日本の安全保障と国際社会の平和と安定

平成26年6月12日
 5月31日,北九州市(北九州市立男女共同参画センター・ムーブ)で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画についての意見交換会の概要は以下のとおりです。

1.出席者

 関心を有するNGO,有識者の方々など約30名に参加いただきました。

2.議論の概要

  • (1)冒頭,外務省から,女性・平和・安全保障(WPS)に関する安保理決議と「行動計画」の概要(PDF),現在検討作業を進めている行動計画案(第1稿)(PDF)及び市民社会から提出された行動計画案(第1稿)序文への修正案・コメント(PDF)「I.エンパワーメント・参画」に対するコメント(4月7日付け)(PDF)「III.保護」に関するコメント(PDF)「IV.人道・復興支援」に関するコメント(PDF)「V.モニタリング・評価・見直し」に関するコメント(PDF)を配布し,ポイントを説明しました。続いて,市民社会から,「1325 NAP策定に市民社会はどう関わるか?」(PDF)が配布され,説明がありました。その後,出席者の方々との間で,活発な意見交換が行われました。
  • (2)出席者の方々から出された意見は,取りまとめ以下のとおりです。
    • (ア)市民社会の代表が参加する形での行動計画の起草作業,作業プロセスの公開を評価。策定後のモニタリング,評価,見直しに当たっても,同様の方式が踏襲されることを要望。
    • (イ)今回の北九州市含め地方都市での意見交換会は重要。今後とも地方を含む市民社会との情報共有,意見交換に期待。特に地方での会合については,周知をより早く,広く行うべき。
    • (ウ)外務省総合外交政策局に女性参画推進室が設置され,今後の外交政策で女性の参画推進とジェンダー平等が実現されることを期待。
    • (エ)ジェンダー平等に基づく女性の人権含む人権尊重に立った平和構築,紛争予防が行動計画の目的であること,平和構築のあらゆる段階の意思決定への女性の参加,日本の安全保障へのジェンダー視点の統合が目的実現の手段であることを計画に明記することを要望。
    • (オ)日本の行動計画では,憲法の平和主義に基づくことを強調し,憲法第9条に言及すべき。
    • (カ)「積極的平和主義」の定義があいまいであり,行動計画で使用すべきではない。
    • (キ)行動計画の意義について,慰安婦などの歴史と経験の反省に立って,戦時下の性暴力といったグローバルな課題に取り組み,世界の平和構築に貢献することを目指している旨明記すべき。「III.保護・救済」の柱で,慰安婦問題の早期解決に言及すべき。この問題を解決した上で行動計画の施策を実施していかないと意味がない。また,この問題の教育が重要であり,教科書にしっかりと記述して教育していくことを具体的に記載すべき。
    • (ク)教育については,女性の視点,ジェンダー視点を含む平和教育が重要。
    • (ケ)ヘイトスピーチへの対応や在日米軍基地周辺での女性に対する暴力など国内における平和構築も中心課題に含めるべき。米軍基地における性暴力は戦時性暴力であり二度と繰り返さないことを明記すべき。
    • (コ)ドメスティック・バイオレンスや被災地での状況等については,よりそいホットライン等の国内の取組の蓄積があり,これを計画に含めるべき。
    • (サ)女性を紛争の被害からの保護対象としてではなく,国内外の平和構築の担い手とすることを前面に出すべき。
    • (シ)グッド・プラクティス(成功例)の蓄積だけでなく,失敗例も明らかにすべき。
    • (ス)東日本大震災の経験から,常日頃の地域社会でのジェンダー平等の取組が最大の防災手段であることを痛感。行動計画においても,男女共同参画社会作りと連携し,ジェンダー平等な社会の実現が最大の紛争防止であることを謳うべき。
    • (セ)行動計画を男女共同参画基本法及び基本計画,地域の条例等,国内の枠組みと連携しながら進めていくことを明記すべき。地方自治体において,各地の実情にあった1325地域行動計画が作成されるよう奨励すべし。
    • (ソ)ODA大綱の見直しにも行動計画が関連づけられるようにすべき。
    • (タ)女子差別撤廃条約等の国際的枠組みとの連携も明記すべき。地方との関係では,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)上の対応も含めるべき。
    • (チ)実施に必要な予算の確保を明記すべき。
    • (ツ)実施主体に政府関係機関のみならず,女性団体始め市民社会,地方自治体を含めるべき。
    • (テ)平和構築を推進する女性人材の育成を掲げるべき。
    • (ト)日本の経験を踏まえ,他国の行動計画策定を支援すべき。
  • (3)これらの御意見に対して,外務省から,慰安婦問題や在日米軍基地等に関する政府の基本的な立場や行動計画の案文の検討状況,今後の予定等について説明しました。


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