欧州

平成27年1月21日
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 1月19日-20日に,ジャーマン・マーシャル・ファンド(GMF)主催で開催された国際シンポジウム「ブリュッセルにおける日米欧フォーラム(非公開)」の機会を捉え,1月20日9時30分から1時間(現地時間),ブリュッセルを訪問中の岸田文雄外務大臣が基調講演を行ったところ,概要は以下のとおりです。基調講演には,EU・NATO・米国政府関係者,米欧の著名な有識者,メディア等を含め,計130名が参加しました。

1 岸田外務大臣による基調講演

 岸田大臣は,「日欧関係の新たな幕開けとしての2015年」のテーマのもと,以下のポイントを中心に,基調講演を行いました。

【講演の主なポイント】

  • 戦後70年,欧州と共に,価値やそれを実現する体制を支持・強化し,世界の平和と繁栄ために行動してきたことを,具体的事例とともに説明しました。
  • その過程で培われた「信頼」と実績を踏まえ,安倍政権下で,「地球儀を俯瞰する外交」の強力なパートナーとして,日欧関係が大きく進展したことを強調しました。
  • 「戦後70年」,「2015年」をキーワードに,日欧関係強化の3本柱として,(1)平和と安定,(2)グローバルな課題,(3)地域・世界経済を推進したい旨表明しました。
  • 特に,上記(1)の平和と安定について述べる中で,国際テロ対策に関し,アフリカ・中東のテロ対処能力向上への750万ドルの新規支援を含む日本の今後の取組や、日欧間の連携強化について言及するとともに,ウクライナ情勢について,東部復興のための約1660万ドルの新規支援,ウクライナ経済安定化に向けた少なくとも3億ドルの支援を発表しました。

2 EUおよびNATOからのコメント,および参加者との質疑応答

 続いて,岸田大臣の基調講演を受けて,NATO及びEUからコメントがなされるとともに,岸田大臣と参加者との間で質疑応答が行われました。

  • バーシュボウNATO事務次長からは,(1)自衛隊による国際協力活動やアフガンへの貢献を含め,過去数十年にわたって,日本が世界の平和と安定へのエクスポーター(輸出者)たり続けたことを評価,(2)安倍政権の「積極的平和主義」も,テロから感染症に至るまで安全保障上の相互依存が進む世界のニーズに応え,世界の平和と安定に資するものであり評価,(3)ウクライナ情勢や東アジア情勢について日米欧は連帯して対応しているが,大臣が提示した3つの柱は,より包括的なアプローチによる協力の推進を可能にする,(4)相互運用性の向上や政治対話の推進により,価値と利益を共有し,責任を相互に補完する日本とNATOが,地域・世界の主要課題に対して,より一層貢献していくべき旨のコメントがありました。
  • アストゥート欧州対外活動庁アジア・太平洋総局長代行からは,(1)双方の地域そして世界は,平和と安定に関する大いなる課題に直面しており,EUは,日本が地域・世界の平和と安定のためにより大きな責任を果たそうとしていることを歓迎するとともに,(2)現下の日EU安全保障協力の強化に加え,EUの危機管理ミッションへの日本の参加を期待する,また,(3)ハイレベルかつ包括的な日EU・EPAの実現により,日EUが共に,国際貿易の規範形成にリーダーシップを発揮し続けられる,また,戦略的パートナーシップ協定(SPA)の妥結により,日EUが共に貢献するとの強い政治的シグナルを送ることができる旨のコメントがありました。
  • 最後に,岸田大臣と参加者との間で,(1)日本のウクライナ情勢に対する対応と北方領土問題との関係,(2)本年,日韓国交正常化50周年を迎える日韓関係について,あり得るべき欧米の支援,(3)戦後70年における日本の今後の対応やそれに関する日独協力の可能性について質疑応答が行われました。


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