人権外交
ビジネスと人権関連イベント「人権デュー・ディリジェンスの未来」(結果概要)

令和7年2月7日、外務省と国連開発計画(UNDP)共催で、企業における人権デュー・ディリジェンスの普及を目的として、「人権デュー・ディリジェンスの未来:日本およびグローバルサプライチェーンで期待されることー国別行動計画(NAP)と中小企業の役割」がハイブリット形式で開催され、約400名が参加する中、ビジネスと人権に関して有意義な意見交換が行われました(会場:国連大学ウ・タント国際会議場)。
1 堤尚広特命全権大使による開会挨拶

本行事では、冒頭、堤尚広特命全権大使(人権担当兼国際平和貢献担当)が開会挨拶を行い、(1)「良い企業」は社是や経営方針などで既に人権尊重を実践していること、(2)日本は、立派に人権尊重を実践する日本企業が正当に評価される社会を目指していること、(3)企業には、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、「ビジネスと人権」に関する行動計画
、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」
などを十分に活用し、人権尊重に取り組み、企業価値の向上と名声を手にしていただきたい旨述べると共に、企業にとってリスクを避け、国際競争力を維持強化するためにも、人権尊重に取り組む「良い企業」であることが合理的な選択であり、そうでなければ生き延びられなくなる、ビジネス活動に関わる人々が人権尊重という形で、互いを尊重し合い、助け合い、より良い自分を実現できるようになることを心より願う等述べました。
堤大使挨拶全文(日本語(PDF))
2 尾﨑壮太郎人権人道課長によるプレゼンテーション

また、尾﨑壮太郎人権人道課長は、「ビジネスと人権」に関する行動計画についてプレゼンテーションを行い、政府の取組状況及び行動計画改定に向けた進捗状況を紹介すると共に、指導原則は、その第2の柱として、人権を尊重する企業の責任を掲げており、企業は人権尊重の責任を果たすために、(1)人権方針の策定、(2)人権デュー・ディリジェンス(DD)の実施、(3)救済メカニズムの構築を求めている、(1)人権方針の策定は、大企業を中心に既に多くの企業で取組がなされているが、それにとどまらず、人権のリスクはどこでも存在することを前提に、(2)人権DDの実施と(3)救済メカニズムの構築まで行うことが重要である等述べました。
尾﨑壮太郎人権人道課長プレゼンテーション資料(日本語(PDF))


また、セッション1及び2では、「ビジネスと人権の促進における行動計画の役割」及び「中小企業における人権デュー・ディリジェンスの展開」をテーマに、インドネシアやキルギス等の国内外の政府関係者、国内外の有識者、及び企業関係者等の間でパネルディスカッションが行われ、行動計画や中小企業への取組の普及について、様々な立場から示唆に富んだ意見が交わされました。
外務省では、UNDPと連携し、2022年から日本と20か国において、日本企業やそのサプライヤー等による人権尊重の取組を支援するとともに、対象国政府の行動計画の策定や実施を支援してきました。本行事はその一環として開催されたものです。
外務省はこれからも企業による人権尊重の取組を後押しするために、このような周知・啓発活動を含め、取り組んで行きます。