ドイツ連邦共和国
日独首脳会談



3月20日(月曜日)11時50分(現地時間)から約90分間、CeBIT(情報通信見本市)出席のためドイツ訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は、アンゲラ・メルケル・ドイツ連邦共和国首相(H.E. Dr. Angela Merkel、Federal Chancellor of the Federal Republic of Germany)と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
両首脳は、今回CeBITへ118社の日本企業が参加したことが日独間の緊密かつ高度な協力の象徴である旨強調したほか、日独がアジアと欧州を牽引し、共通の価値に基づき国際社会の諸課題に共に対処する重要なパートナーであり、日欧が米国とともに連携して国際社会の諸課題に取り組んでいくこと、またG7が従来以上に結束して安全保障及び経済面で揺るぎない連携とコミットメントを示すことが重要であるという点で一致しました。
2 経済分野における二国間協力
両首脳は、第四次産業革命に関し、昨日署名された日本の経済産業省・総務省とドイツ経済エネルギー省との間の共同宣言(「ハノーバー宣言」)の署名を歓迎するとともに、イノベーション、人材、自動車等の分野において一層緊密に連携することで一致しました。また、両首脳は、自動運転や人工知能を始め、関連分野における日独協力を進展させ、IoTを通じた社会・経済の変革を日独でリードしていくことの重要性を強調しました。さらに両首脳は、今回のCeBITにあわせて実施されている日独の中小企業交流に言及し、新たなビジネスの誕生に向けて中小企業間のIoTに関する交流を更に後押しする意思を確認しました。
3 地域情勢
両首脳は,EU情勢、ロシア・ウクライナ情勢、東アジア情勢といった地域情勢について幅広く議論し,率直な意見交換を行いました。
(1)日EU関係
両首脳は、国際社会が「変化の時」を迎える中、自由で開かれた国際社会を維持するためには、日欧米の安全保障及び経済面での揺るぎない連携が今まで以上に必要である点で一致しました。また安倍総理は、欧州が強く結束することの重要性を指摘し、そのためのメルケル首相のリーダーシップを求めました。また、英国のEU離脱に関して、透明性、予見可能性の確保および移行期間設定の重要性を説くとともに、日本企業の円滑な経済活動が維持されるよう配慮を要請しました。
その上で、両首脳は、日欧が米国とともに自由貿易の旗を掲げ続けなければならないとの点で一致し、日EU・EPAのできる限り早期の大枠合意に向けて引き続き連携していくことを確認しました。
さらに、安倍総理から、東日本大震災から6年経った今も、震災復興は政権の最重要課題であると述べた上で、福島県産等の食品の輸入規制の撤廃を要請しました。
(2)対米関係
両首脳は、双方が最近トランプ大統領と相次いで会談したことに触れつつ、地域及びグローバルな課題の解決に向けて、日欧が米国と連携していくことの重要性で一致しました。
(3)ロシア・ウクライナ情勢
両首脳は、ウクライナ情勢が日欧米にとっての重要な課題であり、ミンスク合意の履行を働きかけていくこと、また、ウクライナ自身が国内改革を進めることが肝要であるという点で一致しました。その上で、両首脳は、ウクライナ情勢の改善に向け、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。
また、安倍総理から、北方領土問題の解決に向けた決意を述べ、日露間で対話を進めることの重要性を述べました。
(4)北朝鮮
両首脳は、最近の弾道ミサイルの発射を踏まえ、実効性を確保すべく日独で連携していくことで一致しました。また、安倍総理から、拉致問題の解決に向けた独の理解と支持を求めました。
(5)インド太平洋
両首脳は、インド太平洋の自由で開かれた海洋秩序を確保することの重要性と、この地域の安定と繁栄の促進のために連携することで一致しました。
4 G7/G20に向けた連携
両首脳は、自由で開かれた経済こそが平和と繁栄の礎であることで一致するとともに、今次サミットにおいて、G7の価値・結束・責任が揺らがぬことを世界に発信することが重要である点で一致しました。また、安倍総理より、質の高いインフラ・保健・女性・気候変動など、伊勢志摩サミットの主要な成果について、メルケル首相が議長を務めるG20ハンブルク・サミットに繋げるべく議論をリードしていきたい旨述べました。