フランス共和国

平成27年12月1日
オランド仏大統領と握手する安倍総理大臣 (写真提供:内閣広報室)
日仏首脳会談 (写真提供:内閣広報室)

 COP21出席のためパリ訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,現地時間11月30日午後3時25分から約30分間,フランソワ・オランド・フランス共和国大統領(H.E. Mr. François Hollande, President of the French Republic)と会談したところ,概要は以下のとおりです。

1 冒頭発言

  1. 冒頭,オランド大統領より,安倍総理大臣のパリ来訪に対する謝意を表明した上で,困難な時であるが緊密に協力していきたい旨,またパリでの同時多発テロを受けて安倍総理大臣からフランス国民に頂いたメッセージに感謝する旨述べ,日本もアルジェリア事件等におけるテロの被害者である旨の発言がありました。また,オランド大統領から,気候変動対策における日本の更なる貢献策に感謝が述べられ,さらに,日本との「特別なパートナーシップ」をさらに強化するためにも,来年日本を訪問できることを楽しみにしている旨述べました。
  2. これに対し,安倍総理大臣から,先般のパリ同時多発テロにより犠牲になられた方々に対し,改めて心からの哀悼の誠を表し,卑劣なテロ行為に対して,強い衝撃と怒りを覚える旨述べ,テロ行為は,我々の共通の価値に対する挑戦であり断固非難する,この困難な時に日本はフランスと共にあるとオランド大統領に伝えました。加えて,日本としても,国際社会と手を携えてテロ対策に積極的に取り組んでいく旨述べるとともに,この困難な時にCOP21開催を実現したオランド大統領のリーダーシップに敬意を表し,協力して会議を成功に導きたい旨述べました。

2 気候変動

  1. オランド大統領から,COP21に多くの首脳が参加することが重要であり,その後は合意文書について交渉していきたい旨述べるとともに,その際には資金面での協力が極めて重要である旨述べました。さらにオランド大統領は,次期G7議長国としての日本の取組を期待している旨述べました。
  2. これに対し,安倍総理大臣から,日本は全ての国が参加する公平で実効的な枠組みの構築を最重要視しており,パリ合意では,排出削減に向けた野心向上の仕組みが必要不可欠である旨述べ,オランド大統領と共にCOP21を成功させたいと述べました。また,安倍総理大臣から,途上国の参画を促すべく,「途上国支援額を2020年までに官民あわせて年間約1兆3千億円とする」旨発表したことを紹介し,これで2020年までの年間1000億ドルの供与との既存の約束達成の道筋がつき,今般の合意妥結を後押しするものと強く期待している旨述べました。
     また,安倍総理大臣から,革新的エネルギー・環境技術の開発強化に向け,「エネルギー・環境イノベーション戦略」を来春までに策定予定である旨紹介し,日仏首脳会談に続いて開催される「ミッション・イノベーション」にも参画したい旨述べました。
  3. これに対し,オランド大統領から,日本の貢献もあって2020年までの年間1000億ドルの供与との目標も達成できる見込みであるとして,日本の貢献に対する謝意が表明されました。
  4. 両者は,新興国との関係で資金面を含む新たな合意を促していくことで一致しました。

気候変動交渉と日本の取組(PDF)別ウィンドウで開く

3 テロ対策

  1. 安倍総理大臣から,テロとの闘いにおける国際社会の団結は強化していかなければならず,オランド大統領が米国やロシア等を訪問し,国際協調の機運を維持するため,大変な努力を通じ国際社会を牽引していることに対して,敬意を表しました。
     また,安倍総理大臣から,日本は,これまで中東諸国等での国境管理や捜査訴追能力を含むテロ対処能力向上を支援している旨述べつつ,イラクでの国内避難民用シェルター建設等を始めとする約8.1億ドルのシリア・イラク難民・国内避難民支援を本年行うなど,中東地域の安定を取り戻すために必要な支援にも注力していることを紹介し,難民流出を防ぐこうした取組を通じ,テロリスト拡散防止に貢献したい旨述べました。さらに,安倍総理大臣は,中長期的には,過激主義を生み出しにくい社会を構築していくことが必要であり,今後も,人材育成,若者の失業対策,格差是正のための支援を継続していく旨,また,日本は来年G7議長国であるところ,テロ対策につき関係国と連携して取り組む考えを伝えるとともに,ウィーン・プロセスの進展に期待を表明しました。
  2. これに対し,オランド大統領は,ダーイシュ(ISIL)との闘いと同時にテロの根源への対策も重要である旨,また,マネーロンダリング等のテロ資金対策の面でもG7で協力していきたい旨述べた上で,難民問題に関する日本の支援・イニシアティブに対する謝意が表明され,難民がその出身国の近隣国に留まることが重要であり,フランスも支援していきたい旨の発言がありました。
  3. なお,この関連では,プーチン・ロシア大統領とエルドアン・トルコ大統領の会談が実現することを期待する旨,双方から発言がありました。

4 G7伊勢志摩サミット

 安倍総理大臣から,来年のG7伊勢志摩サミットにオランド大統領をお迎えすることは楽しみであると述べたのに対し,オランド大統領より謝意が伝えられました。


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