国連外交
国連加盟60周年記念行事 岸外務副大臣による開会の辞

皇太子同妃両殿下の御臨席を賜りますとともに,多数の方々の御出席を得て,本日,ここ国連大学におきまして,国連加盟60周年記念行事を開催いたしますことは,私の最も光栄とするところであります。
60年前の1956年12月18日,日本は,80番目の加盟国として,悲願の国連加盟を果たしました。戦後,平和国家として再出発した日本にとって,国連加盟とは,世界の平和と繁栄に貢献する国家として,真の意味で国際社会に復帰することを意味するものでありました。以来,日本は,国際協調主義のもと,一貫して国連重視の姿勢を維持し,国連の三本柱である平和と安全,開発及び人権の分野において,積極的に貢献して参りました。
昨年,国連は創設70周年を迎えました。この70年間,国連は,その普遍性と専門性を活かし,国際社会の直面する諸課題の解決に尽力してきました。昨年採択された持続可能な開発のための2030アジェンダや気候変動に関するパリ協定は,いずれも将来世代のためにより良き世界の実現に向けて,重要な一歩と言えるでしょう。今日,国際社会は,依然として一国のみでは解決が難しい,紛争やテロ,難民・移民問題,貧困,気候変動や感染症といった多くの地球規模課題に直面しています。こうした状況下において,今後,国連は一層重要な役割を果たすことが求められています。
顧みれば,日本は,これまで国連に対して,様々な形で貢献を行ってきました。約30年間にわたり,米国に次ぐ第2位の財政貢献国であり続けるとともに,人間の安全保障の理念の下,開発,保健,女性,教育,防災を始めとする各分野で数々のイニシアチブを発揮して参りました。また,唯一の戦争被爆国として,「核兵器のない世界」の実現に向け,軍縮・不拡散の分野で,国連とともに国際社会の取組を主導してきました。安保理改革を始めとした国連改革についても,国連が,21世紀の国際社会の現実を反映し,より正統性,実効性及び代表性を高めた効果的な組織であり続けるため,その推進に努めて参りました。
先人たちが積み重ねてきたこれらの貢献を礎に,日本は,これからも国際社会におけるグローバル課題の解決のため,国連との連携を強化し,積極的に取り組んでいく決意であります。そのために,本日御列席の皆様を始めとして国民の皆様の幅広い御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げます。
最後になりましたが,本日の記念行事の開催関係者の皆様に感謝申し上げますとともに,日本の国連政策の推進に貢献された方々の御尽力と御功績に心から敬意を表し,今後の国連のますますの発展を祈念いたしまして開会の辞とさせて頂きます。