国連外交

国連創設70周年記念シンポジウム
「岐路に立つ国連:改革と刷新の年に向けて」(結果)

平成27年3月17日

  • スピーチする安倍総理大臣
  • パネルディスカッションの様子
  • 議論に参加する中山外務副大臣

 3月16日,国連大学において,外務省と国連大学との共催で国連創設70周年記念シンポジウム「岐路に立つ国連:改革と刷新の年に向けて」を実施しました。
 第一部として,潘基文国連事務総長,その後,安倍内閣総理大臣がスピーチを行い,第二部として,中山外務副大臣,チャポンダ・マラウイ共和国外務・国際協力大臣,オショティメインUNFPA事務局長,田中JICA理事長,星野大阪大学副学長の5人のパネリストにより,シンポジウム全体のテーマでもある「岐路に立つ国連:改革と刷新の年に向けて」についてパネルディスカッションを行いました。概要は以下のとおりです。

1 第一部:安倍総理と潘基文国連事務総長によるスピーチ

  • (1)冒頭,マローン国連大学学長が開会の挨拶を述べた後,潘基文国連事務総長から日本の国連に対する貢献と国連が直面する諸課題について概要以下のとおりのスピーチが行われた。
    • ア 日本の貢献への評価:日本の国際貢献に感謝するとともに高く評価。今後とも日本との協力をさらに強化させたい。日本は,安全保障理事会非常任理事国を10回も務め,人道支援,開発,平和維持,人権,人間の安全保障などで積極的な貢献をし,防災や軍縮などの分野で議論をリードしている。日本が第3回国連防災世界会議をホストし,その際に表明した防災分野における支援策を高く評価。エボラ出血熱対策,PKO分野での日本の貢献にも深く感謝。
    • イ 国連が直面する諸課題:国連は創設70周年を迎えるに際し,開発,民主主義,人権,国際法,平和維持分野などで多くの成功を収めてきた。今年は防災会議を皮切りに,開発,気候変動分野において重要な会議が行われる。世界では,シリア内戦,ISIL,ウクライナ問題などが起きているが,安保理はシリアやウクライナ問題について連帯した対応ができていない。ルワンダ等におけるジェノサイドでも国連は失敗した。しかし,国連がなければ事態はもっと悲惨であろうことも事実。自分はより良いPKOや人権対策のため,イニシアティブをとっている。アジア太平洋地域について言えば,北東アジアでの対話が未来志向で進められることを希望。より良い未来づくりのために皆で協力していきたい。
  • (2)国連事務総長のスピーチに続き,安倍内閣総理大臣から,概要以下のとおりスピーチを行った。スピーチ本文(日本語英語ロシア語(PDF)別ウィンドウで開く中国語(PDF)別ウィンドウで開くアラビア語(PDF)フランス語(PDF)スペイン語(PDF))。
    • ア 国連創設70周年の今年,日本の国連加盟60周年の2年間を「具体的な行動の年」として,さらに積極的な貢献を行っていく。
    • イ 日本は「国連を支える,太くて,頑丈な柱」であり続ける:日本は,先の大戦に対する深い反省の上に,世界の平和と発展,繁栄に貢献できる国となるべく,自由で,民主的で,人権を守り,法の支配を尊ぶ国づくりに励んだ。財政貢献に加え,「人間の安全保障」や「国際協調主義に基づく積極的平和主義」の旗印の下,平和構築,保健,女性,開発,教育,軍縮・不拡散などの分野で様々な貢献,イニシアティブを実施してきた。今後もさらに積極的な貢献を続けていく。
    • ウ 安保理を含む国連改革につき,「具体的な成果を生むとき」:国連は70年間,国際社会の平和と安全のために重要な役割を果たしてきているが,国際社会は過激主義,テロリズム,核拡散,気候変動,感染症などの国家の枠を超える課題に直面。「国連には,変化し,複雑化する国際社会の課題に応えられるよう,改革が不可欠。」改革は急務であり,「日本は,ひとつ,ひとつ,実績を積み上げてきた静かな誇りを胸に,常任理事国の役目を引き受ける用意」がある。

2 第二部:パネルディスカッション

  • (1)中山外務副大臣,チャポンダ・マラウイ共和国外務・国際協力大臣,オショティメインUNFPA事務局長,田中JICA理事長,星野大阪大学副学長の5人のパネリストが,シンポジウム全体のテーマでもある「岐路に立つ国連:改革と刷新の年に向けて」について議論を行った。
  • (2)中山外務副大臣からは,より効果的・効率的に新たな課題に対応できる強い国連にしていくためには,(ア)国際社会の平和と安定の維持を主要任務とする安保理の改革,(イ)複雑かつ多様化する国際社会の諸課題の緊急性や深刻さを見極め,何にリソースを重点的に割くべきか優先順位付けを行う必要があること,(ウ)日本が人間の安全保障や防災,女性,保健,教育,軍縮・不拡散などの分野でイニシアティブを発揮し,議論を盛り上げているように,各国が知恵を出し合い,より良い未来に向けた議論を活発化させる必要があること,を訴えた。
  • (3)チャポンダ・マラウイ共和国外務・国際協力大臣は,安保理改革の必要性,特に安保理において開発途上国が理事国となる必要性について訴えるとともに,開発支援について,たとえばすべての児童に教育の機会を与える目標を達成する際に,機会をただ与えるだけでなく,教育のためのインフラ,教師の質などにも目を配る必要があること,人権について,様々な条約ができていることは評価できるが,今後の課題として,ある国に対しては非難されない行為も他の国で起きた場合には非難されるという基準に差がある点を是正すべきことなどを訴えた。
  • (4)田中JICA理事長からは,特に開発について言えば,国連がなかったらミレニアム開発目標(MDGs)のようなわかりやすい共通の目標を掲げて問題解決に当たることはできなかっただろう,国連は共通の課題を提示して,その解決のための方向性を示し,様々な国,人の目を向けさせることができるという点で意義は大きい,他方,今回のポスト2015年開発目標策定のプロセスでも一部弊害が出ているが,組織間の縦割り意識は是正していかなければならないことなどについて発言した。
  • (5)オショティメインUNFPA事務局長からは,開発を進めるにあたり,脆弱性が目立つようになってきている,たとえば,低所得国よりも中所得国の方が貧困層にあたる人々が多いなどの問題も出てきている,これらの問題を解決するためには,状況の全体像を把握するためのビックデータを得ることが重要,また,開発分野において民間資金の導入や南南協力を行っていく必要性などについて訴えた。
  • (6)星野大阪大学副学長からは,21世紀の世界における最も大きな変化と考えるのは,国家のパワーに対する「人々のパワー」の急速な拡大であり,情報通信技術などの発達を受け,良くも悪くも一人ひとりのできることが大きくなり,結果として各地で紛争が苛烈化しているとの考えを述べた上で,21世紀の国連は,国家による暴力を制御するとともに,人々の暴力を制御し,その一方で人々の命を守り,一人ひとりが明るい未来に向かってそれぞれの才能を最大限に伸ばすことが出来るような機会を提供すべき,日本には,改革された安保理の中で常任理事国としての役割を十分に発揮し,「人間の平和と安全の前進」をリードしてほしい旨発言した。
  • (7)それぞれのパネリストからの発言に続き,モデレーターのアインジーデル国連大学政策研究センター長とパネリストとの間で議論が行われ,会場からも平和構築への取組などについて質問がなされた。全体として,国連がどのように変わるべきなのか,そのために何をすべきなのか,という点についてパネリストがそれぞれの立場から議論を展開し,活発な意見交換が行われた。


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