G7/G8

平成30年4月23日
G7トロント外相会合1
G7トロント外相会合2
4月22日(日曜日)及び23日(月曜日),カナダ・トロントにおいてG7外相会合が開催されたところ,概要次のとおり(出席者:G7各国外相(米国は国務長官代行)及びEU外務・安全保障上級代表。日本からは河野外務大臣が出席)。
なお,会合終了後,以下の文書が発出された。

1 地域情勢

(1)北朝鮮

北朝鮮については,G7の最優先課題の一つとして,河野大臣がリードする形で議論を行った。河野大臣から,今般の北朝鮮による「核実験及びICBM試験発射の停止」,「北部の核実験場の廃棄」の発表は,一歩前進であり,前向きな動きとして歓迎しつつも,「核武装した北朝鮮は決して認めない」との点を強く訴えた。その上で,G7として,完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な方法による北朝鮮の生物・化学兵器を含む大量破壊兵器及びミサイルの廃棄を実現することを目標とすることで一致した。また,北朝鮮に対し,非核化を行うまで,最大限の圧力を維持していくことで一致した。拉致問題については,河野大臣から即時解決に向けて理解と協力を呼びかけ,賛同を得た。

(2)シリア

シリア情勢については,困難な状況から如何に政治プロセスの進展につなげていくかにつき活発な議論を行った。河野大臣から,ジュネーブ・プロセスを通じた政治的解決が唯一の選択肢であること,また,ヨルダン,レバノンといったシリア難民を受け入れている周辺国を支援することが極めて重要であることを強調し,認識の一致を見た。

(3)イラン

イランについては,核合意を巡って各国の立場から意見交換が行われ,イランの核開発を防止する観点から核合意の継続的かつ完全な履行が重要であるとの声が多く出された。

(4)ロシア

ロシアについては,英国における元ロシア情報機関員襲撃事件やシリア情勢,ウクライナ情勢などに関連して,多くの国から厳しい認識が示された。その中で,河野大臣から,北朝鮮情勢などを念頭に,ロシアと関与していく必要性を強調した。

(5)ウクライナ

クリムキン・ウクライナ外相の出席も得たアウトリーチ・セッション,次いでG7のみでウクライナに関する議論が行われ,情勢改善にはミンスク合意を遅滞なく完全に履行することが重要であるとの点を確認するとともに,ウクライナに対しては,より一層の国内改革に取り組むよう促した。

(6)ミャンマー

ミャンマー情勢については,各国から,人権状況等について,厳しい見解が示され,河野大臣からは,ラカイン州の状況改善のため,ミャンマー,バングラデシュ両国政府の取組を支え,前向きな動きを後押しするべきである旨指摘しつつ,これまでの日本の取組につき説明した。

(7)中国

アジア情勢について議論する中で,中国についても議論が行われ,G7として,中国が国際社会のために貢献する能力を有していることに留意し,地域及びグローバルな課題を解決するために中国と協力できるよう期待するとの点などで一致した。

2 国際社会の喫緊の課題・地球規模の課題

(1)化学兵器

最近のシリアや英国における化学兵器使用事案に議論が及び,河野大臣から,化学兵器使用に関する調査や使用者特定のための恒常的で国際的なメカニズムの必要性について指摘し,そうした認識を共有した。

(2)海洋安全保障

海洋安全保障については,東シナ海や南シナ海の情勢についても議論を行い,状況を引き続き懸念するとともに,緊張を高め,現状を変更し得る一方的な行動に強く反対することで一致した。さらに,河野大臣からは,自由で開かれたインド太平洋を実現するために協力していきたい旨述べ,その重要性につきG7で一致した。

(3)テロ対策

テロ及び暴力的過激主義の問題は,引き続き国際社会にとっての最重要課題の一つであり,情報交換を密にするなど,G7としてテロとの闘いにおける国際協力を強化していくことで一致した。

(4)ジェンダー

コロンビア,クロアチア,エクアドル,ガーナ,グアテマラ,ジャマイカ及びパナマの女性外務大臣の出席を得たアウトリーチ・セッションでは,ジェンダー平等及び女性のエンパワーメントについて議論した。ジェンダー主流化のための取組を一層進めることの重要性や,紛争予防,平和構築等における女性の役割の重要性が強調された。

3 その他

このほか,イスラエル・パレスチナ紛争,イラク等の中東情勢,ベネズエラ情勢,アフリカ情勢,人の移動,紛争予防等を含む多岐にわたる分野について議論が行われた。

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