました。また、広島の歌人による、原爆の被害の悲惨さを訴える短歌を紹介し、「核兵器のない世界」を実現すべく、対話と協調を力強く指摘しました。加えて、北朝鮮の拉致、核、ミサイル問題を指摘しました。
  3. さらに、石破総理大臣から、個人に着目し、人間の尊厳を守る「人間の安全保障」の理念を始めとした日本の国際協力の基本を紹介しました。世界中全ての国と、共に笑い、共に泣き、共に汗を流す姿勢を強調しました。また、8月のTICADの成果である「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」を紹介し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた決意を表明しました。
  4. 最後に、石破総理大臣から、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が歴史的な挑戦を受ける今、健全で強靭な民主主義をこれからも育て、守り抜く重要性を主張しました。日本がこれからも世界から求められる国であり続けること、「分断より連帯、対立より寛容」の決意とともに、これからも国際社会と共に歩むべく、取組の先頭に立ち続ける決意を発信しました。

(2)二国間会談等

  1. グテーレス国連事務総長との会談(9月23日)

     現地時間9月23日午後3時30分から約25分間(日本時間24日午前4時30分)、石破総理大臣は、アントニオ・グテーレス国連事務総長(H.E. Mr. António Manuel de Oliveira Guterres, Secretary-General of the United Nations)と会談を行いました。

     石破総理大臣から、安保理改革の緊急の必要性について改めて提起するとともに、UN80イニシアティブを始めとする国連改革における連携も引き続き行っていきたい旨述べました。これに対し、グテーレス国連事務総長から、国連の活動に関する日本の支援に謝意が述べられるとともに、国連改革に向けた努力及び日本に対する期待の声が寄せられました。

  2. サバーハ・ハーリド・クウェート国皇太子との会談(9月23日)

     現地時間9月23日午後2時30分(日本時間24日午前3時30分)から約25分間、石破総理大臣は、サバーハ・ハーリド・クウェート国皇太子(H.H. Sheikh Sabah Khalid Al-Hamad Al-Sabah Crown Prince of the State of Kuwait)と会談を行いました。

     石破総理大臣から、本年5月の同皇太子の訪日の際に格上げした包括的・戦略的パートナーシップに基づき、両国関係を幅広い分野で一層強化していきたい旨述べました。両首脳は、クリーン・エネルギーを始めとするエネルギー協力を推進していくことで一致するとともに、9月25日に予定されているクウェートにおける日本産牛肉の輸入解禁を歓迎しました。

     さらに両首脳は、中東情勢についても意見交換を行い、イスラエル・パレスチナ問題の「二国家解決」に向けて緊密に連携していくことを確認しました。両首脳は、包括的・戦略的パートナーとして、アジアやアフリカにおける様々な分野での協力強化で一致しました。

  3. 日・フィンランド首脳会談(9月24日)

     現地時間9月24日午前8時30分(日本時間同日午後9時30分)から約20分間、石破総理大臣は、アレクサンデル・ストゥッブ・フィンランド共和国大統領(H.E. Dr. Alexander STUBB, President of the Republic of Finland)と会談を行いました。

     石破総理大臣から、これまでストゥッブ大統領と共に強固な日・フィンランド関係を築けたことをうれしく思う旨述べつつ、両国関係が更に進展していくことを期待する旨述べました。これに対して、ストゥッブ大統領は、両国の協力を様々な分野で引き続き更に深めていきたい旨述べました。

     石破総理大臣からは、また、安全保障を含む幅広い分野で、フィンランドとの協力が進むことを期待する旨述べました。

     両首脳は、ウクライナ情勢、中東情勢といった国際社会の喫緊の諸課題に関し、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。

  4. 日・オランダ首脳会談(9月24日)

     現地時間9月24日午前9時10分(日本時間同日午後10時10分)から約25分間、石破総理大臣は、ディック・スホーフ・オランダ王国首相(H.E. Mr. Dick SCHOOF, Prime Minister of the Kingdom of the Netherlands)と会談を行いました。

     冒頭、石破総理大臣から、本年4月のスホーフ首相訪日以来、再会できたことをうれしく思う旨述べつつ、安全保障、貿易、経済安全保障等の広い分野での更なる協力を期待する旨述べました。これに対し、スホーフ首相は、両国の協力を様々な分野で引き続き更に深めていきたい旨述べました。

     両首脳は、ウクライナ情勢、中東情勢、東アジア情勢といった国際社会の喫緊の諸課題に関し、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。

(3)関連行事

  1. 日本産食品輸出促進イベント「Taste of Japan : A Culinary Journey」出席(9月23日)

     石破総理大臣は、現地時間9月23日午後5時30分(日本時間24日午前6時30分)から、ニューヨーク市内のレストランにおいて開催された日本産食品輸出促進イベントに出席し、挨拶において、日本の食材の多様性や風味の豊かさ等を通じて世界の人々を幸せにできることを強調し、日本の食文化や日本産食材の魅力を広くアピールしました。

     会場では、ニューヨークで活躍するトップシェフによる、コメ、ホタテ、ブリ、和牛などの、日本の代表的な輸出食材を用いた創作メニューや、日本酒などを提供し、日本産食材の魅力を発信しました。

  2. トランプ米国大統領夫妻主催レセプションへの出席(9月23日)

     現地時間9月23日夕刻、石破総理大臣は、ドナルド・トランプ米国大統領(The Honorable Donald J. Trump, President of the United States of America)夫妻主催レセプションに出席しました。

     石破総理大臣は、トランプ大統領夫妻と立ち話を行い、石破総理大臣からは、これまでのトランプ大統領の友情と信頼に謝意を示した上で、世界の平和と繁栄を実現していく上での日米同盟の重要性は今後も変わらない旨述べました。石破総理大臣とトランプ大統領は、日米双方の国益に資する着実かつ前向きな進展がみられていることを歓迎しました。

2 日程

9月23日(火曜日)

  • ニューヨーク着
  • サバーハ・ハーリド・クウェート国皇太子との会談
  • グテーレス国連事務総長との会談
  • 日本産食品輸出促進イベント「Taste of Japan : A Culinary Journey」出席
  • トランプ米国大統領夫妻主催レセプションへの出席
  • 一般討論演説

9月24日(水曜日)

  • 日・フィンランド首脳会談
  • 日・オランダ首脳会談
  • ニューヨーク発
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