平和維持・平和構築

令和8年3月16日
PBF事業、TTTデータ収集地点マッピングの協議会を地方で関係者と行った時の開会式の様子(筆者右端)
地方訪問時のコミュニティとの話し合い(筆者左奥)

 外務省委託「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」の「プライマリー・コース」研修員の辻本峻平です。私は同コースを通じて国際移住機関(IOM)1に派遣され、ガンビア事務所でコミュニティ安定・平和構築官(国連ボランティア)として活動しています。

 私は主に、日本も拠出する国連平和構築基金(PBF)2で実施される気候安全保障事業の事業管理をしています。ガンビアは深刻な武装紛争はないものの、気候変動による雨量の減少や、土壌侵食、暴風の増加といった課題に直面しています。加えて、温暖化による海面上昇で、低地国であるガンビアに流れる川の塩分濃度が増加し、土地の塩類化が進んでいます。そういった問題から、土地の生産性が減少しつつあり、移放牧や農業で生計を立てる人々の間で土地争いが増加するようになりました。その土地争いを包括的なアプローチで予防、緩和、解決することが本事業の目的です。本事業は、国連食糧農業機関(FAO)3および世界食料計画(WFP)4が各々の専門性を活かし、共同で実施しています。

 私は、コミュニティに根ざした減災研修をはじめ、IOMが持つ移牧民追跡データツール(TTT)5におけるデータ収集地域特定・調査員の研修・実際のデータ収集・分析、環境に優しい生計手段に関する調査および生計向上に向けた取組、平和と気候変動についてのコミュニティ間の対話や環境保全啓発、メンタルヘルス及び心理社会的支援(MHPSS)6を活用した平和構築に係る能力向上トレーニングなどの活動を、計画、調整、実施などの観点からそれぞれの専門性を持つナショナルスタッフとともに協力し、事業を進めています。

 活動を通じて、農地と家畜の通り道が被ってしまったエリアや塩類化で使えなくなった土地を視察しました。実際の争いの事例を聞き、政府関係者と議論を重ねる中で、本事業が重要な時期に行われていることに気付かされます。事業は道半ばですが、協働する政府関係者や市民団体と共に現地コミュニティに赴いた際、議論を通し土地問題解決に向けて合意に達することもあります。こうした際に、事業の確かな効果を感じ、平和構築分野で働く者としてやりがいを感じます。

 他にもIOMは日本政府の支援で、ガンビアの国境管理能力の強化事業も行っています。現行事業では2023年から3か所の国境管理施設や偽造文書検出施設の設置などを行い、安全で秩序ある正規の国境間の人の移動を支援しています。私自身、ガンビアを管轄する在セネガル日本国大使館とのコミュニケーションや、日本資金で事業を行った過去の経験を活かして、事業のサポートに入っています。

 上記のようにガンビアが直面する課題の解決に向け、日本政府の資金援助があらゆる場面で重要な役割を担っています。これからも日本政府の資金援助を通じて、ガンビアの持続的な平和を支えるべく日々の業務に励みたいと思います。

  1. IOM:International Organization for Migration
  2. PBF:Peacebuilding Fund
  3. FAO:Food and Agriculture Organization of the United Nations
  4. WFP:World Food Programme
  5. TTT:Transhumance Tracking Tool
  6. MHPSS:Mental Health and Psychosocial Support

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