日本の安全保障と国際社会の平和と安定

平成26年3月17日
 2月28日,沖縄(国際協力機構(JICA)沖縄国際センター)で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画についての意見交換会の概要は以下のとおりです。

1.出席者

 関心を有するNGO,有識者の方々など約30名に参加いただきました。

2.議論の概要

  • (1) 冒頭,外務省から,女性・平和・安全保障(WPS)に関する安保理決議と「行動計画」の概要(PDF)PDF,現在検討作業を進めている行動計画案(第1稿)(PDF)PDF及び市民社会から提出された行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメント(PDF)PDFの概要を説明し,出席者の方々との間で,活発な意見交換が行われました。その際,沖縄の方々の御意見を取りまとめた要望(PDF)PDFが配布され,説明がなされました。 なお,沖縄以外から参加された方からは,沖縄以外の人々が沖縄の現状を実感することは難しいが,今回,それを肌身で感じることができた。各地で意見交換する際にも,沖縄の方々に参加いただくことも一案である,といった御意見も出されました。
  • (2) 上記(1)の要望を含め,出席者の方々から,取りまとめ以下のような意見が出されました。
    • (ア) 行動計画の基本的な考え方について,先進国たる日本が紛争国をいかに支援するかという点のみを計画の中心とするだけでよいのか。在日米軍基地の存在,駐留軍隊による女性に対する暴力といった沖縄の状況を踏まえた計画を策定すべき。これは,沖縄の状況がひどいから何とかしてほしいということではなく,先の大戦の経験も踏まえ,日本として自国全体をどう見るかということ。
    • (イ) 沖縄は平和であるとは言えず,日本は紛争下にないとは言えない。基本認識として,日本は紛争状態にあると言ってしまいたい気持ちである。20世紀の戦争の結果として沖縄に軍が駐留し,それが現在も継続している状態であって,紛争が解決されたとは言いがたい。行動計画は日本の「自画像」であり,沖縄を含め,各国から見た日本の姿と合致しているかという視点から検討すべき。その観点から,地位協定の問題や慰安婦問題に触れない計画は,何のための計画かということになる。
    • (ウ) 在日米軍関係者による女性に対する暴力は恒常的に発生している。これは,日米地位協定の不平等性に起因する。地位協定の改定も視野に入れるべき。計画案(第1稿)には,法の下の平等を含む憲法の関連規定への言及があるが,地位協定が憲法よりも上位に位置しているがごとき状況下では,憲法に規定される平等を実感できない。
    • (エ) 米国は,沖縄を含む海外に派遣される要員に対する教育を徹底すべき。その点も地位協定の中に反映されるべき。日本は受入国として,派遣国の米国に対して教育の徹底をしっかり求めるべき。在日米軍基地から紛争国に派遣された軍人が罪を犯すことは,派遣元の施設提供者たる日本の責任でもあり,米国軍人に対する教育は日本自身の問題でもある。米国軍内部での性暴力が米国内でも問題となっている。これらの点を米国に対して指摘すべき。また,米国の行動計画の中に軍人に対する教育が含まれているか、確認すべき。さらに,日本と同じく駐留外国軍隊を抱える国の行動計画に参考となる施策はないか調べるべき。
    • (オ) 「積極的平和主義」は,一時の政策的要請から出てきた言葉であり,経験に基づく練られた考え方ではない。「平和」という言葉は沖縄にとって重要な意味を持つ。憲法第9条,恒久平和を計画に含めるべきであり,また,集団的自衛権は容認しないことを明記すべき。
    • (カ) 行動計画の策定及び策定後の実施において,沖縄は重要なステークホルダー。モニタリング等に関して,日米合同の会合を沖縄で開催することができれば有益。
  • (3) これらの御意見に対して,外務省から,在日米軍基地や慰安婦問題等に関する政府の基本的な立場を説明したほか,本年3月末までに外務省の担当者が米国を訪問し,同国の行動計画担当者との間で意見交換する予定であることを紹介するとともに,今回の意見交換会で頂いた御意見,具体的な要望を基に米国との意見交換に臨みたい旨伝えました。


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