ウズベキスタン共和国

平成27年10月26日
歓迎式典 (写真提供:内閣広報室)
カリモフ大統領と握手する安倍総理大臣 (写真提供:内閣広報室)
独立・人道主義記念碑に献花する安倍総理大臣 (写真提供:内閣広報室)
安倍総理大臣は,ウスベキスタンを訪問したところ,概要は以下のとおりです。

1 主な行事

10月25日(日曜日)
カリモフ大統領との首脳会談
民間ミッションとの会合
民間ミッションとの昼食会
ビジネス・フォーラム
独立・人道主義記念碑献花
日本人墓地参拝
ナボイ劇場視察・記念コンサート鑑賞
カリモフ大統領主催晩餐会

2 主要行事の概要

(1)カリモフ大統領との首脳会談 (会談後,日・ウズベキスタン共同声明を発出)

日・ウズベキスタン首脳会談
(写真提供:内閣広報室)
 ウズベキスタンを訪問中の安倍総理は、現地時間10時00分から11時50分まで1時間50分、当初の予定を大幅に超過して,カリモフ大統領との間で日ウズベキスタン首脳会談を行いました。

ア 二国間関係

(ア)総論

 最初にカリモフ大統領から、日本からの経済支援に対する感謝を述べ,日本の協力が実感できる分野がたくさんあること,特にアフガンへの鉄道の支援などは日本がきちんと約束を果たし,困難なことをやってくれる国だということを国民に印象づけたこと等述べました。続いて,安倍総理が日本人がタシケントで抑留されていた場所を視察されるが,ウズベキスタン人が日本人に敬意をもって接してきたかが分かってもらえるということ,町の中心部のナヴォイ劇場は,1940年代に日本人によって建てられたが,同劇場のプレートには日本人捕虜により建設されたと書かれていたのを日本国民によってと書き換えたところといった,日本に対する思いが語られました。
 安倍総理から,日本の貢献に言及して頂いたことへの感謝,そして抑留者が建設した劇場などの貢献への評価と敬意を示して頂いたことに対する感謝,日本の総理として9年ぶりにウズベキスタンを訪問でき喜ばしいこと,今回同行している民間ミッションとともに両国の協力関係を一層高い次元に引き上げたいという話を行いました。続いて2011年の大統領訪日以降両国関係が順調に発展し大変喜ばしいこと,外交査証の相互免除の決定について言及しました。

(イ)経済

 安倍総理は,ウズベキスタンの経済構造改革への支持,官民で連携して協力していきたい旨表明し,各種経済プロジェクトに言及し,さらなる日本企業の進出のためビジネス環境の整備を要請しました。
 カリモフ大統領より,本日のビジネスフォーラムに是非参加したい,その場で直接日本企業に対して歓迎の言葉を述べたいとの話がありました。

(ウ)人材育成等

 安倍総理から,人材育成に関して日本政府として今後高等専門学校を始め日本型工学教育を活用し高度産業人材育成への協力を進める考えであること,準備のためウズベキスタン関係者の日本への招聘に言及しました。また大統領が熱意を持っている「技術革新センター」に協力の用意がある旨述べ,さらに医療センターの機材整備案件に言及し,医療水準の向上への貢献を表明しました。
 カリモフ大統領より,特に若者の人材育成支援への期待,留学生はまだ少ないため,是非増やして欲しい,日本に留学を経験した者は政府や経済界の重要な地位を占めているという話がありました。これに対し,安倍総理から日本への留学生が活躍していることは喜ばしいと述べ,留学生を増やす努力を表明しました。

イ 地域的課題における連携

 安倍総理は,運輸・物流は地域における発展の最重要課題であると述べました。
 両首脳は「中央アジア+日本」の枠組みが地域の安定に非常に重要であるとの認識で一致し,カリモフ大統領は,中央アジアとの関係強化の上で日本は透明で効率的な動きをしていると評価しました。

ウ 地域情勢

(ア)安倍総理から,アフガニスタンの安定は中央アジア地域全体の安定に直結する,日本は国際社会と共にアフガニスタンの安定と発展に向けた取組を引き続き支えていく考えであると述べました。カリモフ大統領から,アフガニスタンについて日本の支援は具体的で実質的,アフガニスタン東京会合も非常に充実した内容であったと言及しました。

(イ)北朝鮮に関し、安倍総理から、北朝鮮は安保理決議に明白に違反して核・ミサイル開発を継続している、国際社会が連携して、北朝鮮に対し、挑発行動の自制、安保理決議の遵守を強く求めるべき、拉致問題は日本にとり最重要課題であり、早期解決に向け理解と協力を期待したい旨述べました。

(ウ)その他,ISIL,イラク情勢,シリア情勢につき意見交換し,安倍総理から日中関係,日露関係につき説明しました。

エ グローバルな舞台での協力

署名式後,握手する両首脳
(写真提供:内閣広報室)
共同記者発表
(写真提供:内閣広報室)
(ア)総論

 安倍総理から、日本は「積極的平和主義」の立場から、今般成立した「平和安全法制」も踏まえ、国際社会の平和と安定に一層貢献する考えである旨説明し、支持を要請しました。

(イ)国連

 安倍総理から、今次国連総会会期中に安保理改革の具体的成果を得られるよう政府間交渉で文書に基づく交渉を早期に開始することが重要であるとしつつ、ウズベキスタンの支援・参加を要請しました。

(ウ)「世界津波の日」

 安倍総理から、ウズベキスタンが、11月5日を「世界津波の日」とする国連総会決議の共同提案国となることを要請しました。

(2)ビジネスフォーラム

民間ミッションとの会合
(写真提供:内閣広報室)
  • ア ウズベキスタンを訪問中の安倍総理は,現時時間15時00分から約35分間,日本貿易振興機構(JETRO),日本ウズベキスタン経済委員会(事務局:ロシアNIS貿易会(ROTOBO)が主催する日ウズベキスタン・ビジネスフォーラムに出席しました。
  • イ 挨拶において,安倍総理は,日本の総理大臣として9年ぶりにウズベキスタンを訪問したとしつつ、ウズベキスタンの経済構造改革に対する日本の協力について述べました。また、このビジネスフォーラムを機に、両国の協力の裾野が広がっていくことを期待すると述べ、日本人抑留者の経緯に触れつつ、暖かな気持ちを大切にし、人々の交流の強化を含め両国の関係の地平を広げていきたいと述べました。
  • ウ 本フォーラムには,カリモフ大統領の他,両国の官民経済関係者が参加し,日ウズベキスタン経済関係強化に関する活発な意見交換が行われました。

(3)日本人墓地参拝

日本人墓地で献花する安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)
  • ア 現地時間16時06分から10分間,安倍総理夫妻は日本人墓地に参拝しました。
  • イ 安倍総理夫妻は,旧ソ連時代から日本人抑留者の歴史に関心を寄せていたジャリル・スルタノフ氏(抑留者資料館館長、平成27年度外務大臣表彰受賞)及び墓地管理人の挨拶を受けました。この際安倍総理から,スルタノフ氏の日本への招待を伝えました。
  • ウ 旧ソ連時代ウズベキスタンには第二次世界大戦後の1945年から1946年にかけて極東・シベリアから約2万5千人の日本人抑留者が強制移送されました。そのうちウズベキスタンで死亡した812名が国内13ヶ所に埋葬されています。タシケント市内には,公営のヤッカサライ墓地の一角に日本人墓地が整備され,79名が埋葬されています。

(4)ナボイ劇場視察・記念コンサート鑑賞

ナボイ劇場を視察する安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)
  • ア 現地時間17時01分から40分間、安倍総理夫妻はナボイ劇場を視察し、記念コンサートを鑑賞しました。 劇場では、ムラトフ館長の出迎えを受け、その案内の下、劇場の建設に日本人が携わった旨記されたプレートを視察し、また劇場についての説明を受けました。
  • イ ナボイ劇場は1947年に完成した1500名収容の劇場ですが,第二次大戦後、タシケントに抑留された日本人が建設に従事され、1966年のタシケント大地震の際には、周りの建物が全て倒壊した中、同劇場は倒壊しなかったとして日本人の仕事の確かさが讃えられています。
  • ウ 2012年から改修工事が行われたナボイ劇場の今回の再開記念コンサートでは、日本の「ふるさと」を含む曲が披露され、日本とウズベキスタンの新たな絆の始まりとも言える機会となりました。

(5)カリモフ大統領主催晩餐会

 現地時間19時22分から約1時間45分,安倍総理夫妻はカリモフ大統領主催晩餐会に出席しました。
 安倍総理は,ウズベキスタンの歓迎とおもてなしに改めて謝意を表した上で,今回の訪問により二国間関係が飛躍的に発展するとの意気込みを述べ、また抑留者の歴史等に言及しつつ、本日の首脳会談の成果を踏まえ、両国の友好協力関係をさらに発展させると述べました。両国にゆかりのある人々の臨席の下,終始和やかな雰囲気で晩餐会が行われました。

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