日本の安全保障政策

平成27年2月10日
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1 概要

  • (1)2月6日(金曜日)から7日(土曜日)にかけて,城内外務副大臣は,独・ミュンヘンにおいて開催された第51回ミュンヘン安全保障会議(会議の日程は2月6日~2月8日)に出席した。
  • (2)今回の会議には,独(メルケル首相,シュタインマイヤー外相),米(バイデン副大統領,ケリー国務長官),英(ハモンド外相,ファロン国防相),仏(ファビウス外相,ルドリアン国防相),露(ラヴロフ外相),ウクライナ(ポロシェンコ大統領),EU(モゲリーニ上級代表),NATO(ストルテンベルグ事務総長),中(楊潔チ国務委員)等,400名以上(首脳級約20名,外相・国防相級60名以上を含む。)が参加し,ウクライナ情勢やISILを始めとするグローバルな安全保障問題について幅広い議論が行われた。
  • (3)また,城内副大臣は,この機会に,参加者との立ち話を行い,シリアにおける邦人人質殺害事件を含むグローバルな安全保障上の課題につき意見交換を行った。
  • (4)さらに城内副大臣は,フーバー・独バイエルン州首相府長官と会談し,日・バイエルン関係等につき意見交換を行った。

2 セッション「太平洋の地政学」における城内副大臣発言

  • (1)城内副大臣は,6日午後のパネル・ディスカッション「太平洋の地政学」において,ウン・エンヘン・シンガポール国防大臣,劉振民(リュウ・シン・ミン)中国外交部副部長,黄震夏(ファン・ジ・ナ)韓国国会国防委員会委員長,ミシェル・フロノイ米元国防次官とともにパネリストとして登壇し,アジア太平洋地域が直面する課題等について議論を行った。
  • (2)城内副大臣は発言の中で,アジア太平洋地域の安全保障環境は一層厳しさを増す一方,この地域は世界の平和と繁栄の源であること,地域の安定のためには予見可能性の向上と透明性の確保が鍵であり,海における法の支配の三原則を改めて確認した。また,日本は「積極的平和主義」の立場から,地域と世界の平和と安定のために,これまで以上に積極的に貢献していくことを強調した。
  • (3)ディスカッションでは,アジア太平洋地域の安全保障枠組みの今後の在り方等について議論がなされた。城内副大臣からは,欧州におけるOSCEの役割は参考になる,アジア太平洋地域は,民族や宗教,政治体制,経済発展の度合い等が各国により大きく異なる点において特徴的であり,ARFやEAS,ADMMプラス等の既存の枠組みを重層的に発展させていくことが重要である旨指摘した。

3 その他のセッションでの議論

(1)ウクライナ情勢

 初日及び二日目には,メルケル独首相,バイデン米副大統領,ラブロフ露外相,ポロシェンコ・ウクライナ大統領,ファロン英国防相,ルドリアン仏国防相,フォン・デア・ライエン独国防相らが次々に登壇し,ウクライナ情勢をめぐり,戦闘停止やウクライナへの武器供与等について活発な議論が行われた。

(2)ISIL,中東情勢

 二日目後半から最終日にかけ,米仏独の外相によるパネルや,ザリーフ・イラン外相,モゲリーニEU上級代表,アバーディ・イラク首相,ガーニー・アフガニスタン大統領,イスラエル及びパレスチナのハイレベル等による登壇があり,シリアやイラク情勢,ISIL,イラン核問題,中東和平等につき活発な議論が行われた。

4 評価

  • (1)今次会合への城内副大臣の参加は,日本の安全保障政策,とりわけ「積極的平和主義」について国際的に発信する良い機会になった。特に,日本が戦後一貫して平和国家としての道を歩んできたこと,戦後70年を迎え,その歩みを一層力強いものにしていくことについて,参加者から十分な理解が得られた。
  • (2)ウクライナ情勢が大きく変化する中,関係国の首脳級・閣僚級の要人が一堂に会する機会となったこともあり,各国参加者のステートメントはウクライナに関するものが大部分を占めたが,その中でも,アジア太平洋のセッションが実施されたことは,欧州のアジアへの関心が一定程度維持されていることを示すものとなった。

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