スペイン王国
日本・スペイン・シンポジウム中間オンラインイベント(概要)
3月4日、「ポストコロナ時代の日西対話―経済及び社会における方向性と可能性」をテーマに日本・スペイン・シンポジウムの中間的会合としてオンラインイベントが開催されました。概要は以下のとおりです。
1 概要
(1)開会の挨拶
冒頭、日本側の佐藤義雄住友生命保険相互会社会長(日本側座長)、スペイン側のジョセップ・ピケ西日財団理事長(元外務大臣、スペイン側座長)から開会の挨拶を行いました。
(2)セッション1「現在の地政学上における日本とスペイン:どのような協力が可能か」
本セッションでは、ジョセップ・ピケ西日財団理事長がモデレーターを務め、平松賢司駐スペイン大使とホルヘ・トレド駐日スペイン大使との間で地政学的観点から日西関係について意見交換が行われました。
平松賢司駐スペイン大使から、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の重要性を強調し、日西両国の戦略的関係の更なる発展への期待が示されました。また、ホルヘ・トレド駐日本スペイン大使から、共通の価値を守るための日本のイニシアティブに対するスペイン及びEUの高い関心が示されました。
(3)セッション2「労働環境のデジタル化:「ウィメノミクス」への新たな機会となるか」
本セッションでは、西日財団課長エバ・ガリード氏がモデレーターを務め、スペイン富士通社長であるアンヘレス・デルガド氏とバルセロナ大学哲学科教授で東アジア哲学を専門とするモントセラット・クレスピン氏との間でデジタル化と日本における女性の活躍をテーマに意見交換が行われました。コロナを契機としてデジタル化が進み、労働環境が変化したこと、また、新たな機会を生かした女性の活躍を推進することの重要性が指摘されました。
(4)セッション3「宇宙:経済協力のための新たなセクターとなるか」
本セッションでは、スペイン産業技術開発センター宇宙・大規模施設・デュアルプログラムディレクターのフアン・カルロス・コルテス氏がモデレーターを務め、JAXA有人宇宙技術部門きぼう利用センター技術領域主幹の土井忍氏とSatlantis社CEOフアン・トマス・エルナー二氏との間で、宇宙分野における日西協力関係について意見交換が行われました。両者から、Satlantis社を含む「きぼう」の民間利用の紹介の他、宇宙分野での国際協力や官民連携の重要性が示されました。
(5)セッション4「日EU・EPA:影響及び今後の見通し」
本セッションでは、西日財団事務局長のホセ・レアンドロ・コンサルナウ氏がモデレーターを務め、佐藤義雄住友生命保険相互会社会長(日本側座長)とスペイン商工会議所総局長のインマクラダ・リエラ氏との間で自由貿易を基礎とする日EU経済関係について意見交換が行われました。日EU・EPAを通じ、コロナ禍にも関わらず日西貿易関係が維持されたこと、日EUが協同して自由貿易を掲げることの重要性が強調されました。
(6)セッション5「日西企業間連携の可能性:グリーンエネルギー」
本セッションでは、スペイン外務・EU協力省経済外交局長のルイス・オスカル・モレノ氏がモデレーターを務め、スペイン三菱商事ゼネラル・マネージャーのフランシスコ・ロペス氏とAcciona社エネルギーアジア太平洋地域事業開発ディレクターのルイス・エスカルティン氏との間でグリーンエネルギー分野での日西協力について意見交換が行われました。両者から、本分野における両国の補完的な関係が強調され、特に水素エネルギー分野における今後の協力可能性等について発言がありました。
(7)閉会の挨拶
佐藤義雄住友生命保険相互会社会長(日本側座長)及び、ジョセップ・ピケ西日財団理事長(元外務大臣、スペイン側座長)から、閉会の挨拶として、本オンライン会合が成功裏に終わったことへの賛辞が述べられ、両者は次回の第22回日本・スペイン・シンポジウム開催に向けて引き続き協力していくことで一致しました。
2 意義と成果
今回の会合は、ポストコロナを見据えた両国の発展のために重要なタイミングで行われました。短い時間でしたが、テンポ良く活発な議論を通じて、幅広いテーマについて両国における協力関係や価値の共有などを改めて確認することができました。これを契機として今後の協力関係が様々なレベルで発展していくことが期待されます。