人権外交

日時:平成30年7月30日(月曜日)
15時30分~17時30分
場所:外務省会議室893号室

平成30年9月12日
  1. 我が国は,ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)策定の第一段階として,企業活動における人権保護に関する我が国の法制度や取組についての現状を確認するため,ベースラインスタディを実施してきており,7月30日,ビジネスと人権に関するベースラインスタディ意見交換会(第9回会合)が開催されました。
  2. 会合には,関係府省庁,経済界,労働界,市民社会,各種団体の関係者が出席し,政府側から,ビジネスと人権における「中小企業」に関する取組等について説明しました。
  3. 議事概要は以下のとおりです。
    • (1)冒頭,ビジネスと人権に関するベースラインスタディに関する今後の方針について議論を行いました。
    • (2)続いて,経済産業省,厚生労働省から,ア 中小企業・小規模事業者の定義,イ 中小企業に特化した雇用に関する支援(女性活躍推進事業),ウ 特定集団への産業復興支援(アイヌ政策),エ 人権教育・啓発活動について報告がありました。
    • (3)ステークホルダー代表からは,中小企業に関連して,企業,労働者等の当事者が直面すると懸念される人権リスク等に関し,各自の意見の発表がありました。
    • (4)主な意見等は以下のとおりです。
      中小企業とビジネスと人権
      国連ビジネスと人権指導原則は,企業の規模や業種等にかかわらず,全ての企業に適用されると言及しており,中小企業の文脈では,中小企業の海外展開やサプライチェーンにおける日本大手企業と海外中小企業との関係等が注目されることが多いが,地方を含む,国内の中小企業にも留意すべきとの意見があった。企業数や従業者数の全体に占める中小企業の割合は大きく,中小企業は経済の中心的役割を果たしている。限られたリソースの中,女性や障害者の雇用など自主的に取り組む企業も多いが,中小企業の実態を適切に把握する必要を指摘する声もあった。また,国内の中小企業と海外の企業との競争条件の平等という視点から,ビジネスと人権に取り組む重要性が指摘された。
      中小企業に特有の外部阻害要因
      中小企業による人権尊重を推進していく上で,中小企業による自覚だけでなく,中小企業を取り巻く環境を見直す必要性が指摘され,交渉力の弱い中小企業に負担を強いるような商取引慣行等が一例として挙げられた。特に,海外展開については,リソース不足の中,既存の人権に関する法規範及び現地の潜在的な人権リスクの把握及びその対応等容易ではなく,政府を含めた外部機関からの情報提供や支援が有益との声があった。
      既存の取組の活用
      日本弁護士連合会法律支援センターの支援制度や中小企業海外展開支援弁護士紹介制度を活用し,中小企業の法的支援にかかる取組を継続・強化する旨提案があった。また,「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」に基づく「人権教育・啓発に関する基本計画」,公正採用選考人権啓発推進制度や,(公財)人権教育啓発推進センターへの委託事業等,ビジネスと人権と直接かかわる文脈ではないが,ビジネスと人権の観点から活用し,政策の一貫性を重視していく旨提案があった。

【参考】出席者:

(ステークホルダー:以下の組織に属する関係者)
(一社)グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン
中小企業家同友会全国協議会
(一社)日本経済団体連合会
日本弁護士連合会
日本労働組合総連合会
ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォーム
(関係府省庁)
警察庁,金融庁,消費者庁,総務省,法務省,外務省,財務省,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省
(オブザーバー)
OECD東京センター
国際労働機関(ILO)駐日事務所
(公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

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