スペイン王国
第18回日本・スペイン・シンポジウム
1 シンポジウムの概要
(1)開会式
開会式では、田辺信宏静岡市長、城内実衆議院議員、ジョゼップ・ピケ・スペイン側座長(西日財団理事長)(Mr. Josep PIQUÉ i Camps, President of the Spain Japan Council Foundation)、横山進一日本側座長(住友生命保険相互会社名誉顧問)、イグナシオ・イバニェス・スペイン外務・協力省外交長官(Mr. Ignacio YBÁÑEZ Rubio, Secretary of State for Foreign Affairs of Spain)及び山田美樹外務大臣政務官が、それぞれ冒頭挨拶を行いました。また、望月義夫衆議院議員及び上川陽子衆議院議員が出席しました。
山田政務官は、両国関係におけるシンポジウムが有する重要な役割に言及した上で、我が国政府が推進する「地方創生」という時宜を得たテーマの下、日スペイン共通の課題及び関心分野である「観光」と「高齢化社会」について議論することは有意義であり、議論の結果を今後の両国関係に生かしていきたい旨述べました。
(2)第一セッション「観光デスティネーションの構築:日西間の対話」
冒頭、浜田恵造香川県知事、真砂充敏田辺市長及び松浦正人防府市長がスピーチを行いました。
浜田知事は、四国四県が「四国遍路」の世界文化遺産登録を目指していること、昨年からガリシア州との間で「四国遍路」と「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」との協力協定を締結し、協力関係にあることを紹介し、「四国遍路」の世界文化遺産登録に向けた応援を求めました。
真砂市長は、2014年に田辺市とサンチャゴ・デ・コンポステーラ市との間で「観光交流協定」を締結したこと、具体的取組として熊野古道とサンチャゴ巡礼道の両方を歩いてもらうために「共通巡礼手帳」を作成し、「共通巡礼達成書」を発行していることを紹介しました。
松浦防府市長は、日本とスペインは観光をはじめ、実業の面でも関係を構築していく関係となることを期待すること、また観光面について本日学んだ上で将来訪問して実際の発展の様子を見せてもらいたい旨述べました。
松山良一日本政府観光局理事長をモデレーターとして行われたパネルディスカッションでは、日本とスペイン両国が観光政策を重視していることを踏まえ、年間の外国人客6500万人を誇るスペインのデスティネーションとしての優位性や、日本のインバウンド、アウトバウンド両方の促進の取組について議論が行われた。本年10月のイベリア航空成田・マドリード間直行便の就航への期待や、日本政府観光局(JNTO)マドリード事務所の開設について言及がありました。
(3)第二セッション「高齢化社会に向けたイノベーションによる地方創生」
冒頭、カルメン・ベラ・スペイン科学技術・イノベーション長官(Ms. Carmen VELA Olmo, Secretary of State for Research, Development and Innovation of Spain)がスピーチを行いました。
ベラ長官は、人口ピラミッドがもはやピラミッドではなくなっているのは両国の共通点であるが、高齢化はチャンスにもなり得ること、健康長寿を追求するための医療をはじめとするサービスのネットワーク化の必要性、ロボティクス等の技術的イノベーションにおける協力の重要性などを述べました。
引き続き、伊藤元重学習院大学国際社会科学部教授をモデレーターとして、第1部「高齢化社会を巡る課題と公共政策」及び第2部「高齢化社会に対応する技術・サービス等」の二つのパネルディスカッションが行われ、両国の高齢化とそれに伴う問題点、必要な対応策等、さらに医療サービスのあり方や技術・IOCの活用等の面から意見交換が行われ、両国間の協力の可能性も含め認識を深めました。
(4)最終報告書の採択
これらの議論を受けて、最後に、両国の座長名で、両国の政府や経済界に具体的な行動を提案する「最終報告書」が採択されました。
2 意義と成果
- (1)今回のシンポジウムは、主催地である静岡市による全面的支援を得て、日スペインから多くの参加者を得て開催されました。2013年から14年にかけ実施された「日本スペイン交流400周年」により高まった両国交流の気運が維持されていることを示すものとなりました。
- (2)本シンポジウムは、第13回以来民間から両国の座長を迎え、テーマや参加者に一層の多様性や厚みが増しています。今回も、このシンポジムが、両国関係促進の牽引役であることを示す結果となりました。
- (3)両国共通の課題である「高齢化問題」や重要政策である「観光」に焦点を当てることにより、専門家の参加を得て、具体的かつ活発な議論が行われました。これら分野での両国の関係強化・構築につながることが期待されます。