ロシア連邦
日露首脳会談



9月10日,安倍総理大臣は,プーチン大統領との間で,通算22回目となる日露首脳会談を約2時間半強にわたり実施しました(少人数会合を約80分,テタテを約15分,拡大会合兼夕食会を約60分程度。)。
1 平和条約締結問題
(1)北方四島における共同経済活動
両首脳は,北方四島における共同経済活動について,5件のプロジェクト候補の実施に向けた「ロードマップ」を承認しました。その主要な柱は次のとおりです。
ア 海産物の共同増養殖:ウニを含め複数の魚種を対象とし,ウニ以外の魚種についても議論を継続。
イ 温室野菜栽培:いちごの品種及び実施場所を特定。
ウ 島の特性に応じたツアーの開発:パッケージツアーを策定。
エ 風力発電の導入:風況調査の場所を確定。
オ ゴミの減容対策:ゴミ減容のパイロット・プロジェクトの実施場所を確定。
「ビジネス・ミッション」を10月初めに実施することで一致しました。また,「ミッション」の機会も活用して,プロジェクトの実施に向けた作業を速やかに進めることで一致しました。
プロジェクトの円滑な実施に資する人の移動の枠組みについても,早期の合意に向けて更なる作業を指示することで一致しました。
長門での合意に基づき,双方の法的立場を害さない形でのプロジェクトの実施に向けて,鋭意取り組んでいきます。
(2)元島民のための人道的措置
- 昨年に引き続き本年7月に実施された2回目の航空機墓参や,多楽島訪問の際の臨時の追加的な出入域地点の設置を評価しました。
- 安倍総理から,こうした協力を積み重ねていくこととともに更なる改善を働きかけ,プーチン大統領と,手続の簡素化を続けることで一致しました。
2 北朝鮮問題
安倍総理から,日露共通の目標である朝鮮半島の非核化に向けて,国際社会による安保理決議の完全な履行が不可欠であることを強調しました。その上で,両首脳は,今後も緊密に連携していくことを確認しました。
また,安倍総理から,拉致の問題解決に向けてロシアの協力を呼びかけ,理解を得ました。
3 幅広い分野での二国間協力
(1)政治対話
両首脳は,今後の様々な国際会議の機会に会談を重ね,来年6月のG20大阪サミットの機会に総理とプーチン大統領出席の下で「日露交流年」閉会式を実施し,併せて日露首脳会談を行うことで一致しました。
(2)防衛交流・安全保障
3回目となる「2+2」の開催や防衛当局間の交流進展を歓迎しました。河野統合幕僚長の10月の訪露,麻薬犬訓練プロジェクトの実現に向けた日露共同での研修が本年10月にロストフ・ナ・ドヌーで実施されることを発表しました。
(3)経済
両首脳は,ハバロフスク空港改修や北極LNG2及びカムチャツカLNG積替え基地等の極東地域での案件を含め,「協力プラン」の下で協力が進展していることに加えて,租税条約が10月に発効することを歓迎しました。両首脳は,「協力プラン」の具体化を更に進め互恵的な日露経済関係を発展させていくことで一致しました。また,両首脳は,会談に先立ち「マツダ・ソラーズ」のエンジン組立工場を視察しました。
(参考)5月の首脳会談以降,民間文書約40件が署名され,協力プロジェクトは150件以上に上る。
(4)文化・交流等
両首脳は,「日露交流年」の幅広い行事を通じて相互理解が促進されており,日露知事会議の再開等,人的交流の新たな動きが生まれていることを歓迎しました。安倍総理から,ロシア人団体観光客を対象とした新たな査証緩和を10月から行うことについて言及しました。