アジア欧州会合(ASEM)

平成26年10月17日

 10月17日(金曜日)10時00分(現地時間)から約2時間,安倍晋三内閣総理大臣は,ミラノにて開催されたASEM10のリトリート・セッションに出席しました。本セッションでは,国際・地域情勢について,議長を含む計30カ国の参加国首脳等より,エボラ出血熱対策,ISILを含む中東情勢,ウクライナ情勢,朝鮮半島情勢,海洋安全保障等,幅広い分野について発言がなされたところ,概要以下のとおりです。

エボラ出血熱対策

 エボラ出血熱対策について,主にヨーロッパの首脳から,現時点では感染者数は西アフリカに集中しているが,アフリカ以外にも影響を及ぼす重大な課題であること,国際社会はワクチン開発を含めあらゆる取組を行うべきこと等について発言しました。安倍総理は,本分野については,セッション2で日本の最新の貢献について紹介しました。

中東情勢

 中東情勢について,参加各国首脳から,ISILはイスラムを標榜しているが,イスラムとはまったく関係のない残虐なテロリストであること,テロとの戦いにおいては,その原因の一つである貧困撲滅にも取り組むべきこと等について発言がありました。安倍総理からは,ISILが国際秩序全体に対する重大な脅威である旨指摘し,日本は国際社会のテロとの闘いを支持しており,人道支援をはじめ,軍事的ではない形で,可能な限りの支援を行っていくことを表明しました。

ウクライナ情勢

 ウクライナ情勢について,多くの参加国首脳から,ウクライナの主権と領土一体性の重要性や対話による問題解決の重要性に関して発言がありました。安倍総理からは,力による現状変更は容認できず,ウクライナの主権と領土一体性を尊重する形で平和と安定が達成されるよう日本としても貢献していく旨述べるとともに,日本のウクライナ支援について説明しました。

北朝鮮

 北朝鮮について,参加国首脳から,朝鮮半島の平和と安定に努力しているところ,ASEM各国の支持・協力を得たいとの発言がありました。安倍総理からは,北朝鮮の核・ミサイル開発は引き続きアジア地域のみならず国際社会全体の平和と安定に対する重大な脅威である旨述べるとともに,拉致問題は,基本的人権の侵害という普遍的な課題である旨述べました。

海洋安全保障

 海洋安全保障について,参加各国首脳から,海洋の安全を望むこと,航行や上空飛行自由をはじめ「法の支配」が重要であること,海賊対策も推進するべきことについて発言がありました。安倍総理からは,「法の支配」に基づく国際海洋法秩序の重要性を指摘し,海を世界の公共財として保ち続けることは,全ての国に共通する利益であることを強調しました。

日本の外交・安全保障

 安倍総理から,日本は,戦後70年近くにわたる平和国家としての揺るぎない歩みの上に立ち,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から,アジア,欧州の諸国とも連携し,国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献していくとの日本の立場を改めて表明しました。


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