日本の安全保障と国際社会の平和と安定

平成26年7月3日
 6月23日,関西(同志社大学)で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画についての意見交換会の概要は以下のとおりです。

1.出席者

 関心を有するNGO,有識者,大学生,大学院生の方々など約30名に参加いただきました。

2.議論の概要

  • (1)女性・平和・安全保障(WPS)に関する安保理決議と「行動計画」の概要(PDF),現在検討作業を進めている行動計画案(第1稿)(PDF)及び市民社会から提出された行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメント(PDF)「I.エンパワーメント・参画」に対するコメント(4月7日付け)(PDF)「II.予防」に関するコメント(PDF)「III.保護」に関するコメント(PDF)「IV.人道・復興支援」に関するコメント(PDF)「V.モニタリング・評価・見直し」に関するコメント(PDF)を配布し,冒頭,1325NAP市民連絡会関西意見交換会実行委員会から,安保理決議第1325号の概要,行動計画策定に関するこれまでの経緯,市民社会連絡会の役割等について説明があり,続いて外務省から,計画案(第1稿)及び市民社会からのコメントのポイントを説明しました。その後,出席者の方々との間で,活発な意見交換が行われました。
  • (2)出席者の方々から出された意見・質問は,取りまとめ以下のとおりです。これらの御意見等に対して,外務省から,政府の基本的な立場や計画案の具体的な検討状況,今後の予定等について説明しました。
    • (ア)外務省が取り組んでいる女性関連施策の現状いかん。安倍政権が進める女性政策との関連いかん。G8/G7の枠組みの下での紛争下の性的暴力の防止を含む女性関連の議論の現状いかん。
    • (イ)行動計画では,憲法の第9条や人権に関する規定に触れるべき。
    • (ウ)行動計画の策定・実施においては,各国間や国際機関との連携が重要。行動計画を策定済みの国々は先進国が多いが,途上国での計画策定を支援すべき。他国との経験共有も大切。
    • (エ)安保理決議に基づくと言っても,決議内容の全てに法的拘束力があるわけでなく,決議のなかの「決定」とされた文言にしか法的拘束力はない。行動計画の実施を「決定」するよう、国連の加盟国に働きかける余地はあるのか。
    • (オ)ジェンダー問題を取り上げたり,女性が前に出ることに対して,国内には未だ抵抗感が感じられる。この点に対処するためにも,国内での安保理決議と行動計画に関する啓発が重要。
    • (カ)啓発については,このような場に参加しない,関心のない人々への対応が課題。特に性的暴力の根絶のためには,一般的なジェンダー教育や平和教育の枠組みを更に広げ,高校生レベルからは男女を問わず,もう少し突っ込んだ教育を行い,議論を惹起する必要がある。この点,旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)が作成している性暴力のドキュメンタリー映画を上映したり,ICTY判事とビデオ・リンクで対話したりといったことも考えられる。
    • (キ)教育・啓発については,民放との協力が効果的。
    • (ク)慰安婦問題を含め,ジェンダー教育は平時でも重要であり,学校,会社でも教育が必要。
    • (ケ)宗教が紛争や女性差別の要因となっている場合もあり,その視点も行動計画に含めるべきではないか。PKO要員の派遣前研修において,派遣国の宗教や慣習についてしっかり研修すべき。
    • (コ)PKO要員による性暴力については,派遣前の研修と共に加害者の責任追及が重要。また,ゼロ・トレランス政策を含め派遣国間で意識を共有しておく必要がある。
    • (サ)行動計画を通じて,PKO要員と現地の人々との性的関係は同意があったとしても許されないといった,性的搾取・虐待に関する行動規範についての理解が徹底されるようにすることが大切。
    • (シ)日本のODA事業との関連で,現地の警察が住民を抑圧している例もあり,警察支援には注意が必要。
    • (ス)行動計画における暴力には,言葉による暴力,精神的な威圧も含められるべき。
    • (セ)「III.保護」に関するコメントには,ジェンダーに基づく暴力(GBV: gender based violence)の定義が注釈に付されているが,レズビアン,ゲイ,バイセクシュアル,トランスジェンダー(LGBT)への配慮が必要。
    • (ソ)国連から日本に対しても女性のPKO要員の派遣要請があると承知しているが,その背景いかん。
    • (タ)ジェンダー平等の実現を通じて紛争をなくすとは具体的にどういうことか。


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