平和維持・平和構築
令和6年度平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業 プライマリー・コース
国連人口基金 崎山実樹研修員のコラム
プロジェクトを実施するジャフナDistrict Secretaryとの面会の様子(筆者中央)
(提供 Jaffna District Secretariat)
職場フォーラムに対するジェンダー研修の様子(筆者右端)
(提供 UNFPA)
平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業に参加して
外務省委託「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」の「プライマリー・コース」研修員の崎山実樹です。同コースの海外派遣制度を通じ、国連人口基金(UNFPA)1スリランカ事務所に国連ボランティアとして勤務しています。
スリランカはインド洋の島国です。親日的な仏教国で、「セイロンティー」で親しまれる紅茶が有名ですが、1983年から2009年まで続いた紛争が終結した後も、2019年の爆破テロ事件や2020年以降の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動の停滞等により、2022年に対外債務不履行に陥り、経済危機となりました。経済状況の悪化に伴い生活必需品や燃料の不足等により、政府に対する国民の不満が高まったため、各地で抗議活動が行われました。スリランカ経済は順調に回復の兆しを見せているものの、国内の民族、宗教、経済状況等に根差す様々な対立の火種の芽を摘み、社会全体の融和・結束を図ることが求められています。
このような中、私は国・地域・コミュニティレベルの包括的な社会対話の促進を通じ、スリランカ社会の平和と結束の強化を目指した事業の管理を担当しています。本事業は、平和構築基金(PBF)2からの資金提供を受け、UNFPA、国際労働機関(ILO)3及び国連教育科学文化機関(UNESCO)4が共同で実施しています。特に、UNFPAはジェンダー主流化の役割を担い、男女で異なるニーズや影響を踏まえて本事業を実施しています。一例としては、官公庁において、職場での問題について建設的な対話の場を提供する「職場フォーラム」に従事する公務員に対し、職場でのジェンダーに基づく暴力やハラスメントを予防するべく、ジェンダーや「多様性・公平性・包括性(DEI)5」に関する研修を実施しています。ジェンダーに配慮した職場づくりを通じ、労働争議を未然に防ぎ、社会的結束を強めることで、包括的な社会・経済復興への道筋を支援します。官公庁に限らず、民間企業に対しても、同様の研修を実施しています。
また、2022年の経済危機に対応すべく、UNFPAは日本の補正予算の拠出で、スリランカの女性・女児・若者の社会的レジリエンスを強化する人道支援事業を実施しました。2023年度拠出の事業では、10県(District)にわたる妊婦や授乳中の女性、若者、生殖年齢期の女性、青年、障がい者、若者、そして高齢女性を含む約827,700人の脆弱な人々が、各年齢層に応じたキットや生計支援物資を受け取り、性と生殖に関する健康と権利に関する情報やサービス、ジェンダーに基づく暴力のサバイバー支援へアクセスできました。
日本が長年築いてきたスリランカとの友好的な関係のおかげで、日本人として日々の仕事がやりやすく感じる場面もあります。スリランカの平和と発展に向けた取り組みに貢献できることは大変光栄です。日本の支援により多くの成果が上がっている一方で、依然として課題は残されています。UNFPAの使命を果たすために私のような邦人職員が行う活動は、強靭なスリランカを築く上で極めて重要かつ不可欠な役割を担っています。
- UNFPA: United Nations Population Fund
- PBF:Peacebuilding Fund
- ILO: International Labour Organization
- UNESCO: United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization
- DEI: Diversity, Equity, and Inclusion

