岸田外務大臣

平成26年1月10日
 岸田大臣は,1月7日(火曜日)及び8日(水曜日),日本スペイン交流400周年の機会を捉え,本年最初の外国訪問先として,スペインを公式訪問し,ガルシア=マルガージョ外務大臣との間で日・スペイン外相会談及びワーキング・ディナーを行うとともに,フアン・カルロスI世国王陛下謁見,ラホイ首相表敬を行ったところ,概要は以下のとおりです。

1. 日・スペイン外相会談及びワーキング・ディナー(1月7日20時30分から約2時間)

(1) 会談の冒頭,岸田大臣から,今回のスペイン訪問の主旨として以下を述べました。
ア 日本スペイン交流400周年にあわせ,特に本年最初の外国訪問先としてスペインを選んだ。
イ 昨年の皇太子殿下のスペイン御訪問,ラホイ首相の訪日を始め,両国間の要人往来がきわめて活発である中,この機運を維持したい。
ウ 昨年10月に首脳間の共同声明が発表され,今後5年間の両国関係の指針となっており,着実な実施に向けて取り組んでいきたい。今回の訪問も同声明の協力事項の一つの実現である。
エ 日本はスペインとの協力により,去年のイベロアメリカ・サミットにオブザーバー参加したが,スペインと中南米に関する協力を更に深化させたい。

(2)政治・安全保障 
岸田大臣から,安倍政権の積極的平和主義,昨年12月に発足した国家安全保障会議,国家安全保障戦略,新たな防衛大綱等について説明し,こういった日本の安全保障政策を進める上で,欧州,なかんずくスペインとの協力が重要である旨述べました。これに対して,ガルシア=マルガージョ大臣からは理解が示されました。

(3)中南米に関する協力
岸田大臣から,中南米の新興市場は急速に発展しており,その経済の成長力を,日・スペイン双方の成長に取り込むことが重要である旨述べたところ,ガルシア=マルガージョ大臣からも,中南米の在外公館,さらに,アジア,中東においても日本とスペイン両国間の対話が着実に実施されつつあることは非常に喜ばしい旨の発言がありました。

(4)経済(二国間及びEU) 
ガルシア=マルガージョ外務大臣から,最近のスペイン経済の改革努力について説明があり,これに対し,岸田大臣からは,ラホイ政権が各種改革を力強く進めた結果,スペイン経済が改善しつつあることを歓迎する旨述べました。
また,日EU・EPAについても,岸田大臣から,11月の日EU定期首脳協議で包括的かつ高いレベルのEPAを目指すことで一致しており,その実現に向けた高いコミットメントを確認したい旨述べました。これに対し,ガルシア=マルガージョ大臣からは,EPA,SPA双方について共に交渉が進むことを望んでいる,日EU定期首脳協議でまとめられたように,野心的な協定としたい旨の発言がありました。

(5)東アジア情勢
ア 東アジア情勢について,岸田外務大臣から,日中関係,北朝鮮,安倍総理の靖国神社参拝について説明を行いました。
イ 北朝鮮については,岸田大臣より,核保有を断じて認めない,一連の安保理決議を誠実かつ完全に実施すべきと述べた上で,拉致問題についても,日本の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であるとして,スペインの理解と協力を求めたのに対して,ガルシア・マルガージョ大臣からは,この北朝鮮の問題に対しては日本の立場を支持しており,日本と同様に考えている旨の発言がありました。

(6) 安保理を巡る協力
安保理改革についても,岸田大臣から,これまで進めている努力を説明し,今後も引き続き取り組んでいきたいと述べつつ,スペインの協力と支持を求めたい旨述べたのに対し,ガルシア・マルガージョ外相から,安保理改革に向けた取り組みについて支持している旨の発言がありまた。

2.ラホイ首相への表敬(1月8日午前9時から約40分)

(1)冒頭,岸田外務大臣から,日本スペイン交流400周年に合わせ本年最初の外国訪問としてスペイン訪問が実現し嬉しい,交流年を通じて,昨年の皇太子殿下のスペイン御訪問,ラホイ首相の訪日など,大変活発に要人往来が進んでおり喜ばしい旨述べました。また,昨日の外相会談において,ラホイ首相訪日時の両国首脳による共同声明のフォローアップが確認でき,有意義であった旨述べました。

(2)これに対しラホイ首相から,岸田大臣のスペイン訪問を歓迎する,本年最初の訪問国としてスペインを訪問していただき光栄である,昨年の訪日は大変有意義印象深かった,皇太子殿下のスペイン御訪問も大成功で感謝しているなど述べました。

(3)岸田大臣から,今回の訪問は,日本が国家安全保障会議を設置し,国家安全保障戦略を策定した後,初の外国訪問である旨述べた上で,日本が国際協調主義に基づく積極的平和主義を進めていくためにも,スペインとの協力が重要である旨述べました。

(4)また,岸田大臣から,スペイン経済が回復しつつあることは世界経済にとって有益であり,ラホイ首相のリーダーシップに敬意を表する,日スペイン両国の成長をより確実なものにするためにも,先に両国の首脳が合意した再生可能エネルギー等の分野や中南米に関する協力を更に深化させたい旨述べました。

(5)ラホイ首相は,中南米諸国を始めとして両国の大使館を通じて意見交換を行っていることは喜ばしいと述べた上で,両国が協力していくことは有意義である旨述べました。また,ラホイ首相から,これまでのスペインの経済回復に向けた取組について説明がありました。

(6) また,ラホイ首相と岸田大臣は,日EU・EPA交渉の早期妥結に向け
て協力していくことで一致し,北朝鮮の問題についても,立場が同じであることを確認しました。最後にラホイ首相から,安倍総理を是非スペインに御招待したいとして,総理のスペイン訪問への期待が寄せられました。

3. フアン・カルロスI世国王陛下への謁見(1月8日13時30分から約30分)

(謁見には,フェリペ皇太子殿下も御同席されました。)
(1)冒頭,カルロスI世国王陛下から,日本スペイン交流400周年の記念すべき年に岸田外務大臣がスペインを訪問されたことを歓迎する,これを機に両国関係が益々発展することを祈念するとのお言葉がありました。

(2)フェリペ皇太子殿下からは,昨年の皇太子殿下のスペイン御訪問は,スペイン国民にインパクトを与える素晴らしい御訪問だった。自分も本年の日本訪問を楽しみにしていると述べられました。

(3)岸田外務大臣から,日本スペイン交流400周年に合わせ,本年最初の外国訪問としてスペインを訪問した旨発言しました。また,昨年皇太子殿下がスペインを御訪問され,国王陛下,フェリペ皇太子殿下から心をこもったおもてなしを受けられたことに感謝するとともに,皇室・王室間の長く親密な交流は両国関係にとっての財産であると述べました。また,昨年のラホイ首相の訪日の際,両国政府は,両国の未来を担う若者間の交流の促進,学術,観光,スポーツの分野で交流を促進することで合意したことを踏まえ,特に再生可能エネルギー,医療,インフラ等,両国の得意分野の協力を進めたいと述べました。

4.その他行事の概要

また,岸田大臣は,スペインの最有力紙である「エル・パイス」紙よるインタビューやスペイン国営放送(TVE)によるインタビューを受けた他,日本スペイン交流400周年事業として開催中の「ジャポニズム展」の視察を行いました。

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