日本の安全保障と国際社会の平和と安定

平成26年2月4日
 2月4日,外務省で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画についての第3回少人数グループ会合の概要は以下のとおりです。

1.出席者

 少人数グループのメンバーが出席し,関心を有する方々20名弱がオブザーバーとして傍聴されました。

【参考】 少人数グループ・メンバー(敬称略)

<学識者>
秋林 こずえ(欠席) 立命館大学
川眞田 嘉壽子 立正大学
田中 雅子 文京学院大学
橋本 ヒロ子 CSW日本代表
福井 美穂(欠席) お茶の水女子大学
堀内 光子 (公財)アジア女性交流・研究フォーラム
三輪 敦子(欠席) (公財)世界人権問題研究センター
目黒 依子 ジェンダーアクションプラットフォーム
<市民連絡会>
(※各ワーキンググループ・リーダー5名(リーダーが参加できない場合はサブリーダー)とコーディネーター1名が参加)
谷口 真由美 (WG1 ジェンダー暴力・性暴力・人身売買・リプロ)大阪国際大学
斎藤 文栄 (WG2 国際協力)東日本大震災女性支援ネットワーク
渡辺 美奈 (WG3 東アジア)アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」
山下 泰子 (WG4 エンパワーメント・参画)国際女性の地位協会
与那嶺 涼子 (WG5 PKO・警察・自衛隊)ジェンダー・コンサルタント(女性,平和,安全保障)
本山 央子 (市民連絡会コーディネーター)アジア女性資料センター
<外務省>
和田 幸浩外務省総合外交政策局主任外交政策調整官
他3名
<関係府省庁等>
内閣府男女共同参画局
内閣府国際平和協力本部
JICA

2.議論の概要

 以下のとおり,市民社会からの今後の策定作業の進め方についての要望,行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメントPDFについて,外務省から取りあえずの反応を述べつつ,少人数グループで検討を行いました。

(1)今後の策定作業の進め方についての要望

ア 地方での意見交換会
 市民社会から,2月下旬に沖縄で意見交換会を行う予定であることを高く評価する,その他の地方でも意見交換会を開催してほしい,市民社会としても,具体的な開催希望場所や会議場の提供等の検討を進める旨発言があり,外務省から,現時点でお約束はできないが,本年度中に沖縄に加えてもう1か所,また,次年度にも適当な場所での意見交換会の開催を検討したい旨応答。
イ 交通費の支給
 市民社会から,既に首都圏外から参加している者への交通費支給に感謝する,新規の首都圏外からの参加者への交通費の支給も検討してほしい旨要望があり,外務省から,人数的に無制限に支給できるわけではないが,検討させていただきたい旨応答。

(2)行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメント

 主なやり取りは以下のとおりです。その他の部分については,基本的に市民社会から提出された行動計画(第1稿)序文への修正案・コメントを基に検討を続けていくことになりました。

ア 慰安婦問題について(行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメントPDF
 市民社会から,日本が「過去の歴史において」,「女性に対する大規模な性暴力を行ったこと」があるという事実を認めた上で,平和国家としての歩みを重ねてきたことを計画に明記すべき旨コメント。これに対して,外務省から,過去の歴史については,様々な議論があり,第1稿の文言「日本は,戦争を含む過去の歴史・経験を踏まえ,国際社会においては,・・・平和国家としての歩みを重ねてきた。・・・これらの過去の教訓,経験,実績を踏まえ,日本は引き続き,・・・」がバランスの取れた書き方ではないかと考える,いずれにせよ,どのような書き方が適切か,引き続き検討したい旨応答。
イ 人間の安全保障について(行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメントPDF
 市民社会から,人間の安全保障に関する国連総会決議にあるような国際的な定義を用いるべき旨コメント。これに対して,外務省から,日本の行動計画であるので,日本として人間の安全保障をいかに捉えているかという視点からの書きぶりとしたいが,コメントを踏まえ,内部で相談する旨応答。
ウ 平和構築について(行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメントPDF
 市民社会から,「ODAのみならず,国連PKO等にも参加し,平和構築の現場における人的貢献を実施」との記載について,「平和維持」の文言を消去するのは不適切ではないかとの問題提起があり,これに対して,外務省から,「平和維持」と「平和構築」の射程については様々な考え方があり得るが,国連PKO局の公式文書でも示されている整理を採用し,「平和維持」は広い意味の「平和構築」に包含されると整理した旨応答。引き続き検討することになった。
エ 国連総会一般討論演説について(行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメントPDF
 市民社会から,国連総会一般討論演説に関する記述は,一時的な演説の内容であり,今後継続的な取組を行うための行動計画には不適切とのコメントと共に,同演説を「3.日本の取組」で特出しするのは,他の項と比較しても,理念のバランスが取れておらず,違和感がある旨,また,同演説に基づいて初めて取組を開始するのではなく,これまでの取組にも基づいていることを踏まえるべき旨指摘があった。これに対して,外務省から,国連総会一般討論演説は今後3年間の支援の方向性を示したものであることも踏まえ,引き続き検討したい旨応答。
オ 自然災害について(行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメントPDF
 市民社会から,「日本は災害対処における女性及び女児への配慮について先進的な取組を数多く有して」いるという日本の取組を述べた項目につき,政府の施策というほどに,制度化された取組ではないので,記述は不要ではないかとのコメントがあった。これに対して,外務省から,書きぶりについて引き続き検討したい旨応答。
カ ジェンダーの観点について(行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメントPDF
 市民社会から,「『安全保障とジェンダー』の観点から」という記述について,趣旨は「ジェンダー」だけで言い表せる旨指摘があった。これに対して,外務省から,「女性・平和・安全保障の観点から」という書き方が,適切ではないかと考える旨応答。
キ 積極的平和主義について(行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメントPDF
 市民社会から,「積極的平和主義」の定義が曖昧であり,その中身を書き下した方がよい旨コメントがあり,引き続き検討していくことになった。
ク 市民社会とNGOについて(行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメントPDF
 市民社会から,「市民社会」,「NGO」,「市民団体」,「有識者」等の関係につき英訳にすることも視野に,概念整理が必要ではないか,「市民社会及びNGO」という表記ではなく,「NGOを含む市民社会」又は「市民社会・NGO」が適切である旨指摘があり,外務省から,コメントを踏まえて検討する旨応答。
ケ 基本的な考え方(行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメントPDF
 市民社会から,「5.行動計画の目標と構成」で,基本的な考え方を述べている箇所を,「4(1)基本的な考え方」に統合し,項目名も「5.行動計画の構成」とすべき,重ねて記述することで,何が基本的な考え方であるのか,かえって曖昧になる旨指摘があった。これに対して,外務省から,コメントを踏まえて検討する旨応答するとともに,5.(1)で削除される内容を重複を避けつつ4(1)に移動する可能性に言及。

3.今後の予定

  • (1)3月3日の週に,少人数グループの第4回会合を開催すべく調整することとなりました。
  • (2)次回会合では,「1.エンパワーメント・参画」の意義・狙い,具体的な目標と施策について,検討を進めることとなりました。
  • (3)少人数グループ会合の開催,また,同会合の結果などの検討状況は,引き続き外務省ホームページなどを通じて幅広く共有させていただき,引き続き随時御意見を頂きながら,作業を進めていく予定です。

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