サイバーセキュリティ

平成27年4月20日
サイバー空間に関するハーグ会議
サイバー空間に関するハーグ会議

1.概要

(1)4月16日(木曜日)~17日(金曜日),中山外務副大臣は,オランダ・ハーグにおいて開催された「サイバー空間に関するハーグ会議」に出席した。
(2)今回の会議には,オランダ(ルッテ首相,クーンデルス外相,ローゼンタール特使),カナダ(ニコルソン外相),豪州(ビショップ外相),韓国(尹炳世外相),タイ(タナサック外相)等,約100か国から1600名以上(閣僚級35名以上及び民間出席者が含まれる)が参加し,国際・地域機関,NGO,民間企業等(マルチステークホルダー)によるサイバー分野の様々な側面についての議論が行われ,サイバー空間におけるリスク軽減のための国際協力,特に能力構築支援の重要性が強調された。
(3)また,中山副大臣は,この機会に,オランダ,米国,セネガル等の各国代表と個別の会談等を行い,サイバー分野における我が国の外交政策を含む,グローバルな安全保障上の課題について意見交換を行った。

2.「オープニングセッション」における中山副大臣発言

(1)中山副大臣は,16日午後の「オープニングセッション」において,サイバー分野における我が国の基本的な考え方や取組についてスピーチを行った。
(2)中山副大臣は発言の中で,開かれた,自由,安全かつアクセスしやすいサイバー空間が経済成長及び社会的発展の原動力である一方,サイバー技術が,ルールを無視するテロリスト犯罪者によって利用されるなどの新たな課題も生み出していることを指摘した。また,途上国の脆弱性に対応するための我が国のキャパシティ・ビルディング支援策を紹介し我が国が「積極的平和主義」の立場から,地域と世界の平和と安定のために,これまで以上に積極的に貢献していくことを強調した。

3.その他の主なセッションでの議論

(1)GFCE(Global Forum on Cyber Expertise)の立ち上げ
オランダ政府の主導により,サイバー分野におけるキャパシティ・ビルディング支援を促進すべく,(ア)政治的モメンタムの形成,(イ)新たなイニシアティブの促進,(ウ)ハイレベルで議論するプラットフォームの創設,を目標として,我が国を含む約30か国・機関の立ち上げパートナーによる枠組みが立ち上げられた。(我が国は,米国及びオーストラリアとともに実施しているASEAN諸国に対するサイバー犯罪技術援助プロジェクト(UNODC:国連薬物・犯罪事務所)をGFCEのイニシアティブとして登録した。)

(2)国際的な平和と安全
ジョゼフ・ナイ教授らが登壇し,国際協力を通じたリスクの軽減と,国家の責任ある行動のための更なる規範確立の基盤として,既存の枠組みと国際法の原則の適用について活発な議論が行われた。

(3)経済成長におけるサイバー空間の役割
開かれた,安全で安定した情報インフラへの全世界的な接続可能性及び途上国のインターネット経済への十分な接続可能性,また,マルチステークホルダー・モデルの持続可能性強化と更なる進化促進の重要性等について議論が行われた。

(4)自由とプライバシー
サイバー空間における人権保護の重要性が議論された。特に,暴力の扇動,テロリズムへの勧誘及び資金調達等のために人権を侵害する行為に対し,法の枠組みの中で対抗し,人々の安全,個人情報,ネットワーク及びデバイスを守ることの必要性が確認された。

4.議長声明

(1)閉会式において,クーンデルス蘭外相より議長声明が発表された。同声明では,今回の会議では,ロンドンプロセスに基づき,自由で開かれた,安全なサイバー空間を促進するための議論が行われたこと,また,マルチステークホルダーが管理するサイバー空間は,世界の経済成長と社会発展の礎であるが,他方で我々は新たな課題に直面しており,ICTの安全を確実化させるとともに,表現の自由やプライバシー保護といった基本的権利を確保する必要があること等が述べられた。
(2)次期会議は,2017年にメキシコにおいて開催。

5.評価

(1)世界各国から36名の閣僚(うち外相17名)が参加した本会議への中山副大臣の参加は,会議における代表スピーチや各国代表との対話を通じて,現在のサイバー空間に関する我が国の現状認識や基本的な考え方,課題を解決するための能力構築支援等の取組みについて,国際的に広く発信する良い機会になった。
(2)また,我が国からは,民間企業(NTT)やJPCERTもスピーカーとして参加し,民間の取組みも紹介することができたため,国際社会に対し,官民双方の我が国の取組みを印象付けることができた。

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