カザフスタン共和国
安倍総理大臣のカザフスタン訪問


1 主な行事
ナザルバエフ大統領との首脳会談
ナザルバエフ大統領主催午餐会
マシモフ首相との会談
ビジネスフォーラム
政策スピーチ
民間ミッションとの夕食会
2 主要行事の概要
(1)ナザルバエフ大統領との会談(会談後、日・カザフスタン共同声明を発出)

(写真提供:内閣広報室)
ア 二国間関係
(ア)総論
最初にナザルバエフ大統領から、今回の訪問に感謝する、両国には核兵器廃絶という共通の課題がある、カザフスタンは国連で軍縮不拡散につきイニシアティブを取ってきたが、日本の活動も支援し協力しているとの発言がありました。続いて、日本人とカザフ人はよく似ている、ルーツが同じという説もあり、首都のアスタナは黒川紀章氏のマスタープランで作成されたこと、ナザルバエフ大学学長は勝茂夫氏であることに言及があり、この時期の安倍総理の中央アジア歴訪は重要であること、「中央アジア+日本」対話は重要であること、今回の訪問が両国関係に弾みを与えるとの発言がありました。
安倍総理から、日本の総理として9年ぶりの訪問、マルチの場を含めて、4回目の首脳会談となり、首脳同士の緊密な関係の下、二国間関係が発展していることは喜ばしいと述べた。続いて、日本人が活躍していることは嬉しい、今回民間ミッションが同行しており、具体的成果が生まれることを期待している、軍縮不拡散に向け両国が共に歩んでいくことは非常に嬉しい、今回の訪問を通じて両国関係をさらに強化したいと述べました。さらに外交査証の相互免除の決定、今後防衛交流の覚書に早期に署名し、安保対話を促進していきたい旨述べました。
(イ)経済
ナザルバエフ大統領から、7億ドル規模の共同プロジェクトが進む予定であり、トヨタが進出したことは重要、他の企業も進出してくれることを期待する、カザフスタンは資源が豊富であるが、資源のみに依存しない経済を作ることも重要であり、日本と技術面で協力したいと述べました。また農地に使える国土が多く農産物の加工や生産性向上が課題、さらに国土が広いことから道路・鉄道案件が重要であり日本企業に期待したい、本日のビジネスフォーラムで両国のビジネスマンが共通の案件を見つけてくれることを期待したいと発言しました。続いて2017年にアスタナで万博が実施され、テーマは未来のエネルギー、日本が最新の技術「水素社会への技術」を展示することを期待する旨述べました。
安倍総理から、日本国民への査証免除を感謝し、民間ミッションなどの機会を活かして投資が増えるよう協力していきたいと発言しました。
(全体会合では、日本企業代表者の紹介が行われました。)
(ウ)原子力
安倍総理から、この分野で人材育成等に協力してきた、今後もカザフスタンに対して日本の原子力技術の提供を行っていきたいと発言しました。
ナザルバエフ大統領より、カザフスタンは原発計画を進めているところ、訪日した際、日本の原子炉も視察した、日本は安全面で豊富な経験と実績がある、日本の技術に対する関心は非常に高いと述べました。また、ウランの採掘や燃料加工での協力も重要であるとの発言がありました。
イ 地域情勢
(ア)ウクライナ情勢につき、ナザルバエフ大統領より、ロシアとウクライナの関係改善のため、カザフスタンも努力していきたい、ミンスク合意の遵守が極めて重要、日本も状況の改善に向けた役割を期待しているとの発言がありました。 安倍総理より、この問題の解決に向け、積極的に貢献したいと回答しました。
(イ)北朝鮮に関し、安倍総理から、北朝鮮は安保理決議に明白に違反して核・ミサイル開発を継続している、国際社会が連携して、北朝鮮に対し、挑発行動の自制、安保理決議の遵守を強く求めるべき、拉致問題は日本にとり最重要課題であり、早期解決に向け理解と協力を期待したい旨述べました。
(ウ)安倍総理から、日中関係や日露関係につき説明しました。
ウ グローバルな舞台での協力

(写真提供:内閣広報室)

(写真提供:内閣広報室)
(ア)総論
安倍総理から、日本は「積極的平和主義」の立場から、今般成立した「平和安全法制」も踏まえ、国際社会の平和と安定に一層貢献する考えである旨説明し、支持を要請しました。
(イ)軍縮・不拡散
ナザルバエフ大統領から、共通の被害を受けた立場として核廃棄に向け連携していくことは非常に重要、一方で原子力の平和利用も重視しており、ウラン低濃縮バンクを作ったところであると言及しました。
安倍総理から、今回、軍縮不拡散分野で特別の熱意を共有するカザフスタンとCTBTに関する共同声明を発出でき喜ばしいと述べ、IAEA低濃縮ウランバンク設立協定署名は核不拡散上、極めて重要であると高く評価しました。
(ウ)国連
安倍総理から、今次国連総会会期中に安保理改革の具体的成果を得られるよう政府間交渉で文書に基づく交渉を早期に開始することが重要であるとしつつ、カザフスタンの支援・参加を要請しました。
(エ)「世界津波の日」
安倍総理から、カザフスタンが、11月5日を「世界津波の日」とする国連総会決議の共同提案国となることを要請しました。
日・カザフスタン共同声明(PDF)

(2)マシモフ首相との会談

(写真提供:内閣広報室)
ア 安倍総理は、現地時間15時55分から約25分間、マシモフ・カザフスタン共和国首相と会談しました。
冒頭、安倍総理から、日本の総理としては9年ぶり、安倍総理個人としては初めてカザフスタンを訪問することができ嬉しい、本日午前中にナザルバエフ大統領との間で、この2年半で4度目となる首脳会談を行い、大きな成果があった旨述べました。また、民間ミッションからも同行を得た今回の訪問は、二国間関係を飛躍的に発展させると確信している旨述べました。
イ その後、現在の国際経済に関する種々のテーマについて意見交換が行われました。
(3)ビジネスフォーラム

(写真提供:内閣広報室)
ア 安倍総理は、現地時間16時37分から約15分間、日本貿易振興機構(JETRO)、日本カザフスタン経済委員会(事務局:ロシアNIS貿易会(ROTOBO)が、カザフスタン共和国投資発展省外国投資委員会、国家輸出投資庁「カズネクスインベスト」と共催する日本・カザフスタン・ビジネスフォーラムに出席しました。
イ 挨拶において、安倍総理は、カザフスタン経済が外国からの投資の誘致や技術の導入による産業多角化や中小企業振興に取り組んでいることを指摘し、この経済改革にこそ、日本が果たすべき役割がある旨述べました。また、安倍総理は、日本企業は多様な業種で海外進出の経験を有しており、世界中で現地の雇用と人材育成に貢献していることを指摘し、深い知見と現地への貢献を通じて日本企業こそがカザフスタンの経済改革を力強く後押しできると確信している旨述べました。
ウ 本フォーラムには、ナザルバエフ大統領、イセケシェフ投資発展大臣の他、両国の官民経済関係者約400人が参加し、多様な分野にわたる15件の文書が署名された他、日カザフスタン経済関係強化に関する活発な意見交換が行われました。
(4)政策スピーチ

(写真提供:内閣広報室)
ア 安倍総理は、現地時間18時15分から約35分、ナザルバエフ大学において政策スピーチを行いました。同スピーチには、ナザルバエフ大統領も出席し、学生を中心に多数の聴衆が集まりました。
イ 安倍総理は、冒頭、昨日アフガニスタンで発生した地震に言及し、犠牲者への心からの哀悼の意を表し、被害を受けた方々へのお見舞いを延べ、「アジアの友人」として、食料や医薬品の提供を始め、できる限りの支援行っていく旨述べました。
ウ また、政策スピーチ終了後、勝・ナザルバエフ大学学長から、安倍総理に政治学名誉教授号を授与されました。
安倍総理大臣の中央アジア政策スピーチ(PDF)