人権外交

日時:平成30年8月31日(金曜日)
10時00分~12時00分
場所:外務省会議室893号室

平成30年10月11日
  1. 我が国は,ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)策定の第一段階として,企業活動における人権保護に関する我が国の法制度や取組についての現状を確認するため,ベースラインスタディを実施してきており,8月31日,ビジネスと人権に関するベースラインスタディ意見交換会(第10回会合)が開催されました。
  2. 会合には,関係府省庁,経済界,労働界,市民社会,有識者,各種団体の関係者が出席し,ビジネスと人権に関するベースラインスタディ意見交換会の全体を総括する機会を設けました。
  3. 議事概要は以下のとおりです。
    • (1)政府側から,これまでの意見交換会を振り返り,今後,国別行動計画策定のプロセスにおいて,政策・施策について検討する上で,ベースラインスタディを基礎として,幅広く意見を受け付けていく考えが示されました。
    • (2)続いて,ステークホルダー代表等から,本国別行動計画に関する全体的なプロセスに対する意見が提示されました。
    • (3)主な意見等は以下のとおりです。
      国別行動計画策定に対する期待
      • 企業活動によって生じ得る人権への悪影響を特定し,それに対処する環境整備を進めることを含め,国家は企業活動における人権の尊重への期待を明確に示すことが急務であり,労働者や社会的に取り残されるリスクの高いグループ等が直面するリスク等に考慮する必要があると言及があった。
      • ビジネスと人権分野に関連する課題は多岐に渡っており,関係府省庁をはじめ,政府として政策の一貫性の確保の推進を期待する意見があった。
      • 加えて,ビジネスと人権分野に対する取組には,人権に対する国民全体への理解促進や啓発活動を含む包括的な取組が有益であるとの考えも示された。
      • 国別行動計画策定においては,関係府省庁間の協力を含む,十分なリソースを投入し,幅広なテーマにおいて,ステークホルダー等と十分に協議を行い,国別行動計画における優先課題を決定し,透明性と参画可能性のある策定プロセスを求める声があった。
      • 国別行動計画策定に向けて,ステークホルダーからは,ベースラインスタディ(和文)公表前やロードマップ決定前等,今後の方針の検討を含む,各段階において,ステークホルダーから意見をインプットする機会を希望する要請があった。また,各ステークホルダーの見解がどのように反映されるのか,方向性が早い段階で示されることが望ましいとの意見があった。
      人権尊重に関する企業の取組
      サプライチェーンにおける人権侵害及びダイバーシティ・マネージメントに関する取組等に着手している先進企業等や,「グローバル・コンパクト原則」等をマネジメントに取り入れて戦略的に労働環境の改善や社会課題への取組を進めている事例等も見受けられる一方,労使の信頼関係に基づく「人間尊重の経営」を経営の根幹に置き,それを実践する企業は一部に留まっているとの指摘もあった。

【参考】出席者:

(ステークホルダー:以下の組織に属する関係者)
(一社)グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン
中小企業家同友会全国協議会
(一社)日本経済団体連合会
日本弁護士連合会
日本労働組合総連合会
ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォーム
(関係府省庁)
内閣府,警察庁,金融庁,消費者庁,総務省,法務省,外務省,財務省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,防衛省(防衛装備庁)
(有識者)
日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所新領域センター山田美和法・制度研究グループ長
(オブザーバー)
国際移住機関(IOM)駐日事務所
国際労働機関(ILO)駐日事務所
国連広報センター(UNIC Tokyo)
(公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

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